友人が訪ねて来たら連れて行きたいお気に入りの飲食店が誰にでもひとつはあります。街の人々に愛され、みんなが通い続けるレストランこそ、胸をはって紹介したい“わが街の味”。この連載では、そんな街で人気のレストランを紹介しています。今月は最近ますます注目度の上がる中目黒で、ゆったりすごせる大人のカフェを紹介します。


紹介する街●中目黒

【カフェ】

心地よい音楽やコーヒーで

ゲストにフィットする空間と時間を提供する

「なんとなくその場所が好き」というカフェがある。

建物の質感、光の明暗、調度品から音楽、店のスタッフなど、その場が生み出す空気感が自分にフィットすると思える場所。カフェに求めるのはそんなくつろぎの時間なのかもしれない。

「インテリアや音楽、ドリンクなどどれかに特化するわけではなく、

まるごとすべてが、生きたアートのような店を造りたいと思っていました」

と語るのは中目黒にあるカフェ『epulor』のオーナーのサトヨシさん。


カウンター席のレコードプレーヤーやスピーカーが雰囲気を醸し出す。


映画の登場人物のように、そこで過ごす人々も含めて、店のすべてがアートの一部として機能する。音楽はゲストの雰囲気に合わせて選ぶことが多いというから、その場にフィットしつつも、いつ行っても少し新しい『epulor』に出会えるのだ。


気に入ったロースターから入れているというコーヒーは浅煎り、深煎りをお好みで。


とはいえ、ひとつひとつのパーツは厳選されている。ハンドドリップで丁寧に淹れるコーヒーは、グラフィカルな北欧のヴィンテージカップで提供される。イギリスの名門メーカー、タンノイのスピーカーから流れる音は、ジャズを中心にクラシックやロックなど、その場にあったものを幅広いジャンルからセレクトする。


ゲストの雰囲気に似合わせてレコードをセレクトする。


夜と昼でアンプを入れ替えることで、時間帯の違いの変化も微妙に音に取り入れている。天井は高く、前面はガラス張り、スタイリッシュな雰囲気はカフェというよりギャラリーのようだが、奥の壁一面に竹を配したことで温かみとくつろぎ感を与えている。


あんバタートースト 400円  深煎り 800円
竹炭を練り込んだ黒いトーストはカリッと香ばしく、あんことバターがよく合う。香りのよいまろやかな深煎りのドリップコーヒーと一緒に。ドリップコーヒーは700円~


ハンドドリップで入れるコーヒーの香りとレコードの柔らかな音に包まれながら、コーヒーが運ばれるのを待つ時間もなんとも心地いい。この箱に合わせてスピーカーを設置したと言うだけに、空間を満たす音の気持ちの良さもゆるぎがない。

「例えば雨の日や桜の季節など、

その日の雰囲気で曲を選ぶこともあれば、

お一人さまのために曲を流したり、

その場その場に沿った雰囲気を作れればと思っています」


ナチュラルワインもグラスで飲める。


コーヒーに合わせて考えたというフードも印象的だ。漆黒のトーストにあんことクリーム色のバターがのった『あんバタートースト』は、まるでアート作品のようなフォトジェニックな佇まい。軽やかに飲めるナチュラルワイン、コーヒーカクテル、チーズなどの軽いおつまみもあるので、昼下がりの一杯も心地よさそうだ。また夜の2軒目使いや、家に帰る前のインターバルとして、オンとオフを切り替えるにもぴったり。


コーヒーカップもそれぞれゲストに合わせて選ばれる。


中目黒は都会へのアクセスが良く、美味しい飲食店とおしゃれなショップが点在している。駅周辺はとくににぎやかだが、渋谷区に隣接する高級住宅街・青葉台や目黒区の奥座敷のような高級住宅街・東山と、2つの高級住宅街を有するだけに、便利かつ落ち着いた街としての顔も併せ持っている。そんなこの街を選んだ理由をサトヨシさんにも聞いてみた。

「カフェを出すにあたって、

感度の良い人たちが来てくれる場所を探していたんです。

その1つがここ中目黒でした」という。

その予想通り、近隣在住のアパレルや建築家、出版関係など、クリエイティブな顔ぶれが多く出入りする店になったという。『epulor』があるのは目黒川を越えた静かなエリアということあり、大人がゆったり過ごせるのもうれしい。こんなカフェ兼バーが家の近くにあれば毎日が豊かになりそうだ。




epulor

エプロア

住所:東京都目黒区青葉台1-19-10 エスセナーリオ青葉台1F

電話:080-8053-1067

営業時間:11:00~24:00

定休日:月曜(祝日の場合は営業、翌日休業)

※掲載価格は税込み価格です(2022年3月現在)




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