今回は、『暮らしに添えたい物めぐり』の特別編として、アナウンサーの松丸友紀さん、タレントの安田美沙子さん、TOUROU代表の小川晴香さんが“日本の良いものを後世へつないでいきたい”という思いのもと立ち上げたプロジェクトチーム「katadori – カタドリ」の活動の様子をレポートでお届けします。
「katadori – カタドリ」を象徴するプロダクトが、宮崎県にあるひなもり銘木と共同制作した、ひょうたん型のまな板です。ひなもり銘木代表・丸野泰宏さんの案内のもと、このまな板が制作されている宮崎県へ「katadori – カタドリ」の3人が訪れました。
活動の軸となったひなもり銘木のひょうたんまな板
「katadori – カタドリ」は、とても自然な流れで始まりました。もともと友人同士で、子どもの年齢も近く、共通点が多かったという3人。
「安田は伝統工芸士や作家さんとコラボしたキッチン雑貨ブランドをプロデュースしていて、松丸は局アナ時代に日本のものづくりの現場を取材してきました。私自身も伝統工芸士とジュエリーを作っていて。子育てに加えて“日本の良いもの”の話題がとにかく多かったんです。そこで『なんかやっちゃう⁉』と、お茶をしながらワイワイ喋っていたのが始まりです」(小川さん)
雑談からのスタートでしたが、「きちんと形にしたほうが良い」という周囲のアドバイスに背中を押され、プロジェクトとして少しずつ動き出していきました。

「名刺代わりになるようなものづくりができたら良いね、と話していた頃、髙島屋のバイヤーの方とのつながりで、日本の職人や伝統についての催事で勉強する機会をいただいたんです。そこで出会ったのが、ひなもり銘木の丸野さんでした」(小川さん)
その出会いは、3人にとって決定的なものでした。
「丸野さんは木の語り部。お話すると木への愛情が本当に伝わってきました。満場一致で、『お願いしたい!』となり、お声がけしたら快く引き受けてくださって、すぐに製品化につながりました」(小川さん)

こうして生まれたのがひょうたん型のまな板です。
「この商品ができたことで活動の軸ができました。『日本良いもの発見隊!』というキャッチフレーズのもと、私たちの目線で良いものを見つけていこう、と」(松丸さん)
「今の子どもたちはデジタルに触れる機会が増えて、日本の伝統を知らずに過ごしているのではないかと感じています。ワークショップなどを通して日本の良さを楽しく伝えていきたいと活動を続けています」(安田さん)
霧島山系の自然を感じる白鳥神社へ

最初に丸野さんと共に向かったのは、宮崎県えびの市・霧島連山にある白鳥山の中腹に鎮座する白鳥神社の参道です。
霧島連山は日本でも屈指の雨量で知られています。天から降り注ぐ雨がゆっくりと山へ染み込み、数年をかけて地層に磨かれ、湧き水となるのは地域住民の自慢。この日も、猛暑を忘れさせるように小雨が降り続き、あたりは厳かな雰囲気に包まれていました。

「もともと霧島では霧島赤松や霧島杉が有名。元禄時代の東大寺再建の際には、白鳥神社から赤松が運ばれたという歴史があります。また、ご神木の杉は屋久杉の苗を商人が持ち込んだという説もあり、霧島の杉も屋久杉と繋がっているとも考えられるんです」
丸野さんが語る壮大な木々の物語に耳を傾けながら木々に触れます。

「苔がやわらかくて気持ちが良いです。雨で苔が輝いているのが、とても生き生きと感じられますね」(安田さん)
参道には台風や雷の影響による倒木も見られました。
「倒れた木から自然の威力を感じます。そこからまた別の植物が生えているのもアートのような美しさ!」(松丸さん)

樹齢数百年の銘木と向き合うひなもり銘木へ
霧島の自然の魅力を存分に感じ、白鳥神社を後にして向かったのは「ひなもり銘木」です。ひなもり銘木は、霧島杉、霧島赤松、日向産本桑、他屋久杉や桜、朴(ほお)の木など、希少で質の高い銘木を扱う銘木屋です。

倉庫には先代から受け継いだもの、樹齢数百年を超えるものなど、貴重な木材が並び、木の良い香りに包まれます。
いずれの銘木も、自然のままのデザインを最大限に生かして製材され、数年から数十年をかけてじっくり自然乾燥することで木が本来持つ色艶や風格を引き出しています。
唯一無二の木目の美しさに目を奪われる3人。「これは柾目? 板目?」と、これまでの製品づくりで得た知識を確かめながら、それぞれの木の色味や触り心地を五感で感じます。
原木からひょうたんまな板ができるまで
ひょうたんまな板は、朴(ほお)の木で作られています。
朴の木は包丁との相性がとても良く、昔は刀を収める鞘も朴の木で作られていたそうです。
使い心地もとても良く「手が疲れないんですよ。プラスチックのまな板を使っていた頃とは音も違って、包丁の高さや木の柔らかさ、跳ね返りが心地よくて。国産銘木を使っているという嬉しさもありますね」と松丸さん。

その朴の木の原木から、まな板ができる一連の流れを見せていただきました。
「まず丸太の断面の割れ目を見て、どのように木材を切り出せるかを考えます。乾燥状態を機械でチェックし、水分量13~18%がひとつの目安。板にした際に虫食いの穴などがある場合には、そこを避けながら、なるべく多くのまな板ができるように板材を切り出していきます」(丸野さん)

