みなさん、はじめまして。女性誌やデジタルの媒体で主に美容の記事を編集、執筆をしています美容編集者のYと申します。この仕事をはじめて約10年、ありがたいことに、ヘア&メイクアップアーティスト、化粧品の研究員、俳優やモデルなど、多くの美のプロフェッショナルに囲まれて仕事をしているため、四六時中“美”について考えています。そこで、美容の編集者という立場で日々の出来事、取材での気づきをシェアして、みなさんに“美”についてポジティブに考えるきっかけになれば嬉しいです。
さて、突然ではありますが、2024年の抱負は決めましたか? 私はというと毎年、「資格を取得する」「言語の勉強をする」「趣味を極める」など、何かしらの抱負を立ててはいるものの、日々謀殺され、結局成果もなく数十年。でも今年は、“ある素敵なマダムへの取材”をきっかけに少し角度を変えた抱負を立てることにしました。それは“自分をもっと好きになる”こと。「あ(察)。自分のことが嫌いなタイプ?」と思えるかもしれませんが否です。私は自己肯定感があるほうだと(謎に)自負しています。
その素敵なマダムは、年を重ねても野暮ったさとは皆無。美容やファッションを“頑張る”ではなく、“楽しんでいる”という言葉がしっくりくるチャーミングな人でした。取材も半ば、「どうしたら、あなたのように素敵になれますか?」という問いに対し、マダムはこう答えました。
「私だってモデルさんや友人を見て、『なんて可愛いお顔なの』『スラッとした脚が素敵だわ』と思うことはあるわよ。でもね、羨んでも仕方のないことなの。願えば願うほど、その人の容姿に近づけるわけではない。人生は一回しかないのだから、誰かの人生をなぞるのではなく、自分を好きにならなきゃ」と。
久しぶりに目から鱗が落ち、ハッと目が覚めるような感覚がありました。
みなさんも感じていると思いますが、従来はテレビや雑誌で見る俳優、モデル、タレントが憧れの存在として君臨していたはずが、近頃(とも言えなくなってきましたが)SNSの発達により、インフルエンサーだけでなく、知らない誰かさえ輝いて見え、無意識のうち眼福と焦りが隣り合わせ状態になっていませんか?
私もSNSで多くの紳士淑女を拝ませていただくことで心が潤いで満たされつつも“羨ましい”という感情がゼロではないことに薄々感じていました。私たちは無意識のうちに必死に誰かになろうと、いや追いつこうとしていたのかもしれません。
「いい取材だったなぁ」と思いをはせていたところ「あれ。そもそも自分を好きになるためには、どうすればいいんだっけ?」ともう一人の自分から質問が。
世には自分を好きになるために色々なマインドセットの方法やテクニックがあるかもしれませんが、私なりにいくつか美容のTIPSの棚卸をしたので、ぜひご参考にしていただけると嬉しいです。
まず一つ目の提案は、“自分の特徴を知ること”。美容業界では常用語になりつつあるブルべ、イエベという言葉をご存じでしょうか。美容のことに詳しくない人でも、耳にしたことはあるのではないでしょうか。肌色の傾向を分けるブルーベースとイエローベースの略語ですね。
コスメを検討するうえで、自分の肌色を知ることで失敗しづらい判断材料になり「どんなコスメを選べばいいかわからない」という悩める人には大きな指標になります。
ただ、ご自身のパーソナルカラーをご存じじゃない人もいると思います。現在はSNS上で資格をもったパーソナル診断の募集をしている人も多いですが、もう少しカジュアルに受けられるサービスが、2023年の美容業界でも大きなニュースになった復活した資生堂、インウイが提供する“inoui ID 分析”(https://inoui.shiseido.co.jp/analyzer/)。
主に化粧品店でカウンセリングができ、“自分が生まれ持つものを活かして、自分美をつくるメイクブランド”というコンセプトのもと、パーソナルカラーはもちろん、顔のパーツや肌状態を診断し、どんな化粧品が似合うのかおすすめしてくれます。インウイの製品もパーソナリティを引きだしてくれるアイテムが揃っているので、ぜひチェックをしてほしいです。
二つ目の提案は、好きなアイテムを使うこと。前述の自身のパーソナルカラーと好きなコスメが合致していたら悩む必要はありませんが、「私はブルべなので、この色は似合わないんです」「イエベには、青みピンクを塗ることはご法度」とパーソナルカラーのせいで自分が好きなコスメを諦めている人も多いと聞きます。
そこで一つのテクニックとして、自分の肌と反対のカラーを仕込んでみてほしいです。
イエベでいうと青み系、ブルべでいうと黄み系のアイテムですね。肌色のギャップを調整することができ、自分のパーソナルカラーとは逆のコスメも圧倒的になじみやすくなります。
チークなどを取り入れるのもアリですが、おすすめは化粧下地。ファンデーションの下に塗るだけで、肌のニュアンスを変えてくれるので、パーソナルカラーが違っていても肌になじみやすくなります。メイク上級者の人は、ラカのアイシャドウのようにイエロー系を薄く仕込むと、イエベのアイテムがよりなじみやすくなりいつもとは違うニュアンスが楽しめます。
最後の提案は、眉毛をアップデートしてみること。顔のパーツの中で、目、口、鼻の形をドラスティックに変えるのは、かなりの勇気と予算が必要になりますが、気軽に見直せるのが眉。でも、気軽とはいえ効果は絶大です。みなさんは眉毛のメイク、どれくらい前に変えましたか?骨格はもちろん、トレンドによって眉の形が変わるので、定期的に眉を見直すことをおすすめします。形を整えるためにアイブロウサロンに行くのもいいですが、いつもと違う質感やカラーのアイテムを取り入れるだけで新しい顔に出会えるので、ぜひ新しいアイブロウアイテムにチャレンジしてほしいです。
今回提案したティップスは、あくまでも美容の一例です。正解は一つではなく、ファッション、趣味、ライフスタイルなど、自分自身の好きを考え直すきっかけにしてほしいです。私も憧れの“素敵なマダム”を追いかけるのではなく、楽しみながら模索して自分をもっと好きになっていきたいと思います。
美容編集者Y
女性ファッション誌、美容誌、デジタル媒体などで、編集、執筆。試してきたコスメは数千個。トレンドに振り回されていることに心地よさも感じつつ、自分だけの名品コスメリストも日々更新中。好きな俳優はシャルロット・ゲンズブール。
※商品情報・価格は全て編集部調べ