「パーク ハイアット 東京」の創業は、今から30年以上も前の1994年7月9日でした。時の流れの速さには唖然とするばかりですが、実は、私が現在の職業に就いたのも1994年7月、全く時を同じくしての始まりでした。互いに長い時を経て共に歩んだと勝手に思っていますが、「パーク ハイアット 東京」は少しも古びることなく、むしろ今でもスタイリッシュホテルを先導するように洗練されたスタイルを保持し、都市型として数多のホテルに影響を与え、今尚、高級ホテル界をみごとに闊歩しています。さらに国内ばかりか、「パーク ハイアット 東京」のグローバルな人気も不動であることに驚かされています。

アジア初として開業したこのハイブランドのホテルは、プリツカー賞受賞建築家・丹下健三氏設計により話題となった新宿パークタワーの高層階を占めています。多くの部分でガラス張りのホテルは天空から見晴らす東京の情景や、優美な富士山を遠望できることも感動的です。館内デザインの細部にまで気遣いを感じさせることも、さらにシンプルでありながら高級感漂う空間づくりは、伝説のインテリアデザイナーである‘ジョン モーフォード’のデザインの哲学的な力でしょう。

その「パーク ハイアット 東京」が、2024年5月から19カ月の大規模改装による休館を経て、2025年12月にリニューアルオープンを迎えました。妥協を許さぬリニューアルに長い休館期間を存分に使った、その潔さにも驚かされました。しかし完全リニューアルをしたとはいえ、一見すると、全く異なる変化は見えてきません。最初にジョン モーフォードが造り上げたオリジナルデザインにことごとく敬意を払い、新たに選ばれたフランスのデザインスタジオ「ジュアン マンク」が、一か所ごとに丁寧に手を加え化粧直しがなされたといいます。説明を受けて初めて、「あ~、なるほど」と気づかされるほどの繊細さです。「現代におけるパーク ハイアット 東京」らしさを未来に向けて再解釈したと言います。調度品や絵画、カーペットの色合いなど細やかなパーツも変化を見せ最新鋭の設備が導入されています。優しさとモダニズム、温かさが混在する洗練された館内は、やはり世界が認める上質なホテルらしいオーラを発しています。

エントランスドアを入るとすぐ左手にあるのがペストリー ブティック。スイーツ、ケーキ、パン、ギフトのアイテムなどを販売。ホテル内のスイーツやベーカリーを監修するジュリアン ぺリネ。美味しいシリアルブレッド(1,000円)もここで調達。
陽の沈む夕暮れ時、41階のピーク ラウンジ&バーでは、空の色が刻々と変わる美しい情景にラウンジ全体が染まる。改装後の調度品は新たに丸みを帯びたデザインに。©Yongjoon Choi
ラウンジから続くのは、2,000冊も所蔵する美しいライブラリー。ここを抜け右に曲がりレセプションへ。
プライベートな雰囲気のレセプション(ロビー)エリア。写真左奥には「レ・クレドール・インターナショナル」のメンバーであるコンシエルジュが専用デスクでスタンバイ。

パリのデザインスタジオが成した功績

ブランドの特異性とオリジナルデザインの継承

今回の一大リニューアルは、パリを拠点とするデザインスタジオ「ジュアン マンク」によって成し遂げられました。同スタジオは、インダストリアルデザイナーのパトリック ジュアンと、建築家サンジット マンクが2006年に設立したチーム。すでに幾つもの有名な(例えばマラケシュの最高級ホテル「ラ マムーニア」の大改装やパリ「モンパルナス駅」再開発、ヴァン クリーフ&アーペルのブティック、ホテルとレストランを兼ね備え、歴史と現代的な快適さを両立させたフォントブロー修道院の改装など)文化的価値の高い話題の建築プロジェクトを数多く手がけ、いずれも絶賛を浴びている今注目のデザインチームです。

「パーク ハイアット 東京」での現在の部屋数は、スイート29室を含む全171室。新宿パークタワーの39階から52階に位置し、フロント(レセプション)機能は41階、ピークラウンジと同階に位置します。この地上約160mからの眺望は息をのむほど…。そして2,100㎡の広さを誇るスパ&フィットネス「クラブ オン ザ パーク」では、天空のプールの存在がいかにも都会的であり、宿泊者と会員専用の設備としてプライベート感たっぷりの空間です。

