街を歩くのに最適な季節がやってきました。私がおすすめしたいのは「本気のインテリアショップ」巡りです。2026年から新しい考え方のショールームが続々とオープンし、日本でも世界レベルのインテリアがほぼ時間差なく手に入る、体験できることを知ってほしいと思います。

いわゆるインテリアのお買い物をするのではなく、まるで家のようなショールームで丁寧に接客を受ける。日常と切り離された劇場演出型の空間で、個性ある家具と出会う。色や柄の常識にとらわれず家具を考える。自分の中のインテリアの常識を塗り替える「新体験」をしてほしいのです。

心構えとして「必ず予約を入れる」「冷やかしで見に行かない(せめて学んで帰ってほしい)」「自分自身のライフスタイルを見つめなおす契機としてほしい」と思っています。

今回は2026年にオープンした注目の2大ショールーム厳選して紹介します。

タイムゾーンで間取りを考える「ポリフォーム東京」

「Poliform(ポリフォーム)」はアクタスが取り扱っているブランドですが、これまでは他のブランドも並んだ売り場でテーブルやソファなどが単品で展示されているだけでした。

今回オープンした「Poliform TOKYO」は2フロア延べ約670m2ですが、これまで家具をアイテムごとに並べていたショールームとは違い、「ライフタイムゾーン」という考え方で空間を仕切っているのが特徴です。大規模なインスピレーション空間です。

デイタイムゾーンは来客や家族を迎えやすく

まずは「デイタイムゾーン」。1階はリビングやキッチンなど昼間の時間に使うエリアとなります。エントランスのテラスにはアウトドアリビングが設られ、キッチンがあります。

キッチンで料理をしてテラスでいただく。そんなシーンが再現でされます。

奥に進むとジャンマリー・マッソーによるソファが円形で囲むようなリビングが。チューブ状のフォルムが特徴的的です。そしてその向こうには4方向から使えるどっしりとしたキッチンがあります。

壁面はすべてスパイスや皿、グラスなどを入れられる収納になっています、

もとはポリフォームは収納家具のブランドだったため、建築と一体になったキッチンや収納が得意。

住宅設備が古くなったからキッチンを交換する、収納が足りないから棚を買い足すといった、これまでの日本のインテリアの買い方の常識を捨て、全く新しい発想でアプローチしてみる、という考え方をここでは体感してほしいです。

2階はプライベートを重視する「ナイトエリア」

「寝室」という概念ではなく、パーソナルなくつろぎのスペースまで含んだ、主に夜の時間

を過ごすエリア。

ナイトエリアはウォークインクローゼットや洗面、ライブラリーなどとつなげたプライベートな場所にできるのも特徴。さまざまな空間がベッドルームにつながる動線も、ぜひチェックしてください。

ウォークインクローゼットは「宝箱」のような部屋

さらにウォークインクローゼットは、美しい「ルームスタイル」が主流。服をしまう部屋なんて、一番奥でいい、なんて考え方はありません。毎日の洋服選びが楽しくなるガラスのクローゼットに、中央にはアクセサリーやネクタイを収められるアイランドボックス。

ポリフォームは収納家具がブランドのルーツであることもあり、シグニチャーであるシステム収納を数多く提案しています。衣類やパーソナルアイテムを機能的かつ美しく洗練された方法で収納できるよう設計された空間を体験出来ます。そう、衣類収納はもうルームクローゼットの時代なのです。

自然光が入る2階のラウンジエリアは「自分らしく」装って

窓側の明るい場所にはジャン・マリー・マッソーによる円形の「Brera(ブレラ)」ソファを配置。

注目はマテリアルミックス。布、革、石、鉄、木など、異なる素材が合わさっても、それぞれの素材や色が重ねられてオーケストラのように魅力を出せるのですが、これはあくまでも使う人の個性に委ねられています。

ポリフォームは世界95ヶ国に110のブランドストア、そして約400の販売拠点がある世界的なブランド。この東京店は世界111番目になるというのですから、日本の意識がまだまだ世界には及んでいないことを感じます。

ガラス張りでオープンな雰囲気のポリフォームですが、それとは対照的なプライベート感満載のショールームがオープンしています。次はそこにご案内しましょう。

新築された静謐な箱―パラッツォモルテーニ東京

イタリアのブランド、モルテーニ。ここはシンプルな幾何学的なデザインの白い箱のようなショールーム。そうと知っていなければ、ここがどんな場所かを知る人は少ないでしょう。

Photo=PALAZZO MOLTENI TOKYO(以下同)

ここが「PALAZZO MOLTENI TOKYO(パラッツォモルテーニ東京)」です。地下1階、地上3階の4フロアで構成された、1000㎡のショールームです。同ブランドのクリエイティブディレクターを務めるベルギーの建築家、ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによる新築です。

日本の文化への深い理解と敬意を込めて設計されたパラッツォは、塊と空洞が融合した幾何学的ながら静謐な印象を残す、モルテーニの美学を内包した彫刻的な外観の邸宅となっています。

