行けば必ず心ときめく物に出会える、誰でも一軒はそんなお店があるもの。この連載では素敵なライフスタイルを送る方のお気に入りのお店で、生活にプラスしたいモノ・コトを一緒に探します。
前回に引き続き、ご登場いただくのはCMをはじめ、広告や雑誌でも幅広く活躍するモデルの阿久津ゆりえさんです。
阿久津さんが大好きで、機会があるたびに訪れていると語るのは、清澄白河にあるヴィンテージ家具・アートなどを扱うギャラリー「stoop」。
今回は、「stoop」と、その姉妹店である「topso」に訪れ、stoopストアマネージャーの星 水月さんにたっぷりとインテリアの魅力を教わりながら店内を散策しました。

選りすぐりのヴィンテージ家具がそろうstoop
stoopは、5周年を機に、今年4月26日リニューアルオープンし、戦後復興期に建てられた木造家屋を活かしたギャラリースペースに加え、店舗スペースと新たなギャラリースペースが拡張されています。イタリア・フランス・オランダを中心に、世界各国から集められたヴィンテージ家具の販売のほか、年に3~4回、企画展も行っています。

阿久津さんがstoopを知ったのは、仕事で知り合った方からの紹介でした。
阿久津さん「以前モデルをさせていただいたお仕事に、stoopのオーナーである関 直宏さんが関わっていたんです。もうすぐインテリアショップができるよ、と教えていただいて。来てみたら『なんて素敵!』とすっかり気に入りました。ご縁から、こんな素敵なお店を知ることができて、とってもうれしいですね」
それ以来、清澄白河に用事があるたびに、ふらっと訪れているのだとか。
阿久津さん「今日は、落ち着いた色合いのインテリアのコーディネートが本当に素敵。リニューアルしてから初めて来たので、内装も家具も大きく変わっていて見て回るのが楽しみです」

店内に並ぶヴィンテージ品のインテリアの多くは、オーナー・関さんが自らフランスやイタリアに足を運び、買い付けをしています。
星さん「僕も同行したことがあるのですが、4tトラックを貸りて、僕とオーナーの関とで交代で運転しながら、ヨーロッパ中を6,000kmぐらい駆け巡りました。1週間もすると、トラックがいっぱいになるので、一度フランスにある倉庫に荷物を降ろしたらすぐに出発…という 生活を1ヶ月くらい続けるんです。それは大変です。 でも、めちゃくちゃ楽しいですよ!」
そうして集められたヴィンテージ家具は有名ブランドから、ルーツがはっきりとしないものまでさまざまですが、どれも上質さが漂います。
阿久津さん「なかなか、 買えるものではないんですが、見るだけで楽しいですね」
星さん「こちらとしては見ていただけるだけで嬉しいです」
ショールームの2階は、1階とはまた違った、自宅のような居心地の良さを感じるコーディネートです。

その中で気になったのは、大きめのソファ。
阿久津さん「このゆったりとしたかわいらしいシルエットがとっても好きです。一度座ったら立ち上がれなくなりそうな座り心地の良さ!」

星さん「1970年代に作られたカッシーナのソファですが、今でも同じデザインのシリーズが作られているカッシーナの代名詞ともいえるソファです。 ただ、現在はこのコーデュロイの生地を作るのが難しいそうです。家具なので、洋服とファブリックの強度が全く違うんですね」

続いて別棟に新たに誕生したギャラリースペースへ。ここでは、オープニングエキシビションとして世界各国から収集した非売品のコレクションを含むヴィンテージの名作チェアを展示・販売しています。

それぞれに特徴ある椅子ですが、カッシーナの世界一軽いと言われる椅子の繊細な技術には、特に驚かされた様子。(写真左上)
阿久津さん「本当に軽い! なぜこんなに軽いんでしょうか」

