フリマアプリやネットオークションはとても便利ですよね。でも「購入したブランド品が偽物だった!」「テーマパークのチケットが有効期限切れだった!」なんていう被害にあった方がSUMAU読者にもいるそう。そんな酷いことをする出品者がいるなんて。“買い物大好きマン”の私としては、商品購入時や開封時の高揚感は何にも代えがたいことを知っています。その幸せを奪うなんて、許せません。(ちなみに買って満足タイプなので、開封後は何カ月も放置することがありますが…笑)。そのため私自身も、使用しなくなった服やバッグ・財布などを活用してもらうためにフリマアプリを使っていますが、出品するとき、発送するときにはとっても気を遣っています。

法的には、商品が偽物であることや欠陥があることを知りながら販売していた出品者は、刑法の詐欺罪に該当するでしょう。詐欺罪は、刑罰が10年以下の懲役と定められており、非常に重い犯罪です。偽のブランドのロゴマークを使用していた場合などには、商標法違反にもあたる可能性があります。また、民法としては、詐欺行為であれば取引を取消したり、契約不適合責任があるとして修繕や損害賠償を求めたりすることができます。

トラブルに巻き込まれないよう、購入時には自分でもよくよく商品写真を確認したり、説明書きを読んだり、出品者に質問をするなどして注意したいところですが、それでも被害に遭ってしまった場合には、以下のような対応を考えてみましょう。

■取引完了前であれば…


・取引を中止、キャンセルする

 フリマアプリには、購入者が届いた商品を確かめてから受取評価をすることで取引が完了し、それにより出品者に入金がされる、という仕組み(エスクロー決済)があります。届いた商品に問題があった場合には、運営側から出品者に入金がされないよう、受取評価はしないようにしましょう。

 そのうえで、取引をキャンセルする手続きを取っていきます。キャンセルが正式に行われれば、運営会社側から商品代金が戻ってくることになります。

 たとえば、メルカリではこのように記載されています。

―偽物・非正規品と思われる商品が届いた

https://help.jp.mercari.com/guide/articles/54/

―取引のキャンセル方法

https://help.jp.mercari.com/guide/articles/281/

 

■取引が完了した後で気付いた場合には…

 
出品者と連絡を取る

 商品ページでメッセージを送って、話し合ってみましょう。もし、出品者の故意でなければ、対応が期待できるかもしれません。アプリによっては、取引完了後一定期間すると、メッセージ機能が使えなくなるものもあるので、出品者の他の商品のコメント欄に連絡してみる方法は、商品が届いた際に出品者の住所が判明していれば、手紙を送ってみるのも一つの方法でしょう。

ただし、商品ページは出品者側で削除することができますし、悪質なケースであれば、そもそもメッセージや手紙に応答がない可能性も高いでしょう。

  

運営会社に相談する。

 アプリによっては、運営側がメッセージ機能を復活してくれる場合もあるようで、また運営側で然るべき対応を取ってくれることもあるでしょう。運営側への説明や証拠保全のためにも、商品自体や届いた際の写真を撮っておくこと、商品ページのもともとの記載、商品IDなどを保存しておくことが大切です。

 

・消費生活センターに相談する

 全国にある消費生活センターでは、商品やサービスなど消費生活全般に関する相談を受け付けてくれます。消費者ホットライン「188」も開設されていますので、緊急で話 を聞いてもらいたい場合などに電話してアドバイスを受けてもいいかもしれません。ただし、フリマアプリでの取引は、基本的に個人間で解決することが求められていますので、希望の解決が叶うとは限りません。

(独立行政法人 国民生活センター)

https://www.kokusen.go.jp/map/index.html

https://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen349.html


・弁護士に相談する

 出品者とは連絡がつかず、運営会社でも対応が難しいという場合、諦めるしかないのでは…と思いがちですが、弁護士に相談することで、もう一歩踏み込んだ対応をすることができます。

①出品者の特定

 フリマアプリなどは、たいていのユーザーが任意のユーザー名で登録をしていますし、匿名での発送ができるため、本人を特定できないのが、通常であれば良い面なのですが、トラブル時には最も困るところです。ただ、弁護士による情報開示手続の1つである、弁護士会照会という方法を用いることで、出品者の個人情報を取得できる場合があります。その情報をもとに弁護士から出品者へ接触が可能になります。

②出品者への通知、交渉

 取得した出品者の個人情報をもとに、まずは弁護士から相手方へ通知文を送り、事案に応じ、予定していた商品の再送や修繕、損害賠償などの対応を求めます。

③裁判手続

 それでも出品者が真摯に応じないような場合には、裁判を提起するといった裁判上の手続きを用いて解決することを検討します。もちろん裁判には費用がかかりますので、被害にあった内容によっては費用をかけても裁判すべきであるかは本人の気持ち次第かなと思います。もちろん費用がかかったとしても、出品者に対し黙っていられない!という熱い気持ちで臨む場合もあります。


・警察に相談する

 刑事事件として相談した場合には、警察の中でインターネット上のトラブル等を担当するサイバー犯罪相談窓口に相談することもできます。警察は、犯罪を取り締まり、犯人を罰するために活動しますが、被害者個人のためにお金を取り返したりすることは担当外ですので、誰に何を相談するかは取捨選択が必要になります。


(警察庁サイバー犯罪相談窓口一覧)https://www.npa.go.jp/cyber/soudan.html


■トラブルに巻き込まれないために…

偽物や不良品を扱う出品者がいなくなることが第一ですが、自衛のためのポイントもまとめておきます。


商品の説明や写真をよくよく確認する

 たとえば、欠陥について最初から記載があった場合や、返品やクレームに応じません、という注意書き(責任免除の特約)が記載されている場合、それを承知の上で取引を申し込んだことになるため、上記のような出品者に対する責任追及をできなくなるかもしれません。


出品者や商品の情報をメモしておく

 出品者についての評価も確認しましょう。また、あとから運営側や弁護士に説明をしたり、トラブル時に出品者を特定したり、裁判になった際の証拠とするためにも、アプリ内で表示される出品者や商品の情報については、削除される前にスクショをしておくことをおすすめします。

 
購入する前に出品者に確認する

 気になる点があれば、購入前に直接出品者に確認をしましょう。そして、その際のやりとりも残しておくようにしてください。


どうしても欲しいものだと、ついついポチっとしちゃう気持ちもとってもわかるのですが、もしかしたら危ないかも…と感じたら、購入を断念することがトラブル回避の一番の策です。いつもよりプラスアルファの注意をすることで、楽しいネットショッピングを!


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弁護士 菅原草子(スガワラソウコ)

仙台市出身。都内法律事務所所属。個人から企業の相談まで分野を問わず依頼をうけている。

大学院農学研究科で食品成分の研究をしていた異色の経歴から、食品関係企業の取締役も務める。

趣味は、ビールと美味しいごはんと海外旅行。

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