各フロアはほぼ同じ要素、でも違う表情が現れる

ポリフォーム東京が1棟で1軒の家を構成していたのに対し、パラッツォモルテーニ東京は、各フロアで一つの暮らしをイメージできるようになっています。

同じスペースでも選ぶ要素でこんなに個性が違うんだということが体験できます。キッチン、リビング、ダイニングの関係や、置かれているモデルや色柄のセレクト、ソファの配し方。フロアを上がるたびに、同じモルテーニでも次々と違った世界が現れて、「自分だったらどうしたいだろう」と、ブランドの中から自分自身を見つけ出せる心理設計になっています。

アイコニックアイテムの「ジオ・ポンティ」の見せ場がある

その中でもブランドの哲学を伝えるルールが貫かれており、その一つがミラノの建築家、ジオ・ポンティの作品の見せ場を各フロアに設けること。アートの意味もありますが、ちゃんと生活の中で支えることがポイントです。

地階のエンターテイメントリビングは、いるだけで高揚感

そしてパラッツォモルテーニ東京では圧巻の見せ場が2つ。一つは地下のエンターテイメントリビング。広いリビングは大きなソファやアクセント家具、空間に馴染むリビングボードまでが一体となって設計されています。広すぎるほどの空間ですが、その間はモルテーニのスライドドアシステムで仕切れるようになっていて、建具やドアまでが家具と連動して考えられているのです。

シェフを招いてのディナーも料理できる大きなキッチン(裏にはサブキッチン付き!)に、カジュアルなドリンクバーキッチンまで、食を楽しむキッチンが見どころです。

これ別フロアのウォークインクローゼットでも扉があり、ガラスのような建築が室内にいくつも生まれる、そんな効果をもたらしています。

実際に住めるラグジュアリーアパートメント

一方で最上階のフロアは「Molteni&C Apartment」と銘打たれた、プライベートエレベーターでアクセスできる160平方メートルの居住空間が広がっています。ここは浴室もあり、宿泊ができるまでつくり込んだフロア。住むことだって不可能ではありません。

この2つのショールームでは、もの単体としての家具ではなく」家具やキッチンを設計して配する」。その考え方を体感できます。

さらにアウトドアテラスにもつながり、都心の狭小住宅でも十分に自然の恵みを享受できることを感じることができます。

家具がインテリアアーキテクチャーという考えで、新築住宅の内装やリノベーションにも対応できるものとして大進化していることが分かります。

いまインテリアには2通りの考えがあると思います。チェアやテーブルなどを「空間のパーツ」として買って、模様替えをする手軽な方法。

一方で大掛かりなリノベーションをするほどまでではないけれど、新しい考え方をするインテリアストアで、全く違う発想でインテリアをリニューアルするスタイルです。

ソファをテレビに向かって置く。ダイニングテーブルは長方形でチェアは4つ。最新のインテリアショップはそんな考え方では勿体無いような空間がつくれるのです。

壁の塗り直しや張り替え、ラグなど床と壁に手を入れてもいいですし、照明もいまはライン状にさりげなく光を落とすものや、間接照明など、さまざまな光を放つ照明が販売されています。

今回紹介したショールームはまさに、この考えかたを体現したシンボリックな場所。1日の予約数も限られていますので、早めの予約がおすすめです。

そしてこの2か所だけではなく、大都市には次々と新感覚のインテリアショールームがオープンしています。私の最新刊「リアルキッチン&インテリアseaason14」ではそんな最新ショールーム情報をまとめていますので、よろしかったらお手に取ってみてくださいね。

PALAZZO MOLTENI TOKYO /パラッツォ・モルテーニ東京

東京都港区南青山五丁目16番10号  PALAZZO MOLTENI  

営業時間|11:00-18:00 予約制

TEL| 03-3400-3322

定休日|水曜、祝日
www.molteni.jp

Poliform TOKYO/ポリフォーム 東京

住所|東京都港区南青山五丁目4番50号metsa minami aoyama B館

営業時間|11:00 -19:00 予約制

定休日|水曜日(祝日を除く)

https://www.poliform.it/en/stores/poliform-tokyo/

Report & text  本間美紀(インテリア&キッチンジャーナリスト)

早稲田大学第一文学部卒業後、インテリアの専門誌「室内」の編集者を経て、独立後はインテリア、キッチン、デザイン関連の編集執筆、セミナー、企業のコミュニケーション支援など活動を多岐に広げている。著書「リアルキッチン&インテリア」「人生を変えるインテリアキッチン」「リアルリビング&インテリア」(小学館)で、水回りとインテリアと空間が溶け合う暮らしという新しい考え方を広げ、新世代読者の共感を得ている。ミラノサローネ、メッセフランクフルト、アルタガンマ財団など世界のインテリア見本市や本社から招聘され、イタリア、ドイツ、北欧など海外取材も多数。

インスタグラム @realkitchen_interior

ウェブサイト  https://realkitchen-interior.com

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