作業工程で生まれる木くずでさえも愛おしい!と3人。「商品発送時のクッション材にすればエコじゃない?」と、これからの活動に役立てられそうなアイデアも生まれます。

板材の両面を一度平らに加工した上で、ひょうたん型に加工します。その後、1週間程寝かしてから、最終仕上げへ進めます。

両面を平らにする加工で、使い込んで包丁あとがついた表面を綺麗にメンテナンスすることもできます。写真は松丸さんの私物。1枚皮をはがしたように、つるつるの状態に生まれ変わりました。
「ひょうたんまな板も同様にメンテナンスできるので、長く使っていただけますよ」(丸野さん)
最後の仕上げは、角にあたっても痛くないようにヤスリをかけて滑らかにする「面取り」。今回はこの作業にチャレンジしました。向き合う姿は真剣。思いを込めて仕上げていきます。


こうした工程を経て出来上がる「katadori – カタドリ」のひょうたんまな板には、こんな思いが込められています。
「デザインを考えるときに、丸野さんから“100年育った木は100年使える”と伺ったことで、世代を越えて受け継がれていく姿を思い描きました。ひょうたんは商売繁盛や子孫繁栄を表す縁起物でもありますし、小さな丸と大きな丸は親子が並んで使うのにもぴったりです。
子どもが成長したら半分に切ってリメイクして持たせる、メンテナンスを重ねて木が薄くなり、まな板としての役割を終えたあとも、プレートやオブジェとして形を変えながら残っていく……。そんなふうに、親子やパートナーなど大切な人へと“つないでいける存在”であってほしいですね」(小川さん)
取材・文/SUMAU編集部 撮影/中島功輔
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―取材後期―
霧島山系にある白鳥神社を訪れ、日本の自然の偉大さと豊かさを五感で感じることができました。
東大寺の材木にも使われたという白鳥神社の木。雨に濡れた木々はより生き生きとしていて、推定樹齢500年以上ともいわれる御神木からは、長い年月を生きてきた生命の力強さを感じました。雷で幹が割れた木の姿さえ美しく、自然が生み出す形の尊さに心を打たれました。
そんな銘木に触れたことで、木からつくられるまな板への愛着も改めて深まりました。
朴の木の原木も拝見し、一本の木から一枚一枚のまな板が生まれていく過程を知ることができました。作業体験では、ひょうたんまな板の面取りをさせていただき、一つひとつ丁寧にヤスリをかけました。木の木目や模様を眺めながら心を込めて作業しました。
長い年月をかけた木の乾燥、細やかな手作業、そして削り落とした木の素材さえ無駄にせず活かす姿勢。そのすべてに、丸野さんや作業所の皆さんの想いが込められていることを感じました。
自然からいただいた木を、時間かけ、職人の手仕事によって一枚のまな板へとつないでいく。その想いを大切に受け取り、これから使ってくださる皆様へ丁寧に伝えていきたいと思います。

また、お昼には、築約50年のひなもり銘木展示場にて、地産の食材をふんだんに使ったお昼ご飯を皆で美味しくいただきました。丸野さんのお母様と奥様がおもてなしくださり、ひなもり銘木のプレートやスプーンなど美しい木製品が彩る食卓に、丁寧に手入れされた庭で採れた季節の植物をあしらったテーブルコーディネートも本当に素敵で、目でも楽しませていただきました。
銘木や自然を大切にしながら豊かに暮らすひなもり銘木さんの生活にも触れることができた、幸せなひとときでした。
katadori – カタドリ一同
読者プレゼント

「katadori – カタドリ」の3人が面取りをしたまな板を3名様にプレゼントします。
下記応募フォームよりご応募ください。
応募フォーム>>https://sumau.com/base-form
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katadori – カタドリ

katadori – カタドリ 公式Instagram:@katadori.japan
松丸友紀さん
アナウンサー。2004年株式会社テレビ東京入社。経済ニュース番組『ワールドビジネスサテライト』をはじめ、バラエティや情報番組など幅広く経験。2017年に第一子出産。育休から復帰後、赤ちゃん向け番組『シナぷしゅ』のプロデューサーとして関わる。2024年に20年務めたテレビ東京を退社。現在『プロダクション人力舎』に所属。
TBS『THE TIME,』水曜レギュラー、テレビ東京『ゴッドタン』などに出演。
人力舎HP : https://www.p-jinriki.com/talent/matsumaruyuki/
安田美沙子さん
1982年京都府出身。タレント、ランナーとして幅広く活躍。2男子の母。
four o five CEOを務めながら、日本の伝統技術とコラボレーションしたブランドディレクター。食育インストラクター、健康食コーディネーター、 ランニングアドバイザーの資格を取得。2016年より地元である宇治市の観光大使も務めている。
four o five 公式HP:https://fourofive.stores.jp/
安田美沙子 公式HP:https://www.yasudamisako.com/
小川晴香さん
TOUROU代表。航空会社勤務後、ファッションPR/広報へ転身し、2017年に独立。2022年、日本の伝統技術で作られたジュエリーブランド「TOUROU – トーロウ」を立ち上げる。伝統を守りながらも現代の空気感を持たせた日本の伝統工芸品を提案。職人との対話を大切に職人の労働環境などにも配慮している。
TOUROU公式HP: https://tourou-japan.com/
ひなもり銘木
宮崎県小林市にて、銘木業を営み76年。霧島連山の豊かな自然に囲まれたこの地で、木と向き合い、ものづくりを続けている。
















