モデル、ライターを経て、現在は旅や美容を中心とした暮らしにまつわるコラムやエッセイを寄稿している前田紀至子さん。お父様が大のインテリア好きで、ご自身も自然とインテリアに興味を持つように。この連載では、そんな前田さんとともに、毎回アイテムを決めて探求していきます。
今回選ぶのは、お部屋の中でも面積が広く、印象を大きく左右するカーテン。特に、既成品とは違ってオーダーカーテンはひだ山の数や長さも決められ、素材や柄の種類は数えきれないほど。海外のファブリック製品を幅広く取り扱うナショナルインテリアのショールームで、実際の商品を見ながらシニアコーディネーターの小澤裕子さんにオーダーカーテンの選び方について教えていただきました。
色や柄で組み合わせが
楽しめるレースカーテン
前田さん「今はバーチカルブラインドを使用しているんですが、8年も経っているので紫外線が当たる部分だけが劣化してきてしまって、次はカーテンに変えたいと考えているんです。面積が大きいので失敗できないですしプロに相談したくて」
小澤さん「ブラインドとカーテンだと、がらっと雰囲気が変わりますよ。ブラインドと違ってドレープは生地の柔らかさが魅力になります。よりリラックスできる空間になると思います」
前田さん「そうなんですね。これまで日中は仕事で外に出て、夜は家で原稿を書くなどもうひと頑張りして、あとは寝室で寝るだけ…という生活だったのが、今はリビングにいる時間が増えたので少しでも居心地のいい空間にしたいと思っていたので嬉しいです。
私の部屋は窓が大きいんですが、日当たりがすごく良いわけではないんです。だから厚手じゃなくてもいいので、ヨーロッパのお部屋にあるような透け感があるレースのカーテンにしたいなって。そのほうが明るさや開放感を感じられるのかなと思ったのですがどうでしょうか？」
小澤さん「もし遮光する必要がないのであれば、ドレープとレースの中間の薄さの生地もあります。レースでも少し柄があるものや、透過性があってもはっきりとは見えづらくてある程度目隠しになるものもありますよ。同じレースで、色の濃いものと薄いものを重ねるのもいいですね」
前田さん「そんな風にレースを2枚重ねにするスタイルに憧れていたんです！」
小澤さん「外からの視線が気にならなければ、すごく良いと思います。レースを組み合わせる場合、同じような素材を重ねてもいいですが、ナチュラルな質感と、光沢のある素材を重ねても面白いですよ。今は、レースの種類も価格もとにかく豊富なので、みなさん自由な発想で組み合わせを楽しんでいらっしゃいます」
前田さん「たくさんのレースのカーテンに囲まれて、とってもテンションがあがります。ライラックカラーなんかもあるんですね。私の家は赤みのあるチェリー材の家具が多いのでライラックだとまとまりがでそう！」
小澤さん「レースというと白のイメージが強いと思いますが、白は光を反射するので閉めたときに外の景色が見えなくなるんです。色のついたレースだと、外の景色がきれいに見えるんですよ」
前田さん「かえって明るい感じがして良いですね」
小澤さん「思い切ってダークな色味を選んでも、意外と暗い印象にはなりにくいですよ。レースだと圧迫感も感じづらいですね」
前田さん「色付きのレースを選んでクッションやほかのファブリックとの組み合わせで濃淡にするのも素敵！ 柄もストライプを選ぶと、またモダンな印象になりますね」
小澤さん「透けて見えるので柄と柄を重ねても面白いですよ。昼間は景色が透けて見えますが、夜は柄があるほうがお部屋のアクセントになります。全面に柄が入ったものも人気があります」
前田さん「なるほど。レースで柄を描いているようなものも素敵ですね。ほかにレースの選び方のポイントはありますか？」
小澤さん「今回のようにレース重視の場合もありますが、ドレープを選んでからレースの色合いや素材を組み合わせで選ぶという方が多いですね」
前田さん「なるほど。そうじゃないとちぐはぐになっちゃうかもしれないですもんね。ファミリーだと、まずはドレープを考えますよね。自由気ままな一人暮らしだからレースを重ねようなんて言っていられますけど（笑）」
素材感と柄で印象が
大きく変わるドレープ
小澤さん「レースや薄手の生地をご希望だとは思いますが、ドレープですとベルベットの生地でも触ったときに、重くないものがいま増えているんです。数年前からヨーロッパでも再フィーチャーされて、色の選び方ではとっても軽やかな印象になります」
前田さん「言われないとベルベットとは気づかないくらい軽やかさがありますね。あたたかい雰囲気もベルベットらしいラグジュアリーさもあって素敵。今まで舞台の緞帳のイメージがありましたが、これはまったく違いますね」
小澤さん「カーテンはドレープが特徴でもありますが、ベルベットだとドレープもきれいに出やすいんです」
