街中がイルミネーションで豪華に飾られクリスマスムード全開のニューヨーク。
アイススケートやホリデーマーケットなど魅力的な冬のアクティビティであふれる大都会マンハッタン。
今回は寒い季節に美味しいワインと心地良いジャズの音色が心も体もぽかぽか温めてくれる、大人のニューヨーカーが集うジャズクラブをご紹介しよう。
19世紀にジャズがニューヨークに
ジャズは19世紀後半、ニューオリンズで自然発生したアフリカ系アメリカ人による大衆芸能音楽だ。
南北戦争に負けた南軍軍楽隊の払い下げ楽器でアフリカ系アメリカ人たちが演奏した音楽がジャズの発祥といわれる。ニューヨークには1920年頃に伝わり、以来、数々のジャズ・ミュージシャンを生み出してきたジャズの歴史に欠かせない場所である。ジャズクラブには店の雰囲気からジャズの種類までそれぞれ違った魅力がある。
伝説のジャズ・ミュージシャンのスピリットが残る バードランド(Birdland)
マンハッタンの大都会の町並みに馴染むように佇む Birdland(バードランド)。ここは完全予約制で、しっかりと演奏に聞き入りたい人にぴったりのジャズ・クラブだ。
店の名前である「バード」は35歳で亡くなった天才サックス奏者チャーリー・パーカーのニックネームからつけられた。パーカー氏が亡くなった後、街中に「Bird Lives !(バードは生きている!)」という落書きができたほど人々に愛されたミュージシャンだったという。
チケットは事前に購入し、開演の30分前までに受付でチェックインを済ませる。席の指定はなく、先着順に良い席へ案内されるシステムだ。待ち時間にはバーでカクテルを楽しむことができるので、アメリカの人気TVドラマ「セックス・アンド・ザ・シティ」に登場するサラ・ジェシカ・パーカー演じるキャリーのお気に入りだったカクテル、コスモポリタンでおしゃれに乾杯するのも良い。
食事はいつでもオーダーでき、演奏が始まる前から頂くこともできる。 カクテルに比べるとワインリストの量は多くはないがワインはグラスはもちろん、ボトルでもオーダーできる。フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)の赤ワインを飲みながらジャズの生演奏を聞く、なんとも優雅なひとときだ。
バードランドはドレスアップして記念日や特別な日を過ごすのに絶好のジャズクラブだ。
現代のニューヨークカーのためのクールな空間 The Flatiron Room (ザ フラットアイアンルーム)
ニューヨークの象徴的な高層ビルであるFlatiron(フラットアイアンビル)のそばに位置するジャズクラブThe Flatiron Room(ザ フラットアイアンルーム) は、カジュアルにジャズを聞きながらお酒が飲みたい人におすすめだ。
2012年にオープンして以来、数々の雑誌でジャズが聞ける店として、また世界のベストバーとしても紹介されている。豪華なバーカウンターでは自慢のウイスキーとワインリストも充実しており、恋人や気の合う友人と語り合いながらジャズの演奏、パフォーマンスを楽しむことができる。
その他、マンハッタンには日本にも支店を構えるブルーノートジャズクラブ(Blue Note Jazz Club)やジャズの名門であるヴィレッジ・ヴァンガード(Village Vanguard)、Jazz Standard(ジャズスタンダード)など注目のジャズクラブが目白押しだ。
The Flatiron Room (フラットアイアンルーム)
https://www.theflatironroom.com/
心地よいジャズとワインのマリアージュ
自然の中から生まれるワインは、色も香りも様々で飲んだ時に感じる体や心の変化も楽しめ、さらには健康効果までもが期待できる。
ワインを飲みながらジャズを聞くことで視覚、嗅覚、味覚、そして聴覚が刺激され、感覚を研ぎ澄ますことができる。
もちろん好きなワインを飲むのが一番だが今回ご紹介したいのが「瞑想ワイン」とも呼ばれるアマローネだ。
アマローネは陰干しして糖度が上がったブドウから作られるイタリア最高峰のフルボディの赤ワインである。その製造方法は独特で、完熟のブドウを3~4カ月陰干しし40~45%ほど水分を取り除くことで果汁を凝縮させ、そのうえでブドウを発酵させる。発酵後の果汁は最低2年以上の樽熟成と6カ月以上の瓶内熟成を経てようやくリリースされるのだ。じっくりと熟成したアマローネはアルコールも高く、料理がなくてもその味わいを楽しむことができることから瞑想の際に飲むワインとしても親しまれており、ヨガとワインを組み合わせたクラスも存在する。
ジャズには1920年代から今日も伝わる基本原則というのがある。
20世紀を代表するジャズ・ミュージシャンのルイ・アームストロングが築いた「楽器を自分の個性や持ち味に合わせて 、 自由に演奏してよい」というもので、 ジャズマンの「個性」が楽器を通し音楽となって表現されるのだ。
クリスマス、お正月まであとわずか、今年は少し違った個性的なワインの楽しみ方を試してみてはいかがだろう。
マリーニ あゆみ
Ayumi Marini
福岡県出身。イタリアソムリエ協会認定ソムリエ・元客室乗務員。モデル、IT企業、留学など経験後、結婚を機にイタリアへ移る。ワインの宝庫ピエモンテとトスカーナでワインを学びプライベートワイナリー訪問のコーディネートを行う
。現在はアメリカ在住。旅とワインのブログではおすすめワイナリーや旅の様子を発信中。https://asmwine.com/