今月より奇数月の連載「健康美キッチン」を担当する美容料理家・松野エリカです。
連載をはじめるにあたり、まずは私と「食」についてお話させてください。
私自身、10代後半〜20代前半の頃、食べないダイエットをして、からだを壊してしまいました。それをきっかけに「食事と身体&心」の関係性に興味を持つようになり、大学や専門学校で栄養学を専攻しました。
専門学生時代、授業で「食べることは生きることである」と教わった記憶があります。
人間はこの世に生まれた瞬間から、食事をすることが当たり前なのです。
しかし、あまりにも当たり前すぎるが故にその「大切さ」についてどれくらい考えたことがあるでしょうか。
私は、子どもの頃から虚弱体質で年中病院に通う日々。思春期を迎えた頃から婦人科トラブルにも悩まされ続けてきました。
そんな辛さに寄り添ってくれたのが「食べもの」でした。
選ぶ食べものや食事法が、そのままからだに伝わることを実感してきました。
幸か不幸か私は自身が病弱だったことや現在の道に進んだことで、食事と自分の心身について向き合う機会が多くありました。そうでなく健康体であれば、深く教えることもなかったのでは、と思います。
みなさんにとって、この連載が少しでも食の大切さを考えていただくきっかけになれば、これほどうれしいことはありません。
疲れた時こそ手料理で自分を癒す
さて、ゴールデンウィークも終わり、長く休んだせいか、気持ちが仕事モードに戻らないという方は多いかもしれません。
春から環境が変わった方はちょうど疲れが出てくる頃でしょうか。また、自律神経の乱れが起こりやすくなってくる季節です。
疲れていたり忙しいとついつい食事は後回しになってしまったり、コンビニやお惣菜で手っ取り早く済ませたくなる気持ち…よーーくわかります。
しかし、そんな時こそあえて時間を作って、1食でも良いので手作りしてみましょう!と、料理教室の生徒さんにはお伝えしています。
出来合いのもので簡単に食事が済ませられてしまう現代だからこそ、自分のために食事を作る時間ってすごく贅沢だと思うのです。
「からだや心を思いやり、今日は自炊してみよう」と思いながら買い物に出かけると、それだけで自分を大切にしている感覚が芽生えます。
お料理しなくちゃ…と思ってしまう義務感の意識から変えてみましょう。
色々作ろうと思うと大変なので、1品で満足でき、かつ外食では不足しがちな野菜を多めに取り入れたメニューはいかがでしょうか?
1〜2人分であればさっと作ることができる炒め物が簡単でおすすめです。
少しずつ気温が上がってきたので、春キャベツを使い、レモンを効かせてさっぱり食べられる&ご飯にあうおかずレシピを今回はご用意しました。
キャベツにはビタミンU(通称キャベジン)という栄養素が含まれていることが大きなポイント。キャベツから発見されたビタミンであることからキャベジンという名前がついており、胃腸の不調を予防する作用が期待できます。
ストレスが溜まりやすい季節は胃腸も弱りやすくなりますから、積極的に食べたい食材の一つです。
また、レモンの酸味は肝臓を養ってくれる味覚です。
東洋医学において今の季節は肝臓が最も働くとされており、そこを調子良く保つことが
日々不調なく過ごすポイントになります。肝臓は体内において解毒を担う臓器であり、
冬に溜め込んだものを春先に排泄するためこの季節によく働くのです。
その働きを助ける味覚として「酸味」があげられます。なので、この季節は1日1品どこかで酸味のあるお料理をいただくと良いですよ。柑橘類はもちろん、お酢や梅干しの酸っぱさもオススメです。
今日は何を作ろう?と悩んだら、ぜひ作ってみてください。
私たちのからだは食べたものと同じようになります。
からだに優しいメニューや食材を選べば穏やかで優しい気持ちになりますし、化学調味料や肉食が増え過ぎてしまうと攻撃的になったり、逆にやる気がなくなったりしてしまうことも…。
なので、忙しいときや気分が落ち込んでいる時こそ食べるものを大切にしてみる意識を。
からだはその意識に必ず応えてくれるはずです。
〜春キャベツと豚肉のレモン醤油炒め〜
<材料>
・春キャベツ…250g
・アスパラガス…4本
・ミニトマト…4つ
・豚肉ロース…150g
・オリーブオイル…適量
・ニンニク…1片
・レモン汁…小さじ2
・醤油…小さじ2
・塩、胡椒…適量
<作り方>
1.アスパラは固ければ根元を切り落としてから、斜めに切る。春キャベツは一口の大きさに切る。
豚肉は余分な脂身をカットする。(こうすることでカロリーダウンに♪)ニンニクはみじん切りにする。
トマトは半分にカットして、中のタネをスプーンで取り除いておく。
2.フライパンにオリーブオイルとニンニクを熱する。
香りが出たら豚肉を炒める。火が通ったら、キャベツ・アスパラを加えて中火強で炒める。
3.②に大体火が通ったらトマトを入れ、分量のレモン汁・醤油を回し入れて全体に絡める。
最後に塩・胡椒で味を調整したらできあがり。
それぞれの食感を残すように炒め過ぎないのがポイントです。
盛り付けた後、レモンの輪切りを添えるとより爽やかさが増しますよ。
お試しあれ。
(撮影・古本麻由未)
プロフィール
美容料理家/ERICHE代表 松野エリカ
10代の頃、食べないダイエットの経験から食事の大切さを痛感し、
大学・専門学校にて栄養学を専攻。将来料理教室で独立を決意。
20代は飲食店に勤務するほか、ドバイで自身のスイーツブランドをプロデュース。
また、10年間悩み続けた生理痛を食事で改善するほか、悩んでいた数々の不調を食事で改善させることに成功。その大切さを伝えるべく、2017年東京南青山にて、食べてキレイを叶えるお料理・グルテンフリースイーツ教室をスタート。今日に至るまで受講生は3500名を超える。
◆Blog : https://ameblo.jp/erica-cook/
◆Instagram : https://www.instagram.com/erica_beauty_cook/