2026年4月25日、軽井沢駅に直結した小さなホテル「HACIENDA KARUIZAWA」が開業しました。山小屋をイメージして造られたプライベート感たっぷりのホテルは、新たに開業した生活提案型の商業施設「軽井沢T-SITE」内に造られており、軽井沢駅の改札を出れば、すぐにホテルの入り口に到達できる利便性の良さでも話題となっています。

英国の著名なデザイナーであり、インテリア・家具・ライフスタイルショップ経営など多彩な分野で知られる‘サー・テレンス・コンラン’をご存知でしょうか。この新しいホテル「HACIENDA KARUIZAWA」は、コンランが創設したザ・コンランショップを運営する「株式会社コンランショップ・ジャパン」によるデザイン監修と聞けば、コンランのファンは気持ちが逸ることでしょう。隣接の温浴施設「AQUAIGNIS GARDEN SPA(アクアイグニス ガーデン スパ)」のデザインも同会社の監修によるものです。

そもそもHACIENDAとは、16世紀以降のスペイン植民地時代の中南米諸国や、フィリピンなどで発展した荘園制度で「大邸宅」や「大農園」を表しています。とりわけ中南米には豪華な邸宅が現存し、最高級クラスのリゾート施設にリノベーションされ、当時を彷彿とさせる歴史と物語の詰まった瀟洒なリゾートが少なくありません。

さて、ここ軽井沢駅直結で誕生したHACIENDA KARUIZAWAは、山小屋をイメージした全9室だけの小さなホテルです。駅に直結しているので、天候の悪い日でも、濡れることなくホテルにチェックイン。ロビーに入ると、画家の平澤まりこ氏の作品が描かれた大きな煙突のついた暖炉が目に入ります。夏でも涼しげな軽井沢ですから、1年を通して、暖炉には火が灯りゲストを迎えているのです。この煙突に描かれているのが、平澤氏が「軽井沢の自然からの祝福と調和をテーマにした」という作品で、軽井沢に息づく野生動物たちが螺旋を描きながら、山や、空や、天空に駆け上がっていく様子を想わせる「暖炉の炎が立ち昇るような情景」が描かれています。

フロントデスクの上にも目に留まる照明が設えられていました。韓国の陶芸家・アーティストのソ・ヒス(Suh HeeSu)氏の作品「Untitled」シリーズの一つで、なんと、医療用包帯をモチーフにしたセラミック(陶器)製でした。包帯は傷を包み、癒す、その癒しをセラミックで表現した珍しい作品といいます。

客室廊下の奥の窓辺に大きなヒンメリを見つけました。これはクラフト作家・上原かなえ氏の作品で、ヒンメリはフィンランドの伝統的な装飾であり伝統工芸品。ここでは廊下の端に吊るされ、ガラス窓のそばに飾られていることから、夕暮れ時に太陽の光が当たると外からはキラキラと輝いて見え、軽やかな造形と揺れる繊細なインテリアとして窓を飾っています。

ロビー・ラウンジの内部。中央に置かれているのが3mを超える大きな煙突のついた暖炉。煙突には「軽井沢の自然からの祝福と調和をテーマにした、動物や自然は浅間山の風景をイメージ」という平澤まりこ氏のアートワークが。木造りの内部は温かみを感じさせる山小屋風。

新しい形の軽井沢滞在
客室は静かに過ごせる居心地のいい空間

9室すべての客室がそれぞれに家具も室内デザインも設えが異なるために、訪れるごとに趣の違う客室を選ぶ楽しみもあります。CARL HANSEN & SONのOW150デイベッド、CH24のチェアが室内に柔らかな印象を与えています。大正時代などに使われていた黒朱の箪笥が懐かしく、また古材を使って造られたローテーブルも置かれ、幾つもの調度品が昔と今のコラボレーションにより蘇り、斬新な調和として室内を飾っています。

客室はいずれも50㎡以上と広く造られ、ゆったりとした落ち着いた空間で、のんびりと時間を過ごすのに最適です。ホテル館内にはレストランがないため、外で地元のグルメを買い込んで客室内で食事をするのも遠慮のない時間。一方、「軽井沢T-SITE」内にはレストランやカフェもありますから、ディナーに出かけるのもいいでしょう。室内ではイサム・ノグチのコーヒーテーブルやシェーカーチェア、ベンチなど、スタイルのある暮らしのような滞在が楽しめる、軽井沢らしい洒落た空間が待っています。

何しろ駅直結ホテルという心にも体にも負担の無いロケーションに魅せられます。軽井沢は、四季を通じて観光客の絶えない人気のリゾート地。まずはチェックインして荷物をほどき、一息ついて身軽になって、いざ軽井沢散歩やショッピングに出かける。新しい軽井沢ステイの醍醐味です。

広さ52.2㎡の「Calm Heritage」のひとつ。やわらかな曲線と、静かな光が心地良い部屋には江戸から大正期にかけて使われていた欅の帳場箪笥や古材の質感が重なり、新旧融合の贅沢なインテリアが印象的。
「Honest Comfort」の客室は75.02㎡。家具も壁もR型の柔らかな曲線が優しい。高級感あふれる家具調度品は独特なスタイルを持ち、スタイリッシュに、しかし精密な美しさを放ちアンティークな印象と新しさが融合。
バスルームのキャビネットとアメニティ類は英国ブランドbamfordを中心に。ホテル自体もアメニティも環境に配慮した天然素材や再生素材を採用。
希望の時間に、ピクニック風のバスケットで軽井沢グルメの朝食が部屋に運ばれる。サラダ、ヨーグルト&フルーツ、採れたて卵料理、ジュース類、ミルク、コーヒー、そして焼き立てのパン。添えられたカトラリーは老舗「燕物産」(1751年創業)とインテリアスタイリスト石井佳苗氏、そしてザ・コンランショップの共作。11時のチェックアウトまでゆったりと。
新幹線なら東京から軽井沢まではわずか70分ほど。「軽井沢T-SITE」内にあるホテルには温浴施設「AQUAIGNIS GARDEN SPA」も併設。「軽井沢T-SITE」は「食べる」「過ごす」「安らぐ」をテーマに新しい軽井沢を提案。

取材・文/せきねきょうこ

Photo: The Conran Shop

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

Instagram: @ksekine_official

DATA

HACIENDA KARUIZAWA(ハシェンダ カルイザワ)

長野県北佐久郡軽井沢町大字軽井沢字中谷地1178-1293(軽井沢T-SITE内 B06)

📞 0267-31-6460

https://hacienda-karuizawa.jp/

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