友人が訪ねて来たら連れて行きたいお気に入りの店が誰にでもひとつはあります。街の人々に愛される店こそ、胸をはって紹介したい“わが街の味”。この連載では、そんな街で人気のお店を紹介しています。今月はちょっと趣向を変えて、高級住宅街・用賀の奥に潜む、和牛専門・フルオーダーカットの精肉店。特別な日の食事にとっておきの牛肉をオーダーできるここは、家族の思い出を作ってくれるわが街の店です。


紹介する街●用賀

【精肉店】 

オーダー後にカットする肉の専門店で

自分好みの和牛を見つけたい


用賀の住宅街にひょっこりと現れるのはまるでブティックのような精肉店。壁一面にあるワインセラーのようなショーケースには和牛が部位ごとの塊でオブジェのように並んでいる。

この店を作ったのは、金融の仕事をしていたという上野望さんだ。意外な転身ではあるが、金融という目に見えないものを扱う仕事から、目に見えるものを扱いたいと考えるようになったのだという。

左は風味が濃厚なランプ肉、右は赤身のウチモモ肉。ショーケースに並ぶ塊の様々な部位を眺めるのも楽しい。

「お客さまと喜びを共有できるような仕事をしたいとも考えていました。

海外の生活が長かったこともあり、いつか海外に進出できるように、

海外でも通用する商品であることも必要でした」

その結果たどり着いたのが、海外でも注目されるようになっていた和牛だったという。

オープンしたのは2015年。おりしも熟成肉ブームの真っただ中であり、国内でも肉に対する考え方が変わり始めた頃でもあった。『TOKYO  COWBOY』がこだわったのは、銘柄に左右されるのではなく、本当によい肉質であること。その目利きを担うのが、長年精肉業界で経験を積み、この店のマネージャーとして活躍することとなった二宮昂さんだ。一頭買いする黒毛和牛は、未経産の雌牛のみ、それも30か月以上という肥育期間が長いことを条件にしている。

二宮昂さんは肉のことならなんでも相談できる心強い肉のエキスパート。

販売はオーダーを受けてからカットするスタイルで、肉選びは肉のコンシェルジュでもある二宮さんが手伝ってくれる。どのような調理法で食べるのか、どんな肉が好みか、さらには食べる人の年齢層も考慮し、小さい子供たちやお年寄りが一緒なら柔らかく食べやすい部位、がっつり食べいたい大人には味わいが濃く、噛むほどに旨みがある肉など、それぞれが美味しく食べられることを一番に考えてくれる。目の前でカットするので、もう少し厚めにとか、もう少し大きくなど、自分好みに寄り添ってくれるのもフルオーダーカットの魅力だ。


 

スタイリッシュなパッケージのギフトも充実。「黒毛和牛のスライス」15890円(700g)。しゃぶしゃぶやすき焼きに最適なスライスの詰め合わせ。


「A PIECE OF CAKE」7560円(300g)はケーキのようなカットがかわいい。3ピース×2つの部位のステーキ肉の詰め合わせ。


さらにユニークなのはミートキープというサービス。塊肉を丸ごと購入し、必要に応じてカットして持ち帰れるというものだ。約1ヶ月ほどで食べ切るのが理想だが、その間は店で最適に管理し、保存してくれる。

「肉の味は時間の経過とともに少しずつ変わっていきます。

同じ塊からカットした肉を一週間ごとに食べ比べてもらうと、

牛肉の奥深さをより楽しんでもらえると思っています。

自宅の冷蔵庫代わりに利用して欲しいですね」と上野さん。

最近ではキープした肉をギフトにする人も増えているとか。自分が食べて美味しかったからこそ、遠く離れた家族や大切な人への愛情のこもったギフトとして最適なのだ。配送も可能だが、気軽に利用できるご近所であればなおさらメリットは大きい。



  

上は自宅用だけでなく、ギフトにも人気の 「和牛のローストビーフ[STANDARD]5828円(300g相当) 
下は数量限定で販売するテイクアウトの「和牛ローストビーフサンド」1296円。

また精肉だけでなく、『TOKYO  COWBOY』ではローストビーフやローストビーフを使ったサンドイッチも販売する。特別な料理をしたい日だけではなく、極上の肉が無性に食べたい! そんな願いも気軽に叶うのだ。

ステイホーム以来、自宅でご馳走を食べる機会も増えたが、そんな中でも上質な牛肉を用意する食事はやはりイベント性の高いもの。家族の記念日や思い出に残る食事を演出してくれるスペシャルな精肉店が近くにあること、それは豊かなライフスタイルを後押ししてくれるだろう。


TOKYO  COWBOY

トーキョーカウボーイ

住所: 東京都世田谷区上用賀1-10-16

電話:03-6805-6933

営業時間:10:00~18:00

定休日:水曜

※掲載価格は税込価格です(2022年8月現在)

取材&文/岡本ジュン 写真/貝塚隆

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