太古の昔から遥かなる時を経て今に至る大自然、その神秘の森に包まれ、清らかな渓流の音に耳を澄ませてみると日常とは違う心地良さに驚きます。「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」到着時に体感するのは、誰もが深呼吸をしたくなる清浄なる空気と、原形を残す深い緑の森への敬意に違いありません。「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」は、その名の通り、十和田湖から焼山までの約14kmを流れる奥入瀬渓流に沿うように佇んでいます。奥入瀬渓流は、十和田八幡平国立公園に属し、約20万年前の火山活動で形成されたカルデラ湖‘十和田湖’から流れ出ており、この渓流の水音がリゾート全体を包み、BGMのように心地よく響き渡る贅沢な環境にあります。

東京からは飛行機で約1時間20分、私は、青森県の三沢空港まで飛んでいきました。空港からは車で1時間20分ほど、到着が楽しみなつかの間の旅となります。いざ到着し、車を降りた時の感動は今も忘れません。渓流音、小鳥の声、そしてひんやりとした森の空気に思わず深呼吸をしていました。

随所に‘木’を感じるリゾートにいざ足を踏み入れると、エントランスロビーの奥は全面ガラス張り。新緑の季節には勢いのある緑の若芽がガラスを通して映り込み、ロビーにいながらにして香りそうなほど森の情景との一体感を感じます。広いロビーの中央部には、芸術家、岡本太郎作の超大型暖炉が設えてあり、「ロビー 森の神話」と呼ばれるその存在感は圧巻です。ホテルを訪れた人の多くが、まず何よりも先に、時にはチェックインの手続きよりも先にカメラや携帯で写真を撮る姿を見かけるほど…。この壮麗なラウンジは、ホテルにとって大切な集いの中心にもなっているのです。

エントランスを入るとこの印象的な暖炉が迫る。これは芸術家、岡本太郎作「ロビー 森の神話」。
数え切れないバリエーションのアクティビティが提供される中、滝のエリアでの「おいらせ新緑朝活 ストレッチ 滝のエリア」シーン。朝の森の清々しい中で心身をほぐす。
「渓流スイートルーム」(120㎡)。プライベート客室温泉、本物の苔を用いた壁画、広いスペースのリビングなどラグジュアリーな客室。

四季を通じて自然の美しさにはいずれも定評があり、それぞれの醸す彩は格別です。私自身は新緑の頃と紅葉の時期に訪れています。雨の多い新緑の頃は、ホテルの渓流コンシェルジュと共に森に入り、説明を聞きながら、ここそこに生きる無数の苔に目を見張り、キラキラと輝くミステリアスな苔の美しさに魅了されました。苔を見るための大きめのルーペで覗くと、そこはもう別世界。奥入瀬渓流沿いの森には、なんと300種類もの苔が生きていると聞き、知らない世界を覗くのは本当に興味深いものだと感動です。「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」では、現在、「おいらせ苔旅 苔とともにあゆんだ10年間」と銘打ち、苔の魅力を発信し続けた10周年の今年、「おいらせ苔旅」として祝いのアクティビティを提供しています。苔をイメージしたスモーブローを楽しめる特別朝食「苔モーニング」も用意されています。また、2024年4⽉22⽇〜5⽉31⽇ まで、パワーチャージのアクティビティティ「おいらせ新緑朝活」が登場。森の散策の他に、100種以上の樹木の色が混ざった新緑が楽しめるとのこと。生命力にあふれる奥入瀬の森で、ストレッチプログラムや湯浴みを楽しみ心身ともに‘健幸’をと願っています。

客室は渓流側と緑一色の山側があります。圧倒的な人気はやはり渓流沿いの客室といいますが、個人的には緑に包まれる静かな山側も素敵だと思います。中でも2022年12月に誕生した「渓流スイートルーム」は120㎡と広々とし、ゆったりと広い客室温泉も設置されています。

旅での楽しみはもちろん食事にもあります。メインダイニングはフレンチレストラン「Sonore(ソノール)」です。まずはテラス席で渓流の水音を楽しみながらアペロ(食前酒とおつまみ)に始まり、青森らしい食材と銘醸ワインを堪能できるコース料理に舌鼓。滞在の日、地産地消にこだわる青森の名産品や、新鮮な旬の素材がずらりと並び料理を満喫しました。他に5月から10月限定の大人気「渓流テラス」では、渓流沿いのオープンテラスで豊かな食材の朝食が楽しめます。もう一つ、「青森りんごキッチン」があります。朝食も夕食も可能であり、ライブキッチンを備えたビュッフェレストランです。

ご存じでしたか?青森は、林檎や米、上質な牛肉だけでなく、数々の野菜や食材が日本全国有数の生産量を占める‘グルメな郷’だったということを。もし次回に訪れるなら、美味しい空気と大自然に囲まれ、自分へのご褒美として長期リトリート滞在をしたい…と夢見ています。

5月から10月、期間限定の渓流テラスでは渓流のせせらぎを聞きながら快適な朝食が用意される。
春限定、4月22日から5月31日までの平日限定。新緑サンドイッチとワイン・シードルを楽しむ特別な「渓流新緑ランチ」は、その時期に新緑が一番映える渓流沿いのスポットに案内される。
「渓流新緑ランチ」で味わえるのは野菜をたっぷり使った5種類のサンドイッチ。春の新緑を感じるよう奥入瀬渓流の木々をイメージしたサンドイッチ。
フレンチレストラン「Sonore」のコースメニューから2024年春の魚メニュー「旬魚」のひと皿。ワインのマリアージュも提供。
ホテルから車で5分、混浴露天風呂「八重九重の湯」の貸切では滝が身近に迫り八甲田山から湧き出る単純温泉。湯浴み着が用意され男女気兼ねなく入浴。ホテル館内にも「渓流露天風呂」がある。

取材・文/せきねきょうこ

Photo/星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。

http://www.kyokosekine.com

DATA

星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル

青森県十和田市大字奥瀬字栃久保231
📞: 050-3134-8094(星野リゾート予約センター)

https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/oirasekeiryu/

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