東京の中心地、大手町の1丁目に2016年7月20日、日本旅館「星のや東京」が誕生し早くも8年が過ぎようとしています。開業当初は、「東京に天然温泉付きの高級旅館が…」と、大きな話題は世界中を巡りました。東京から発信される伝統の宿‘旅館’。しかも温泉付きの高級旅館の誕生に国内外から熱い視線が集中したのを覚えています。


 表玄関のドアは本当に美しい青森ヒバ製の大木戸でした。その樹齢300年ともいわれる重厚感のあるドアがス~っと開くと、履き物を脱ぎ素足で廊下を歩きます。スリッパはなく、今も尚、めせき畳表(へりのない琉球畳)の床の感触を素足で確かめながら歩く心地よさを味わえます。高い天井の空間もヒバや竹、栗などで造られた精密な大工仕事の木造内装はとても美しく見えます。それに、玄関を入った時から‘白檀’の香りに心が一気に別世界へと誘われるようです。


 この地が大手町のフィナンシャルシティの中心であること、周囲のビル群のことや、東京の雑踏をすっかり忘れ去るこのアプローチに高級日本旅館の贅の極みを感じることに。館内は別世界、静謐な時が流れ、チェックアウトの時まで旅館の贅沢を味わいましょう。

塔の日本旅館らしい横からの外観。建物全体を覆う格子の麻の葉くずしの柄は昼の間、太陽光の角度で美しい柄の影が室内に投影される。
しっとりとした和の空間を個性的に飾るのはヒノキ工芸の朱色の漆塗レセプションカウンター。フロントバックは高級感たっぷりの手漉きの越前和紙。

「星のや東京」の自慢は‘お茶の間ラウンジ’にもあります。各フロアに造られた全6室のラウンジであり、各階のゲストは各階のお茶の間で寛げる贅沢な空間です。24時間自由に利用ができ、通常はコーヒーやお茶、菓子類、また夜には日本酒やおつまみなどが振舞われ、まるで自宅の居間のように利用して欲しいと願っています。もちろん語らいも、読書も、ラップトップでの仕事も可能。同階のゲストたちとのソーシャルな語らいも興味深いのではないでしょうか?

宿の特徴である「お茶の間ラウンジ」は各階にあり、24時間、自由にお茶の間のように使える。産地の異なる煎茶二種(静岡の「つゆひかり」と京都の「おくみどり」)、ハーブティーなど日本各地のお茶も揃う。
星のや東京で最も広い(83㎡)の客室で各階に1室のみの角部屋「菊」。

 また食事にも注目が集まります。宿泊客だけが味わえる極上のモダン和食「Nipponキュイジーヌ~美食の集い~」が2023年10月5日より新たなフェーズへと進化、地域の食材と文化を技で紡ぐとして新コースとして提供されています。「星のや東京」の総料理長である岡亮佑氏が、人の行き来と共に日本各地の上質な食材や食文化が集約されてきた江戸時代の‘参勤交代制度’に関心を持ち、美食の集まる東京でこそ味わえる現代の日本料理をフレンチの技法で仕上げジャンルを超えた料理に挑戦しています。朝食は日本料理の概念である「五味・五色・五法」に着目した「めざめの朝食」です。何とも贅沢な「星のや東京」の食事は、美しいだけではなく、力強さも感じる美味しい料理でした。日本食の奏でる美しさは世界でもトップクラス、岡総料理長の技も、一皿ごとに洒落ていながら気取らぬ江戸の粋を感じさせてくれました。

地下に設えてある食事処。宿泊者限定のプライベートな隠れ家で絶品のNipponキュイジーヌを堪能。
先付けの後に出される「りゅうきゅう」(魚、ラディッシュ、胡麻)。地元でとれた新鮮な魚を醤油、酒、みりん、胡麻、しょうがでつくるタレと和えていただく、大分県の代表的な郷土料理。
三重の郷土料理「どろぼう焼き」(伊勢海老、蟹、人参)。伊勢海老にこだわりの二種の味噌を使用した自家製ソースでいただく香ばしい焼き料理。

 忘れてならないのは、「星のや東京」の外観にもあります。江戸小紋の麻の葉をモチーフにイメージしデザインされた抜型の外観は、まるで風呂敷にすっぽりと包まれた建物のような気がします。その外観を包む伝統小紋の柄は江戸の‘粋’を感じさせてくれます。館内の蘊蓄も語り出したら止まらないほどに揃っています。石と木、自然素材で造られている内装、今治タオル、近隣を散歩するために創られた都会ならではのお洒落な‘お散歩着物’は、着物デザイナー、斉藤上太郎作といいます。京都祇園ない藤の草履、ヒノキ工芸の畳ソファ、絹糸の手巻き仕上げによる1階天井の吊るし提灯、バネを使わず、布団に近い寝心地追求したベッドなどなど…。細部にまで手を抜かないこだわりから、この東京ならではの高級旅館が出来上がっているのです。

青森ヒバ製の玄関自動扉が開くと天井の高いこのスペースで靴を脱いで素足に。下駄箱・客室のキャビネット扉など 栗の木、竹の格子編み(竹の意匠)などの美しい空間には白檀の香りの「匂い香」を忍ばせている。

取材・文/せきねきょうこ

Photo/星のや東京

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

Instagram: @ksekine_official

DATA

星のや東京

東京都千代田区大手町1丁目9−1

📞: 050-3134-8091

https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/hoshinoyatokyo/

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「界 アンジン」のペア宿泊券を抽選で2組4名様にプレゼントいたします。

応募締切:2024年3月31日(日)18時
当選者の発表は、メールでのご連絡後商品の発送(4月上旬ごろ)をもってかえさせていただきます。
提供:株式会社星野リゾート

ご応募いただく前に、以下詳細をお読みください。なお、ご応募いただいた時点で、以下の内容にご同意いただいたことになります。

■ご当選された方には宿泊レポートとして感想とお写真をご送付いただきます。いただいた内容はSUMAUおよびモリモトの公式SNSなどに投稿させていただく予定です。詳細はご当選者へのみご連絡いたします。

【プラン内容】
泊数 :1泊2日
人数 :2名1組
期間 :2024年5月6日~12月19日
除外日:土曜日、祝日、休前日、休館日、8/9~8/15
客室 :按針みなとの間 オーシャンビューツイン
食事 :2食付き(夕食は季節の会席となります)

【注意事項】
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