モデル、ライターを経て、現在は旅や美容を中心とした暮らしにまつわるコラムやエッセイを寄稿している前田紀至子さん。お父様が大のインテリア好きで、ご自身も自然とインテリアに興味を持つように。この連載では、そんな前田さんとともに、お部屋を彩るアイテムを探求していきます。


家で植物を育てる人が増えているいま、大手セレクトショップで取り扱われるなど、特に注目されている塊根(かいこん)植物。今回は、その塊根植物とアガベを専門に扱う「RAFLUM」のショールームを訪れ、その魅力や初心者におすすめの植物、お手入れ方法などについて代表のDeco(デコ)さんにお伺いしました。

株ごとに個性はそれぞれ

お気に入りを見つけよう


Decoさん「もともと、僕自身が塊根植物が好きで、コレクションをしていました。その趣味が高じて2019年にECサイトをオープンしたんです」


前田さん「最近は愛好家がさらに増えていますよね。私も興味があって、今日はいろいろと教えていただきたいです。こちらにはたくさんの種類があって迷いますね。どんなものを選べばいいのでしょうか」


Decoさん「最初にグラキリス類を手に取る方が多いですね。なかでも枝が短くて根がぷくっとふくらんだ大きいもののほうが良いと言われています。


前田さん「お花が咲いているものもあるんですね」

中央にあるのがパキポディウムグラキリス

Decoさん「こちらも人気のパキポディウムグラキリスですね。花は赤・黄色・白系があります。パキポディウムブレビカウレなんかもいいですよ。日本名は『恵比寿笑い』といいます。ちょっと、ずんぐりむっくりした感じがかわいくて」


前田さん「犬で言うとパグのような、なんとも言えないかわいらしさがありますね」

パキポディウムブレビカウレ(恵比寿笑い) ¥9,900(税込み)

前田さん「このパイナップルの様なものもかわいい。大きいものはハードルが高く感じますが、こういう小さいものからだと、一緒に成長していける感じがしますね」

パキポディウムウィンゾリー実生 ¥19,800(税込み) 

前田さん「店内でも人気の植物はありますか?」


Decoさん「この2,3年でブームになっているのが『アガベ』というもので、メキシコでアガベオイルとかテキーラの原料になっているものなのですが、人気で価格が高騰しています。アガベは育てやすいので、2,3年たてば大きくなりますよ。どんどん増えるので、ブームが落ち着けばもっと買いやすい価格になるとも言われています」

アガベホリダ ¥39,600(税込み)

前田さん「育てやすいのは魅力ですね。アガベは人気で価格があがっているということですが、ほかの植物も1万円台~数十万円と、価格が幅広いですね。小さいものが安いというわけでもないんでしょうか」

7年ぶりに日本に入ってきた、日本でもかなり希少なもの/キフォステンママクロプス¥440,000(税込み)


Decoさん「なかなか輸入ができなかったりして、国内にしばらく入ってこないモノは、希少価値がついて値があがっていますね。また、同じ種類でも大きさだけでなく、塊根部がまるまるとしているなど、形の良い物は価値がつきやすいです。鉢とのバランスでも違いがありますね。塊根って鉢ギリギリ目一杯に植えたりする、浅鉢の美学というのもあって、塊根部が鉢からはみ出してしまっているものなんて、好きな人にはたまらないんですよ。『はみでてるじゃん!すごい!』って(笑)」


前田さん「それは、おもしろい!素人からすると、少し余裕があるほうがいいのかなあと思ってしまいますね」


Decoさん「本当のことを言うと、そのほうが植物は成長しやすいし、株にとっては余裕がある方が良いです。でも、いかに浅くギリギリに入れるか、という美学もあるんですよ(笑)。実際にマダガスカルなどでは、岩と岩のすきまにはえていたりするので、現地の感じを再現したいという気持ちなんかもありますかね」


前田さん「こんもりして塊根の存在感があるほうがいいんですね。わかる気がする。でも、バランスが多少悪くても、それはそれで味があって素敵ですよね」


Decoさん「もちろん、価値がどうかよりも、最終的には気に入ったものが一番ですね。同じ種類の植物でもそれぞれに個性があるので」


前田さん「本当に、全部がかわいく見えてしまいます」


Decoさん「このかわいさがわかる方だとどっぷりハマると思います! 1点買っていただいたお客様は、必ずと言っていいほどもうひとつ買いに来られますよ」





5~6月に始めるのが最適

塊根植物のお手入れ方法


前田さん「基本的にやり過ぎはよくないとは思いますが、お水はどのタイミングであげるのが良いんでしょうか。私は、これまで植物をかわいがり過ぎて、枯らしてしまうことが多くて…」


Decoさん「塊根植物には夏型と冬型があるのですが、夏型の場合は5~8月によく育ちます。水の渇きが早い夏場はマメにあげてもよいですが、毎日水やりをする必要はなく、2週間に1回とか時期によっては月1でも大丈夫です!葉に霧吹きをして、毎日こまめに状態をチェックしてください。塊根の部分が少ししぼんできたり、葉が黄色くなったりしたら水が足りないサインです。冬には葉が落ちて休眠期に入るので、そうなると水をあげてはいけないんです」

