2025年のふるさと納税、どのように活用しようか検討中の方も多いのではないでしょうか。本記事では、これからもふるさと納税をする上で気をつけてほしいこと、そして2024年のふるさと納税について答え合わせの方法を解説します。制度をしっかりと理解して、賢く楽しくふるさと納税を活用しましょう。

4人に1人は「寄附金控除を受けたことがない」ふるさと納税

ふるさと納税後の、寄附金控除の手続きはきちんとできているでしょうか。国内最大級のふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を企画・運営する株式会社トラストバンクが実施した意識調査(全国の20歳以上1,566人)により、下記のような状況が見えてきました。

  • 3人に1人は「寄附金控除に手続きが必要なことを知らない」
  • 控除手続きの必要性を認知し、かつ、ふるさと納税を活用していても、4人に1人は「寄附金控除を受けたことがない」

税金の前払いにより魅力的な返礼品をもらえることから人気のふるさと納税ですが、単なる「寄附」となっている人も少なからず存在する状況がうかがえます。

寄附金控除には手続きが必要

ふるさと納税による寄附金控除を受けるためには、「ワンストップ特例制度」か「確定申告」を行う必要があります。ただ、この寄附金控除の必要性を知っている人は全体の65.3%にとどまりました。

職業別に寄附金控除の認知度を見ると、公務員は92.0%、会社員(事務系)は77.6%、自営業は46.2%と職業による差異が大きいこともわかります。

TRUST BANK(https://www.trustbank.co.jp/newsroom/newsrelease/press870/)より筆者作成

寄附金控除を受けなかったのはどうして?

寄附金控除の必要性を知っていて、ふるさと納税をしたけれども、寄附金控除を受けたことがない人は全体の25.2%でした。ではなぜ、寄附金控除を受けなかったのでしょうか。

調査回答を見ると、「手続きの仕方を知らない」が39.8%、「手続きが面倒だから」が34.0%と、手続きにハードルを感じる人が多い状況がわかります。

TRUST BANK(https://www.trustbank.co.jp/newsroom/newsrelease/press870/)より筆者作成

若い世代が感じる手続きの難しさ

みなさんは寄附金控除の手続きについて、どのように感じていますか。

寄附金控除手続きについては、20代の7割、30代の5割が難しいと感じていることも調査からわかりました。

時間がかかる、面倒だと感じた作業について、20代の半数弱が「寄附金受領証明書を集めること」を挙げており、手続きの準備段階でわずらわしさを感じている状況です。

出典:TRUST BANK「◆ 2月17日より確定申告が開始 ◆トラストバンク、『ふるさと納税の確定申告に関する実態・意識調査』を全国1,500名に実施」

https://www.trustbank.co.jp/newsroom/newsrelease/press870/

2025年のふるさと納税はポイント付与廃止に注意!

寄附金控除はもちろんのこと、2025年のふるさと納税で注意したいのはポイント付与廃止です。総務省はふるさと納税において、ポイント付与競争が過熱しているとの見方から、2025年10月以降、ポータルサイト等でのポイント付与廃止を発表しています。

ふるさと納税は金額が大きいだけに、付与されるポイントのインパクトを感じていた方も多いのではないでしょうか。ポイントをもらうなら、2025年9月までのふるさと納税が対象となるため、寄附のタイミングに気をつけておきましょう。

出典:総務省「ふるさと納税の指定基準の見直し」

https://www.soumu.go.jp/main_content/000955669.pdf

基本からおさらい!ふるさと納税の仕組みとは?

寄附金控除に関する意識調査から、手続きの難しさを感じている人が決して少なくない状況がわかりました。

ふるさと納税後、寄附金控除の手続きを難なくクリアするためにも、ここでふるさと納税の制度をおさらいしてみましょう。皆さんは、ふるさと納税の仕組みを正しく理解できているでしょうか。

そもそもふるさと納税とは

ふるさと納税は、通常、住んでいる自治体へ納める住民税を、「ふるさと」と表現される生まれ故郷や応援したい地域へ納める仕組みです。少し堅い表現にはなりますが、「寄附金税制における、寄附とそれに伴う税の軽減を組み合わせたもの」が「ふるさと納税」です。

本来納めるべき所得税・住民税から、寄附した金額(2,000円を除いた全額)が引かれた税金を納める形です。実質的な納税額はほとんど変わらないままに、魅力的な返礼品をもらえることから「お得」であると表現されています。

出典:総務省「ふるさと納税ポータルサイト よくある質問

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/furusato/faq/#q6

自己負担額2,000円の意味、知っていますか?

