2023年4月4日(火)、ブルガリ ホテルズ & リゾーツの8番目のホテルとなる「ブルガリ ホテル 東京」が、東京駅前の商業複合ビル「東京ミッドタウン八重洲」内に開業しました。日本では、次々と誕生するラグジュアリーホテルが話題ですが、この「ブルガリ ホテル 東京」はその話題を独占したかのように多くのファンに待ち望まれたホテルでした。

ホテルは複合施設の入る「東京ミッドタウン八重洲」の40階から45階までを専有し、客室は全98室が用意されました。日本初となった「ブルガリ ホテル 東京」のインテリアデザインは、世界のブルガリ ホテルズ & リゾーツ同様、ブルガリの哲学を知り尽くしたイタリアの建築設計事務所‘ ACPV アーキテクツ アントニオ・チッテリオ・パトリシア・ヴィエル’が担当しています。そのデザインは、客室、共用部分ともに、スタイリッシュで洗練され、ブラックやゴールド、シルバーなどの色彩に加え、ブルガリを象徴するサフランカラーが使われているのが印象的です。非常に上質なクラフツマンシップや、意匠を凝らしたディテールからラグジュアリーな空間が出来上がっています。ホテル全体がまさにブルガリのジュエリーが放つオーラのようにエレガントなのです。

レストランに隣接する「ブルガリ ラウンジ」。鋳鉄とジンバブエ産黒花崗岩の大きな暖炉、心地いいアームチェア、ゆったりしたソファなど寛ぎの設えが心地いい。ニコ・ロミートシェフ監修のパスティッチェリア(イタリアでは小さな菓子の意味、王族や貴族の愛した焼き菓子)や、オーガニックな日本茶を含む多彩なドリンク、アフタヌーンティーも楽しめる。
40階ギャラリースペースで扇型モチーフと同時に、伝統の文様「孔雀紋」を思わせるデザインが壁に施され、開口部には美しいアーチが施されている。

屋外テラスにつながる「ブルガリ ラウンジ」も、毎日賑わいが絶えません。またシグネチャー・ダイニング「イル・リストランテ ニコ・ロミート」はミシュラン三つ星であり、イタリア・アブルッツォの「Reale」のオーナーシェフ、ニコ・ロミート氏が監修しています。伝統を大切にしながらも、コンテンポラリーで軽やかなイタリア料理が提供されています。フーディーをも黙らせるという噂の料理は、一皿ごとに季節を感じ、伝統を礎にしながらも新しさに目を見張るほど。そしてもうひとつ、館内にはとっておきの鮨店「Sushi Hōseki – Kenji Gyoten」が開業しています。福岡「鮨 行天」のミシュラン三つ星獲得の行天健二が監修する鮨処であり、食材にこだわる鮨がおまかせコースでいただけます。

今や「ブルガリ ホテル 東京」のアイコン的な存在となり大人気の「ブルガリ バー」では、最上45階からのサンセットや東京の街の夕景が素晴らしく、刻一刻と表情を変え夜景がきらめく様子を、シグネチャーカクテル片手に楽しむ大人たちが幸せそうに見えます。ダイナミックな都会の眺めもさることながら、ニコ・ロミートのクリエーションも楽しめる贅沢なバーですから、ゆったりと、静かに大人の時間を味わいながら長居をしたい気持ちもわかります。

2つの屋上テラスの間に位置する「ブルガリ バー」の内観。カウンター奥の壁にはイタリアブランド「Bisazza」(ビザッツァ)社に特注したガラスモザイク「ガーデン オブ ワンダーズ」。木々や鳥たちのいる春の庭園を彷彿とさせる。
客室は41~44階。最低51㎡、全面ガラスの大きな窓、日本伝統文化を意識したバランスの卓越した客室デザインは、他のブルガリ ホテル同様に‘邸宅’のような落ち着きがある。写真はブルガリ スイート(416㎡)、都内最大級の客室。
ラウンジの奥に広がる40階のメインダイニング「イル・リストランテ ニコ・ロミート」。日本の伝統的な木造寺社を彷彿とさせるアーチ状の木造天井が特徴的で高い天井や手吹きムラーノガラスのペンダント照明、ブルガリらしい色遣いなど高級感の漂うレストラン内。屋外にはテラス席もある。
鮨処「Sushi Hōseki – Kenji Gyoten」。無垢の檜が使われたカウンターと8席の店はミシュラン三つ星の鮨職人・行天健二氏が監修。目の前のテラスは京都の名庭園をモデルにした小さな枯山水が楽しめる。

実際に滞在して感じたのは、すべてにこだわりのある造りとそのゴージャス感でした。立ち去りがたいと素直に思えたのも確かです。館内40階には1800㎡を誇る「ブルガリ スパ」もあり、25mの室内プール、9室のトリートメントルーム、最新マシンを導入したフィットネスセンターも揃え、都心で体験できるウェルビーイングを謳っています。

 ハイジュエラーとして世界に知られるブルガリは、1884年にローマで生まれた宝飾品の高級ブランドであり、銀細工職人であるソティリオ・ブルガリにより創業されました。以来、ブルガリは美学を貫き、揺るぎない哲学で王道を走ってきました。その伝統や芸術性をコンテンポラリーに解釈し、世界各国に点在するホテルに表現してきました。さらに「ブルガリ ホテル 東京」には何よりも日本的で上質な感性を鏤め、東西の融合をエレガントに仕上げた最高級ホテルとしてオープンしたのです。

40階、1800㎡のブルガリ スパのエリアにあるのはエメラルドグリーンのモザイクタイルが美しい25mのスイミングプール。周囲にはオーダーメイドの木製カバナが置かれ、他にバス、サウナ、9室のトリートメントルームが揃う。
眼下には東京の夜景が広がる41階の天空のスパ‘ダブルトリートメントルーム’。カスタマイズされたトリートメントやグルーミングなどウェルビーイング体験を。1800㎡の施設には9室のトリートメントルーム、25mプール、サウナ、そしてフィットネスセンターなどが揃う。

取材・文/せきねきょうこ

Photo: ブルガリ ホテル 東京

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。

http://www.kyokosekine.com

DATA

ブルガリ ホテル 東京

東京都中央区八重洲2丁目2-1

📞03-6262-3333

https://www.bulgarihotels.com/ja_JP/tokyo

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