日本の誇る最高級クラスのホテルとして、これほどロケーションに恵まれたホテルがあるでしょうか。東京都心の一等地、丸の内1-1-1をアドレスに持ち、整然と手入れの行き届いた皇居外苑のお濠に面する稀な環境に「パレスホテル東京」が建っています。

地上23階、地下4階の姿を堂々と披露するホテルは、2009年1月31日に始められた大掛かりな新築工事のために、3年もの休館を実施しました。そして2012年5月17日、グランドホテルとしての格式と贅沢な設備を整え、重厚感溢れる堂々としたラグジュアリーホテルとしての再出発でした。

こうして現代の日本を代表する最高級ホテルとして高い評価を得ていますが、改装以前のホテルは、ビジネス界のTOPランナーや政治家が頻繁に出入りし、女性には少し敷居の高かった印象がありました。しかし、そのホテルが全く別の印象に変わり、誰もが入りたくなるほどキラキラとした高級感漂うホテルとなったのです。

特に、エントランス前でサービスをするアテンダントのスタッフは、誰もが活発に動き、笑顔でゲストを迎えています。車を降り案内されて館内に入ると、1階を占めるラウンジエリアは、いつ訪れても賑わいがあり、大きなガラス戸から陽光が差し込む明るい空間に‘高級感’が迫ります。またエレベーターホールを挟んで同階の宿泊者専用のロビーでは、「レ・クレドール・インターナショナル」のメンバーに与えられるクロスキーを胸に輝かせたサービスのプロ専用のブースがあり、安心してなんでもリクエストができることを認識するのです。到着時のきめ細やかなサービスは1階に留まらず、クラブルームやスイートを予約したゲストが通されるクラブラウンジ (19階)でも同様です。ゆったりとしたラウンジで、ウェルカムドリンクをいただきながらチェックイン。 ここではイヴニングカナッペや夜のナイトキャップ、翌朝の朝食など、パーソナルなサービスが揃い、贅沢な滞在が始まります。 

 

若くして総支配人に就任し、現在もスタッフの頂点に立ちホテルの指揮を執る渡部勝氏ですが、以前にもインタビューに丁寧に応じてくれたことを覚えています。当時、同氏はこう語ってくれました。「不得意のないホテルにしたい、地道でありたい、不器用なことでもじっくりと取り組むことが未来につながる」と。そして今、再開からあっという間の14年が過ぎたホテルには新たに多くのファンが生まれ、彼らが異口同音に言うのは「信頼感がある」と。私もファンの一人として同様に思うのです。

ホテル到着のゲストを出迎えるスタッフ。バレーサービスやアテンダント、またはベルデスクなどホテルにより担当者は異なるが、「パレスホテル東京」では、いつ訪れてもキビキビとしたスタッフが玄関先で出迎え館内へと誘導してくれる。高級ホテルらしい出迎えが快適。
メインロビーの優雅な佇まい、都心でありながら外苑のお濠と緑から自然を感じるメインロビー。コンシェルジュ席やフロントデスクのある宿泊ゲスト専用ロビーはエレベーターホールを挟んで隣に。
クラブルーム、及びスイートに滞在のゲストが利用可能な‘クラブラウンジ’。チェックイン・アウトもここで。また朝食、アフタヌーンティー、イヴニングカナッペ、ナイトキャップのサービス、他にも様々な特典が。

高層ホテルとしては珍しいバルコニーで
風を感じながら都心を眺める爽快感

総客室数284室、全室が45㎡以上の客室の内、スイートルームと呼ぶのは18室。つまりすべての部屋がスイート仕様とも言えそうな贅沢な造りなのです。まさにグランドレジデンスと呼ぶにふさわしい設えの客室が揃っています。ほとんどの客室が常に埋まり、顧客の多さ、稼働率の高さに驚きます。ロケーションの良さだけではない魅力がリピーターを惹きつけているのです。

客室内を見渡せば特別に目立つ色調ではなく、自然との調和を考えたという優しいアースカラーや、温か味のあるパステルカラーが主役です。以前に伺った話ですと、館内には約720点のアートが飾られているとのこと。それでもホテル全体の印象は、華やかながら落ち着いた空間造りのバランスが快適です。

10周年イヤーに誕生の新スイート「プレミアスイート」(90㎡)。木の温もりをバランスよく取り入れた「自然との調和」を実現。使いやすい造りと落ち着きのあるデザインで住居としたいほど。
自然な色調に日本的なインテリアやエレガントな織物、アートワーク、バスルームの伊豆石造りなどが日本的な千代田スイート(80㎡)。

メインダイニング「エステール by アラン・デュカス」では、‘大地と海の出会いの物語を紡ぐ場所’ をコンセプトに持つフレンチファインダイニングとして提供されています。以前のレストラン「クラウン」でも同様に、ドレスコードを持つ数少ないレストランなのです。世界的にも各国の豪華ホテルの多くがますますカジュアル化する中、背筋を伸ばして服装を整え、それでも気取ることなく美味しい料理が楽しめる、そう思うと、最高級ホテルが伝統として継承する最低限のマナーは、総料理長やスタッフ、そしてホテルにも敬意を払う意味合いがあるのです。

最後に、当ホテルにリブインして15年になるという総支配人、渡部勝氏に再び質問を投げかけました。その応えは「ホテルは「特別な非日常」だけを提供する場所ではなく、人々の暮らしや仕事に自然と溶け込む「上質な日常」の延長線上にある場でありたい」「衣・食・住のすべてにおいて、ゲストの「感性を磨く場所」であってほしい」と。そして流行を追うのではなく、ホテルの存在意義は世代を超えて長く愛され続けることだと加えました。理想の姿は「タイムレスな価値」にあると言うのです。

確かにホテルには「衣・食・住・遊」が詰まっています。さらに「パレスホテル東京」では、サステナビリティにも熱心な活動を続け、コンセプトに「未来を、もてなす。」と掲げ、メイド・イン・ジャパンのホテルとして世界に貢献していく決意を語っています。「パレスホテル東京」に滞在したら、可能な限りすべての施設を利用し、一人でも多くのスタッフと会話を交わしてみてください。これがホテルの個性や魅力をより感じる術なのです。

2019年11月1日オープン。一段と高級感を増したメインダイニング「エステール by アラン・デュカス」の内観。コンセプトは“大地と海の出会いの物語を紡ぐ場所” 。「ミシュランガイド東京 2026」では1つ星取得。
フレンチファインダイニングの「エステール by アラン・デュカス」で供される濃厚な旨味の「熊本産あか牛」と旬の新鮮野菜を盛り付けた美しい一皿。日本の食材の個性を活かしコンテンポラリーなフランス料理に。
クラブラウンジでは7:00-10:30の間に朝食をサービス。写真は洋朝食(タルティーヌ)。和食と洋食が選択可能。専任のクラブラウンジスタッフによるパーソナルサービスも受けられる。
クラブラウンジで提供される‘カナッペ’のひとつ。午前中のライトスナック、午後のアフタヌーンティーやイヴニングカナッペ、飲み物類もサービスされる。
19階、クラブラウンジから秋を迎えた都心、皇居外苑と和田倉噴水公園の美しい眺望。六本木ヒルズや東京タワー、虎ノ門ヒルズ迄。

取材・文/せきねきょうこ

Photo/パレスホテル東京

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

Instagram: @ksekine_official

DATA

パレスホテル東京 

東京都千代田区丸の内1-1-1

TEL: 03-3211-5211

https://www.palacehoteltokyo.com/

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