星さん「椅子の枠を三角にするなど、体積を極力すくなくする工夫がされています。座面は2㎜の細さの藤で編まれていて、これは現在ではできない技術ですね。この椅子もそうですが、イタリアの家具は、建築家がデザインしているものが多いんです。当時は、建物から家具、カトラリーまで建築家がデザインするということもよくありました」
阿久津さん「住まいの全般をプロデュースしていたんですね」
床に敷き詰められているのは、stoopオリジナルのレンガ。あえてレンガの断面を見せることで、独特の風合いを演出しています。往時の姿を残す建築と、ヴィンテージの椅子が一体となった空間でした。


stoop (ストゥープ)
住所:東京都江東区白河2-5-10
TEL:03 4285 4128
営業時間:12:00 ~19:00
定休日:月・火・水
HP:https://stoop.jp/
Instagram:@gallery_stoop
現行の名品家具が集まるtopso
stoopから歩いておよそ10分の場所にあるのが、姉妹店であるtopso(トプソ)。日本流通の少ない現行品のプロダクトを中心にコレクションしたショールーム兼ギャラリースペースとして、2月22日にオープンしました。
元自動車整備工場をリノベーションした空間は、開放感のある天井高を活かしながらギャラリースペース、ショールームスペースと、ステップフロア構造のホテルライクなラグジュアリースペースがシームレスに繋がっています。

現行品と言ってもデザインされた時代は古く1930年~1980年代に誕生したものがほとんどで、変わらずに愛され続けている、言わば名品ぞろい。
星さん「stoopで扱っている家具とデザインの文脈は同じで、新品かヴィンテージかの違いだけ。国内ではこの空間でしか見られない家具も多くラインナップされています」
このtopsoに入った瞬間、阿久津さんが目を奪われたのが、ホテルライクな空間にあるベッドでした。
阿久津さん「もう、ここに住みたいくらいの雰囲気! これが、約50年も前のデザインなんですね。展示の仕方がかっこよくてとても惹かれます。ベッドの触り心地は“もちもち”というのがぴったりですね」

続いて「渋い雰囲気のインテリアに惹かれる」と話す阿久津さんが気になったのがこのチェア。

星さん「独特な柄は、四方八方に広がった木の根の断面です。 木の根を真ん中から本のように切り開いた『ブックマッチ』という技術で、柄がシンメトリーになっています。
阿久津さん「自然なものなんですね。とてもきれいですね」

topsoでは日本人デザイナーのプロダクトも扱っています。
星さん「東京オリンピックの聖火トーチも手がけられた、吉岡徳仁氏によるガラスのワードローブです。200キロの重さを接着剤だけでくっつけているんですよ」
阿久津さん「接着剤でついているようには見えない、すごい技術ですね。中身が全部見えるから、何を入れようかと迷いそうですね」

この日一番のお気に入りとなったのがこのチェア。
星さん「当店で一番ユニークな椅子がこれなんです。阿久津さん、ぜひおかけになってみてください」と勧められるままに阿久津さんが座ると、ゆっくりとソファが沈み込みます。
阿久津さん「 わあ! ふかふかで、これはまるで“ネコバス”に乗っているみたい! 弾力があって、柔らかすぎず、ぴったりと支えられる感覚が本当に心地良いです」
星さん「これは1970年代のイタリアでデザインされたものです。インターネットで、いろいろと見られる世の中ですが、これは実際に足を運んで、座っていただかないとこの感触は味わっていただけません」
布地のや手触りや、椅子の座り心地…プロダクト本来の魅力は、やはり自分で見て触って感じるものということを改めて教えていただきました。


topso
住所:東京都江東区扇橋1-2-3 1F
TEL:03‐6783‐0189
営業時間:12:00 ~19:00
定休日:月・火・水
HP : https://topso.jp
Instagram : @gallery_topso
掲載の商品価格はすべて税込み、2025年6月取材時点のもの
取材を終えて
本来は家具を買いに行くべき場所なのに、 センス良くディスプレイされたインテリアを見ているだけでも楽しく、まるで美術館に来たような感覚になるのが stoop とtopsoの魅力です。
スタッフの皆さんがフレンドリーで、知識が豊富。お話を聞いているだけでもとても勉強になります。
1点1点のプロダクトにストーリーがあって、それを聞くことで想像が膨らみ、刺激をもらえる場所でもあります。
今日、初めて訪れたtopsoは、stoopとはまた違った、現行品ならではの上質さを感じました。
印象が違うのですが、やはりどこかに共通項も感じられて、2軒を「はしご」するとまた面白いと思います。

阿久津ゆりえさん
ファッションモデル。CMをはじめ、広告や雑誌、MV等で活躍。群馬県の観光特使も務めており、FMぐんまのラジオ番組でメインパーソナリティーを務めた経験も。 明るく自然体な人柄に、男女問わず幅広い年代から共感を得ている。
Instagram:@yurie__a
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