モデル、ライターを経て、現在は旅や美容を中心とした暮らしにまつわるコラムやエッセイを寄稿している前田紀至子さん。お父様が大のインテリア好きで、ご自身も自然とインテリアに興味を持つように。この連載では、そんな前田さんとともに、お部屋を彩るアイテムを探求していきます。
今回はフラワーベースブランド「Henry Dean」(ヘンリーディーン)の日本総代理店であるTISTOUのショールームへ。1972年にベルギーで、旅と読書とモダンアート、ガラスをこよなく愛するHenry Deanによって設立。思わず手に取りたくなるあたたかみのある製品を生み出しました。現在は引退し、フランスの田舎町で好きな絵を描きながら暮らしていますが、ガラスへの情熱は2人の息子と娘に受け継がれています。TISTOU代表の平田倫子さんにそのプロダクトの魅力はもちろん、初めてフラワーベースを買う方の参考になる選び方の基本を教えていただきました。数々の魅力的な商品から前田さんがセレクトしたフラワーベースも一緒にご紹介します。
使いやすさとデザイン性を
兼ね備えたフラワーベース
前田さん「ステイホームが始まった頃に、お花を飾りたいなと思うようになりました。そうなると花瓶が欲しくなって、ネットでいろいろ調べているうちに『Henry Dean』を見つけたんです。家の近くのインテリアショップで取り扱いがあったので、目掛けて買いに行きました。とても気に入っているので、ちょっとずつ悩みながら買い足していきたいなと思っています」
平田さん「ありがとうございます。フラワーベースって、みなさん意外と持っていないんですよね。そして欲しいと思っても、ちょうど良いものってなかなか見つからないんです」

前田さん「使い勝手がよくて、何をいけても様になるってほかにはあまりないですよ。何でも合うのに無難にはならず、おしゃれさが際立つんです」
平田さん「使いやすさの理由として、しっかりと重いということがあります。お花って重心が上にあるので、軽いベースだと不安定になって倒れてしまうこともあるんです。また日本らしい枝物など、長いものをいけるときにも重いほうが安心です」
前田さん「私も一輪挿しを愛用していますが大きめのお花をいけても、グラグラせずに安定しているのが良いなと思っていました」

お花とのバランスで
花瓶のサイズを選ぶ
前田さん「サイズや形がいろいろありますが、選ぶ時のコツなどありますか?」
平田さん「初めて購入される方は、小さいサイズを手に取りがちですが、高さ20㎝くらいのものがおすすめです。売られているお花は40㎝〜50㎝くらいのものが多いんです。お花と花瓶のバランスは1:1が良いとされているので、小さい花瓶を買ってしまうとせっかくのお花を最初から短くしないといけなくなってしまうんですよ」

前田さん「デビューだと小さいものって思いがちですが、そう聞くと大きいサイズが欲しくなりますね」
平田さん「口が大きすぎないほうが使いやすいというのはありますが、無理にお花をまっすぐ立たたそうとせず、自然に横に流れても素敵なので気にしすぎなくて良いかと思います」
前田さん「たくさん持っていて買い足しなら小さいものもあると便利ですよね」

平田さん「茎が折れてしまったときや、小さな球根を飾るなど目的があればおすすめです」
前田さん「小さいとお手入れがしづらい気がするんですがどうですか?」
平田さん「柄つきブラシがあると便利ですが、重曹を入れてひと晩置いておくだけでも汚れが落ちますよ。雑菌がお花に入るとしおれてしまうので、特に夏場はこまめに水を替えてお手入れしていただきたいです」

前田さん「重曹はさっそく今日試してみます。玄関とかに大きいのを床に置くのもおしゃれですよね。そうなると大物が欲しくなるなあ…。ブーケや枝ものを飾るのにぴったりですよね」
平田さん「私は普段、大きい花瓶にキッチンペーパーを入れていますよ(笑)。ずっとお花があるわけではないと思うので、小物入れにしていただくなど自由に活用していただければ」

(取材&文・SUMAU編集部 撮影・古本麻由未)
全てが1点もの
出会いを大切に
前田さん「よく見ると同じ色でも表情が全部違うんですね」
平田さん「すべて手作りなので気泡の入り方など同じものはありません。また、リサイクルガラスを使用しているのでガラスの色が作るたびに違って、同じ透明でも少しずつ違うんですよ。いまサステナビリティと言われていますが、40年前からずっとその手法です。そういった部分は勉強になりますね」
前田さん「一つも同じものがないと知るともっと大事にしようって思えますし、目に入るたびにテンションがあがりますね」
平田さん「カラフルなんですけど、ベルギーの曇り空のイメージからか、くすんだ色合いが多いんですよね。日本の草木染の色に似ていると言われることもあります。それが主張しすぎないので、ちょうど植物と合うのかも知れません。定番は3色ですが、季節ごとにシーズナルカラーも追加されます。どうやったらおもしろい柄ができるかを追及して、パウダーや色の調合で様々な工夫をしています。以前、小樽のガラス工場の方が見てくださったんですけど、本当にどうやって作っているかわからないとおっしゃっていました」
前田さん「作る工程が全く違うんでしょうね。ちょっとくすんだニュアンスカラーの色合いも絶妙でいくつも集めて並べたくなります」