前田さん「高価なイメージがありますが、どうなんでしょうか？」
小澤さん「ベルベットだからすごく高級、ということはありません。手の込んだ刺繍や、天然素材などのほうが高額になる場合もあります」
前田さん「そもそもカーテン1面で、オーダーの場合はどのくらいの予算を目安にすればいいんでしょうか」
小澤さん「生地の大きさで大きくかわりますから一概には難しいですね…。例えば柄が際立つようなデザインのカーテンなら、フラットにしてタペストリーのように下げる場合もあります。たっぷりとひだを付けたいなら生地は2倍、3倍と増えますし…」
前田さん「面をどう見せたいかで変わるんですね。このベルベットのカーテンなら窓よりも丈を長めにするのもきっと素敵ですよね」
小澤さん「そうなんです、ギャザーの寄せ方や長さでも印象が変わります。レースのカーテンなら、ひだの倍率を2.5倍とか３倍と、たっぷりギャザーを寄せて、ボリュームを出すのもすごく素敵ですし、それによって、外からの視線を遮ることができるという効果もあります」
前田さん「レースでさらっとしたイメージでいましたが、ボリュームを出す方がベターなんですね」
小澤さん「素材にもよりますね。裏地を付けることでドレープの山が美しく出る生地もありますし、オーガンジーのようなラグジュアリー感のあるものならドレスのように美しいハリが出ます」
小澤さん「思い切った大柄プリントものなんかもおすすめです。こちらは麻で独特のしなやかさがあって、デザインも全体のトーンが統一して落ち着いているので、柄物でも飽きがこないですよ」
前田さん「柄と素材の組み合わせで印象が大きく変わるんですね。タフタやシャンタンなどの素材感が感じられるものもいいですね。洗いざらしの様なナチュラルな雰囲気の素材も気になります」
小澤さん「サステナブルが注目される時代ですが、JAB社でも力をいれていて、オーガニックコットンやポリエステルでも100％自然にかえるものなどにこだわっているシリーズもあります」
前田さん「レースだけ…と思っていましたが、ドレープも実際に見ると素敵なものがたくさんありますね。私がお金持ちだったら、シーズンごとにカーテンを変えたいと思ってしまいます」
(取材＆文・SUMAU編集部 撮影・古本麻由美)
取材後記
以前から「お部屋のイメージをガラリと変えるためにも、カーテンを一新したい！」という想いを抱いていましたが、今回は念願叶ってカーテンの選び方やポイントを伺う運びとなりました。
場所は国内屈指の品揃えで知られるナショナルインテリア。足を踏み入れた瞬間、思わず「わぁ！」と感激せずにいられない、カラフルで上質なファブリックの数々は、きっと誰もが理想の空間作りのためのインスピレーションを刺激される事でしょう。
私自身、お部屋を開放的に、そして明るく見せるためにも「レースのカーテンを重ねたいな」なんて、大体のイメージを決めてショールームを訪れたのですが、ドイツ、オランダ、フランス、アメリカといった、欧米の国々の魅力的なファブリックに見惚れると同時に、自分一人ではまるで思いつかないような、おしゃれでワクワクするご提案をいただくことで、これは自分で考えていたよりもずっと素敵なお部屋になりそうだぞ、と確信を抱いたのでした。
シアーにきらめくモーヴのレースカーテン、洗いざらし清潔なコットンを思わせるナチュラルでありながら洗練されたブルーグリーンのカーテン、ダマスク模様のスタイリッシュでオリエンタルなムードのカーテン。気に入った候補を吟味しながら、さて最終的にどれにしようかと悩む時間もまた楽しい。
カーテンを選べば、大切な我が家が更にブラッシュアップされる予感です。引っ越しをされる方や新居を構える方ばかりでなく、インテリアをリフレッシュさせたい方もぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか？
前田紀至子
インスタグラム：＠ki45m
Note：https://note.mu/kishikomaeda
ナショナルインテリアショールーム
豊富な品ぞろえとクオリティの高さで知られるドイツJAB社の日本総代理店として、多彩なブランドの製品を取り扱う。カーテンをはじめカーペットやソファの張地などファブリック製品を中心に、インテリアをトータルで提案。六本木のショールームには常時ファブリックサンプルは50,000種以上、カーテンに縫製したサンプルは約600点を展示。ファブリックのセレクトやコーディネートの相談も気軽にできる。
住所：東京都港区六本木３丁目１６−３５ イースト六本木ビル2階
営業時間：11：00～18：00（月曜～土曜日）
定休日：日曜・祝日
HP：https://www.nt-interior.com/
※営業時間はホームページ等でご確認ください
※価格はすべて税別です（2021年５月現在）