前田さん「夏型の植物はちょうど今の時期が一番育てやすいのですね。このショールームは日当たりも良いですが、日光にあてたほうがいいですか?」


Decoさん「直射日光にあてすぎると焼けてしまうこともあるので、当たり過ぎない場所や、朝と夕方とか、時間によって日が当たったり当たらなかったりするくらいがいいですね。また、夏型の場合はなるべく25℃くらいを保って、冬場は15℃より低くならないように管理していただければ大丈夫です。光と風と水のバランスが大事で、できればベランダなどに出して外気にあてていただくのもおすすめです。風は湿気を飛ばしたり、害虫をつきにくくしたりする効果があるんです」

前田さん「やはり、そういった細やかな気遣いが必要なんですね」


Decoさん「あまり『簡単です』とは言いにくいのですが、水やリは少ないですし、温度管理も人間が快適な温度に近いので、個人的には楽な部分も多いかなと思っています。ご購入いただいた方でしたらメールでもご相談に乗りますし、本当に心配な場合は送っていただいてケアをすることもできますよ」


前田さん「そこまでしていただけると安心ですね」


Decoさん「これまで育てた植物は、お嫁に出したような気分で…。実は自分から『元気にしていますか? 写真を送ってください』とご連絡することもあるんです(笑)」


前田さん「(笑)。確かに、育てるほど愛着がわいてきますよね。私も最近植物を育てているので気持ちはとてもわかります。鉢もいろんな種類がありますが、相性などはありますか?」


Decoさん「プラスチックは熱がこもるので発根管理には良いと言われていますが、根がしっかりはっていれば、好きなものを選んでいただいて大丈夫です。植え替えは、この暖かい時期にやりましょう! 当店では、使われなくなったモノをリサイクルして鉢にしたり、廃材を鉢にするサステナブルな取り組みも行っています」


前田さん「鉢も含めてお気に入りを見つけたいですね。私は今日さんざん見させていただいて、葉っぱがところどころにはえている、この恵比寿笑いに惹かれました。名前も縁起がいい感じがするし」


Decoさん「そこに花が出るとさらにかわいいですよ。恵比寿笑いは基本的に黄色い花が咲くのですが、レアな白花が咲くのもあります。プレゼントしますので、ぜひこちらを育ててください」


前田さん「嬉しいです! この小さな葉が大きくなるのを祈りながら育てていきたいです。そして、成長を必ず報告にきますね」



取材後記

街や旅先で新緑や自然にときめき、感動する機会も多く、お部屋にもグリーンを増やしたくなる季節。そんな折、以前より気になっていたラフラムに運良く伺うことができました。

ラフラムは今や一大トレンドのアガベをはじめ、塊根植物を取り扱う素敵な植物屋さん。しかもインスタグラムをチェックして、来店予約をしてから訪問するシステム。

「気にはなるけれど、植物初心者の私にはまだまだ早いかな…」そんな一抹の不安は一歩足を踏み入れるとあっという間に消え去りました。

一面に広がる青々とした植物たちとともに、柔らかく人懐っこい笑顔で迎え入れてくださるスタッフのみなさんたちは、初心者らしい素朴な質問にも忖度なく優しく教えてくださる方々ばかり。

「植物好きはみんな心のきれいな人たちなのだな」と心洗われたひと時でした。

数ある塊根植物の中から私が一目惚れしたのは、オーナーのDECOさんが「“ブサカワ”なのが魅力です」と微笑んでくださった恵比寿笑いという品種。

ほっこり愛らしい魅力の恵比寿笑いには「えべちゃん(=関西ではえびす様のことをえべっさんと言うので)」と名付けて大切に育てたいと思います。

ちなみに昨年の「阪急うめだ本店」のポップアップに続き5月11日(本日!)からは「阪急メンズ東京」でのポップアップが開催されるそう。予約なしでもキュートな表情の植物たちに出会える貴重な機会、ぜひ一度覗いてみてくださいね。


(取材&文・SUMAU編集部 撮影・古本麻由未)

前田紀至子

インスタグラム:@ki45m

Note:https://note.mu/kishikomaeda



RAFLUM(ラフラム)

東京・原宿にある完全予約制のショップ。希少な塊根植物と、いま人気を集めるアガベを中心に取り扱う。購入は公式サイトからも可能。

住所:東京都渋谷区神宮前2-33-12-307
TEL:03-6877-6192

公式サイト:https://raflum.com/

来店予約受付:raflum@glamlaughter-standard.com


有楽町阪急MEN’S TOKYO ・ラフラムPOP UP

東京では初めてとなる実店舗でのポップアップイベント。塊根植物・アガベはもちろん、陶器鉢やグッズも多数そろう。


会期:2022年5月11日(水)~5月17日(火)
時間:11:00~20:00 ※最終日は19:00閉場
会場:阪急メンズ東京 1F メインベース
住所:東京都千代田区有楽町2-5-1

TEL:03-6252-5274(阪急メンズ東京・売場直通)
来場者特典:来場者に数量限定でラフラム オリジナルのプランツネームタグを配布。

※価格はすべて税込みです。情報は取材時のものになります。(2022年5月現在)



SUMAU読者プレゼント

抽選で3名様にラフラムの「アガベレッジーナ」「ガステリア」「ユーフォルビア オベサ」から、いずれか1点をプレゼントします。ぜひご応募ください。

※こちらのプレゼントへの応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました。

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