またホテル内には美食を楽しめるダイニングが幾つも揃い、特に「ニューヨーク グリル&バー」は、創業以来、不動の人気を保持しています。他には、洗練された日本料理を提供する「梢」、改装後に新たにデビューしたフレンチブラッセリー「ジランドール by アラン デュカス」、さらにカクテルやアフタヌーンティーまで楽しめる「ピーク ラウンジ&バー」があり、宿泊しても一歩も外に出ることなく、その時のムードで選び多彩な時を過ごすことができます。ホテルを訪れ、まずはエントランスからエレベーターで41階のレセプションに行く前に、以前から2階の「ペストリー ブティック」に寄り道をするのがいつもの習慣で、必ず買ってしまうのが美味しくて香ばしい‘シリアルブレッド’なのです。

全171室(内29室がスイート)のうちの「パーク スイート キング」(85㎡)はすっきりとアースカラーで統一。45~47階に位置。客室アメニティも充実。©Yongjoon Choi
「アンバサダー スイート キング」(115㎡)では富士山の姿を楽しめる。42~44階に位置。エントランスクローゼット付きのホワイエ、独立したリビングとベッドルーム、4人掛けのダイニングテーブル、ウォークインクローゼットなど贅沢な設備とアメニティが揃う。©Yongjoon Choi

「ジランドール」が美食界の巨匠監修により

ブラッセリー「ジランドール by アラン デュカス」に

ホテルの資料には、人気のオールデイダイニングであったジランドールの改装について、「フランスのブラッセリーが持つ伝統から得たインスピレーションを現代のスタイルに再解釈し、日本の厳選食材を用いて本格的なフランス料理を提供」と綴っています。まさにフレンチ料理界の巨匠、日本でも知名度の高いアラン デュカス監修のブラッセリーとして生まれ変わり、独自の美食体験を提供しています。

創業時からウルトラ華やかなダイニング「ニューヨーク グリル&バー」は、今もなおその人気を保持しています。今では400種類の米国産ワインにライブジャズなど、ニューヨークらしい雰囲気づくりはデビュー当時のままです。忘れもしない31年前の開業時、外国人女性料理長がキッチンから英語で元気に叫ぶ声が高い天井に響き、ゲストはそれを心地よく思い‘ニューヨーク’を肌で感じる瞬間を楽しみました。

こうして「パーク ハイアット 東京」は、ジョン モーフォードのオリジナルデザインを丁寧に継承しながら、新しさと、歴史ある空間が共存し未来を見つめ歩み出したホテルとなりました。「年月がホテルに与えた美しい成熟、その優雅さに心を動かされます」と語ったのは、今回、リニューアル部分のデザインに取り組んだインダストリアルデザイナーのパトリック ジュアンと建築家サンジット マンクの言葉です。

居心地の良さは変わらずに、よりラグジュアリー感の増した「ジランドール by アラン デュカス」で食事をしました。料理の数々はとても個性的であり、パリの街角にあるブラッセリーを想いました。アラン デュカスの哲学を礎に料理長の堤耕次郎氏が自らのエッセンスを加え、独自のスタイルに昇華させていると言います。フランスのブラッセリーらしさが活かされ、細やかな技と日本の上質な食材で作られる料理が、白のクロスに包まれたテーブルを飾っています。「パーク ハイアット 東京」は、クオリティと個性、繊細な美意識から、世界に数ある「パーク ハイアット」の中でも世界トップクラスの人気を誇り、「一生に一度は泊まってみたいホテル」として存在しているのです。

「ジランドール by アラン デュカス」の内観。フレンチブラッセリーの本物感と日本らしい繊細さが融合する料理が好評。©Yongjoon Choi
奥に見えるのが「ニューヨーク グリル」、その手前に「ニューヨーク バー」が。東京にいることを忘れるほど、ニューヨークらしいエキサイティングな空気感に包まれる。ジャズのライブパフォーマンスや夜景も素晴らしい。
47階にあるスパ&フィットネス施設「クラブ オン ザ パーク」は会員と宿泊ゲストのみ利用可能。スイミングプール、ジム、スタジオ、プールサイドラウンジなどが整い天空で過ごす醍醐味を味わう。

取材・文/せきねきょうこ

Photo: パーク ハイアット 東京

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

Instagram: @ksekine_official

DATA

パーク ハイアット 東京

東京都新宿区西新宿3-7-1-2 (新宿パークタワー39階から52階)

📞 03-5322-1234

https://www.hyatt.com/park-hyatt/ja-JP/tyoph-park-hyatt-tokyo

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