友人が訪ねて来たら連れて行きたいお気に入りの店が誰にでもひとつはあります。街の人々に愛される店こそ、胸をはって紹介したい“わが街の味”。この連載では、そんな街で人気のお店を紹介しています。今月は東急田園都市線鷺沼にある和食店。季節の食材を大切にするこの店は、定期的に通いたくなるような旬の料理が待っています。

紹介する街●鷺沼

【和食】 

肩ひじ張らず、美味しい料理を味わう

地元で人気の和食店

この街にオープンして2年と少し。真っ白いのれんと、小さな看板に店名が書かれているが、一見して何の店かわかりづらい。

「前を通るけど、何屋かわからなかったってよく言われるんですよ。でも、入ってもらえれば皆さん気に入ってくださって、リピートしてくれる方が多いんです」と朗らかに笑うのが、店主の黒沢亮平さんだ。

店名は自身の名ではなく、父の名前なのだとか。そこには父への敬意や、家族への思いが込められているという。

オープンキッチンのL字カウンター。店主黒沢さんとの会話も弾む。

黒沢さんは横浜出身で、馴染みのある鷺沼に店を開いた。オープンキッチンのゆったりとした空間では、季節の食材を大切にした献立が並ぶ。単品で気軽に居酒屋使いをするもよし、特別な日にコースで心ゆくまで美味を満喫するのもおすすめだ。

帆立入り蓮根焼売 900円
ホタテがゴロゴロ入り、シャクっとした蓮根の食感がアクセントの大きな焼売。親戚が作っているという椎茸も入っている。

意識したわけではないというが、料理の核になっているのが関西出身の母の味。柔らかな関西風の味わいに、「ほっとする」と言われることも多いのだとか。

鮨居酒屋で腕を磨いた経験から、魚の仕込みにはとりわけ自信がある。刺身や煮つけなど、シンプルながら技術が問われる一皿こそ、黒沢さんが本領を発揮する。

サバサンド 1,320円
〆鯖を使った上品な味わい。酢で〆た鯖が爽やかで、ワサビマヨネースがいい仕事をする。

また、和食にとどまらない料理のバラエティの広さも人気の理由だ。ホタテがたっぷり入った大ぶりの『蓮根焼売』や、熱々を提供する『温かいポテトサラダ』なども人気。〆鯖と赤かぶ漬けを使った『サバサンド』は、まさに名物で、ここでしか味わえない唯一無二の味だ。

そして、ほとんどの客が頼むというのが『季節の土鍋ご飯』。五ツ星お米マイスターがこの店のために選んだ米に、旬の食材をたっぷり加えた炊き込みご飯は、ふたを開けた瞬間に季節の香りが立ち上る。

鱧と牛蒡と実山椒の土鍋ご飯 2,800円
季節の土鍋ご飯は、旬の食材を味わう料理。この日は、ごぼうと山椒の香りがいい、炊き込みご飯だった。鱧には自家製のうなぎのたれをからませている。

酒は日本酒やワインなど幅広く揃っているが、ぜひ味わってみたいのは生ビール。実はこの店、サントリーの「神泡超達人店」に認定されているのだ。「超」が付く称号は全国でも選ばれた店にしか与えられず、注ぎ方や管理方法など、厳しい基準をクリアした店だけが名乗れるという。きめ細やかな泡と絶妙な温度で提供される生ビールは、食欲をそそる食前のごちそうだ。

目の前で、ごちそうが出来がる景観を眺めるのもお楽しみの時間

Tシャツにエプロン姿でカウンターに立つ黒沢さんは、いわゆる“和の職人”の枠にはまらない、自由な空気をまとっている。大学卒業後にいったん企業勤めを経験し、「やはり料理が好きだった」ことに気づいてこの道へ。食べた人を笑顔にする料理を作りたいと、日々、精進を重ねている。

食材は地方から産直で仕入れたり、時には地元で仕入れるものもあるという黒沢さん。

少しだけ美味しいものが食べたい夜にも、特別な記念日にも、通いたくなる『よしみつ』。それは、鷺沼という静かな街にそっと明かりを灯す、心ほどける憩いの場なのだ。

よしみつ

住所:神奈川県川崎市宮前区鷺沼3-1-32-1F

電話:044-750-0200

営業時間:17:00〜22:00 (Lo.21:30)

定休日:火曜

※掲載価格は税込価格です(2025年8月現在)

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