平田さん「ガラスの膨張率に対して色の調合が合わないと破裂することも多いそうなんですが、そこも計算してつくられているんです。創始者のヘンリーディーンはガラスマニアなんですよ(笑)。引退したいまは田舎町で悠々自適に絵を描いて暮らしています。日本のことも好きで、桜の咲く4月の日本がとくに好きで、人生最後の旅行は日本がいいって言ってるくらいです」
前田さん「素敵! ぜひまた来日していただきたいですね。そう聞くと、ますます迷いますが色や柄選びのポイントも教えていただきたいです」

平田さん「やはりインテリアに合わせていただくのがわかりやすいかな、と。ブルーで統一したお部屋ならオレンジが映えると思いますし、相手のお部屋がわからないギフトでしたらなんでもあいそうな色合いがおすすめですね」
前田さん「クリアに金のキラキラが入った『ビジュー』は絶対みんな好きだろうなって思いました。個人的にはこの『ブルネット』のカラーが気になります」

平田さん「『ブルネット』は一見華やかさはないですがお部屋に置いていただくととても落ち着いた雰囲気で素敵ですよ。一番人気があるのはピンクです」
前田さん「確かに、普段はあまり選ばないですが主張しすぎないこちらのピンクは惹かれます。でも、色も柄も同じものが1つもないわけじゃないと考えると、お店に来て手に取ってピンとくるものを探すのが楽しそうですよね」
平田さん「そうですね。結局は好きなものを選んでいただくのが一番です」
前田さん「どの空間にもなじむので、これから新生活が始まる方へのプレゼントにもいいですね」
平田さん「気温が低い今は、お花が長持ちする時期なのでプレゼントにぴったりです。お花の居場所があれば、ここに飾ろうかな、という気持ちになりますよね。ぜひ、お花のある暮らしを楽しんでいただきたいです」
■取材後記
初めてのステイホームが始まり気持ちが塞ぎがちになる中で、最初に「欲しい!」と物欲が湧いたもの、それがフラワーベースでした。できれば部屋のムードを明るく、そしておしゃれにしてくれるものが良い。ついでにどんなお花や葉っぱも活かしてくれるような汎用性の高いデザインなら最高。
色々とリサーチした中で、これらの条件を軽々と満たし、さらに期待値の上をいってくれたのがヘンリーディーンのフラワーベースだったのです。柔らかなクリアカラーのV.Stromboli XSはその当時の自分にとってあまりにもしっくりきたことをよく覚えています。その後、お友達数人にもおすすめしては「最高にお気に入り」と喜んでもらえたのもまた印象的でした。
そうして念願叶っての、今回の取材。フラワーベースの選びかたや、お花の活けかた含めて気さくでありながらセンス良く教えてくださるスタッフの皆さんはまさにヘンリーディーンのイメージそのままに魅力的!
思わず、新しい物が欲しくなってスタッフのSさんと色ちがいでV.Stromboli Sを購入、また一つヘンリーディーンの愛おしい花器がお家に増えたのでした。
少しずつ集めては、その佇まいやカラーが織りなすニュアンスを堪能すること含め愉しいヘンリーディーン。週末はショールームもオープンしているので、ぜひ予約をして出向いてみてくださいね。

前田紀至子
インスタグラム:@ki45m
Note:https://note.mu/kishikomaeda

TISTOU SHOWROOM
ヨーロッパを中心とした世界のインテリアデザインブランドやアーティストの日本総代理店を務める輸入商社TISTOUのショールーム。「Henry Dean」は1998年の創業当時から取り扱う。
住所:〒111-0051 台東区蔵前3-7-3
Tel: 03-5829-4085
営業時間:木・金・土 12:00~18:00
※2営業日前まで要予約

Information
multiple TISTOU(マルティプル ティストゥー)
TISTOU初のオリジナルプロダクトとして日本の暮らしにフィットしたフラワーベースを提案するプロジェクト「multiple TISTOU (マルティプル ティストゥー)」。その第一弾に老舗ガラスメーカー、木村硝子店とコラボレートしたガラスのフラワーベース「HIVE(ハイヴ)」が登場。2022年1月26日より公式オンラインストアにて予約受付中。
価格:HIVE160(φ40×163㎜)4,950円(税別)、HIVE220(φ40×210㎜)5,200円(税別)
※価格はすべて税別、2022年1月現在