世界遺産の島に眠る…。静謐な時が流れ、‘奄美ブルー’の海に癒される旅。奄美群島は、トカラ列島と沖縄諸島の間に連なる8つの有人島の集合体で成り立っています。中でも奄美大島と徳之島は、「アマミノクロウサギに代表されるように、日本古来の希少種を含む多様な生物が生息・生育している」ことが評価され、沖縄島北部,西表島と共に、2021年7月、ユネスコ世界自然遺産に登録されたばかりです。
今回は、その奄美大島の海と共に静かに時を刻む、シンプルモダンなスモールリゾート「伝泊 The Beachfront MIJORA」をご紹介。島言葉「ネリヤカナヤ」(海の彼方の楽園)のとおり、独自の文化や伝統息づく自然の島はまさに楽園のようです。この島に誕生したリゾートについて、紐解いていきましょう。
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ため息が出るような美しい好天の日も、荒れ狂う雨風の厳しい日も、まさに海と共に生き、亜熱帯の自然を体感できるこのリゾートでは、訪れる人々の人生観さえ変えてしまうほど、5感が刺激されるエネルギーが宿っているようです。肩の力を抜いて深呼吸をし、自然に抗うことなくのんびりゆったりと滞在を楽しむといいでしょう。きっと、「伝泊 The Beachfront MIJORA」滞在中には、素顔の自分に改めて気づかされそうです。
リゾートの全室がオーシャンビューのため、どの部屋からも美しい海を眺めることができ、部屋に居ながらにして海との一体感が味わえます。穏やかな‘奄美ブルー’の赤木名湾に面して建つ、13棟のヴィラ。リゾートのコンセプトは「島の自然と対話する」とあります。ヴィラにはテレビはありませんから、自然との対話も生まれてきそうです。
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晴れの日も、雨の日も、それは自然のことで人の力は及びません。自然と共にあるリゾート造りは、ヴィラ運営会社の代表であり、建築家の山下保博氏率いる「山下保博×奄美設計集団」により設計されました。奄美出身者である山下氏は一級建築士事務所「アトリエ・天工人」を主宰し、自身の故郷だからこそ、何がベストかを知ることで生まれた「伝泊 The Beachfront MIJORA」なのです。
開業は2019年7月。テレビもなく、パソコンも持参せず、この時とばかり海や自然と対峙して、日常では味わえない‘自然に遊んでもらう’のも貴重な体験です。リゾートの掲げる「自然との対話」が楽しめるでしょう。夜になれば、空には拳大の星がきらめきます。夜空を見ながら、波の音をBGMにス~っと眠りにつく、贅沢な休暇です。滞在中の大切な食事は、奄美の新鮮食材で作られる自慢の創作料理が提供されます。こうして離島奄美の「衣・食・住・遊と伝統」に魅了され、島の原風景の中で過ごす特別な休暇となるはずです。
実は、この「伝泊 The Beachfront MIJORA」は、島に生きる人々との出会いや、文化・伝統の復興を願って設計され造られたといいます。「MIJORA(みじょら)」は、この施設がある小さな集落「三鳥屋(みどりや)」の古い呼び名。「伝泊」とは、「伝統的・伝説的な建築と集落と文化」を次の時代に伝えるための宿泊施設のことだそう。こんな情報を知るだけでも、なんだか奄美の奥深さが伝わってきます。
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初めて「伝泊 The Beachfront MIJORA」の客室を見た時に、荘子の言葉「虚室生白(きょしつしょうはく)」が浮かびました。「がらんとした部屋には日光が射し込んで自然に明るくなる。 人間も心を空にして何ものにもとらわれずにいれば、おのずと真理、真相がわかってくる」との思想です。ヴィラの客室から放たれるデザイン・メッセージには、島の人々との交流、伝統や文化復興を願うその奥に、もっと多くの意味が隠されているような気がしています。
取材・文/せきねきょうこ
Photo: 伝泊 The Beachfront MIJORA
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数、21年4月、新刊出版。
DATA
伝泊 The Beachfront MIJORA
鹿児島県 奄美市笠利町外金久亀崎986-1
📞0997-63-1910(平日午前9時〜午後6時)
amami@den-paku.com
https://den-paku.com/the-beachfront-mijora/