ふるさと納税について、「自己負担額2,000円」という表現をよく目にしませんか。自己負担額2,000円とは、具体的にどういった仕組みなのでしょうか。

基本的にふるさと納税をした金額は、納めるべき所得税・住民税から控除されます。ただし、ふるさと納税した全額が税金から控除されるわけではありません。例えば、10,000円のふるさと納税をした場合、10,000円から自己負担額2,000円を差し引いた8,000円分が、所得税・住民税から控除されます。

ふるさと納税の合計額から2,000円が差し引かれるため、複数回に分けて寄附をした場合や、寄附した自治体が複数であっても、自己負担額2,000円は変わりません。

お金はいつ戻ってくる?

ふるさと納税後、先払いしたといわれる税金は、いつ、どのように戻ってくるのでしょうか。税金が減額される形となるため、ふるさと納税制度において、最もわかりにくいポイントかもしれません。

ワンストップ特例制度の場合、ふるさと納税をした翌年の住民税について、本来納めるべき金額から「ふるさと納税全額-2,000円」が減額されます。減額分は毎月の住民税に少しずつ反映されるため、税金が減っていることは実感しにくいはずです。

ここで、毎月の住民税からの減額イメージを見てみましょう。

  • 2024年、ふるさと納税14,000円
  • 翌年2025年、本来は年間120,000円(毎月10,000円)の住民税を納税予定
  • ふるさと納税14,000円-自己負担額2,000円=12,000円が住民税から控除
  • 住民税120,000円ー寄附金控除12,000円=108,000円(毎月9,000円)の住民税が決定

ふるさと納税をしていなければ、毎月の住民税は10,000円でしたが、寄附金控除により毎月9,000円を納税することになります。前年に払ったふるさと納税分が、翌年、徐々に返ってくるイメージです。

確定申告の場合、ふるさと納税をした年の所得税からの控除(還付)と、ワンストップ特例制度と同じく翌年の住民税からの控除(住民税の減額)がなされます。所得税の還付に反映される点が確定申告の特徴です。

総務省「ふるさと納税ポータルサイト」

https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/080430_2_kojin.html

住民税決定通知書が到着!答え合わせをしてみよう

ふるさと納税がきちんと税金に反映されているかどうかは、毎年5月頃に届く住民税決定通知書で確認できます。住民税決定通知書とは、自治体が発行する書類で、当年6月から翌年5月までの住民税が記載されたものです。手元に届いたら、忘れないうちに答え合わせをしてみましょう。

ワンストップ特例申請をした場合のチェックポイント

ワンストップ特例制度を使って申請した方は、住民税決定通知書の下記の記載欄をチェックしてみましょう。記載名称は自治体によって異なります。

寄附金税額控除額                          市 〇〇〇円  都道府県 △△△円

ふるさと特例控除額                      市 〇〇〇円  都道府県 △△△円

ワンストップ特例控除額 市 〇〇〇円  都道府県 △△△円

「市 〇〇〇円 と都道府県 △△△円の合計額」が「ふるさと納税全額-2,000円」と一致していれば、寄附金控除が正しくできており、住民税から控除がされています。

確定申告をした場合に気をつけること

確定申告をした場合にも、住民税決定通知書に「寄附金税額控除額」が記載されています。ただし、ここで注意が必要なのは、ワンストップ特例制度のように「市 〇〇〇円 と都道府県 △△△円の合計額」=「ふるさと納税全額-2,000円」にはならない点です。

確定申告の場合には、確定申告後の所得税還付において、ふるさと納税の一部が戻ってきています。医療費控除等による還付とまとめられているため、金額の把握はしにくいですが、還付額は以下の式で算出できるため、一度計算してみましょう。

(寄附金額-2,000円)× 自分の所得税率 × 1.021(復興特別所得税加算)

出典:神戸市「ふるさと納税の控除額はどこを見れば分かりますか。」

https://faq.city.kobe.lg.jp/faq/show/3125?site_domain=default

出典:さとふる「ふるさと納税で控除された金額の確認方法」

https://www.satofull.jp/static/confirmation.php

ポイント付与は9月末まで!賢く活用したいふるさと納税

ふるさと納税の仕組みや答え合わせについて、もう知識は万全ではないでしょうか。ふるさと納税のメリットを享受するために、寄附金控除の手続きがなぜ必要か、制度そのものを把握できたはずです。

2025年に大きく変わる点は、10月からのポイント付与廃止です。今年の年収の見通しを立てながら、計画的にふるさと納税を楽しみましょう。

文/入船みみ

女性のための金融の学びコミュニティ「きんゆう女子」編集部メンバー。国家資格キャリアコンサルタント。綺麗に賢く年を重ねたいアラサーOLです。複業で金融・キャリアをテーマにライターのお仕事をしています。興味のあることを学んで、経験して、記事としてアウトプット。読者の方の心に響き、行動したい!と感じてもらえると嬉しいです。

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