エキゾチックな街マラケシュの「マラケシュ・メナラ」空港から約10km、世界中のホテルファンが憧れる「ラ・マムーニア」をご紹介しましょう。日本とは文化も、食も、ライフスタイルも、何もかもが異なるモロッコのホテルに一生に一度は泊まりたいと思っていました。アフリカ北西部に位置しながらも、アラビア諸国の一員として多様な文化や言語を有しています。
ホテルの創業は1923年、マラケシュ随一の老舗ホテルとして今なお健在です。2009年には、世界的に著名なデザイナー、ジャック・ガルシアによりリニューアルが行われ、その後、コロナ禍の2020年には、ここでも世界的なデザイナー、パトリック・ジュアンと建築家のサンジット・マンクのコラボレーションでより大規模リニューアル。さらに2023年には、再びジュアンとマンクのコンビが100周年記念のリノベーションを手掛けました。こうしてホテルは、100周年を記念するリノベーションにより驚くほどの贅沢が施され、館内随所に自国の伝統文化を踏襲した華やぐデザインが見られます。改装の大きな目玉となったのは「100周年記念シャンデリア」です。ホテルに入った瞬間に、誰もが圧倒されてしまうゴージャスなシャンデリアに称賛の声が多く聞こえてきます。なんとこのシャンデリアは「貴婦人の宝石」という愛称でも呼ばれ、今では「ラ・マムーニア」のシンボル的存在となっています。
「ラ・マムーニア」のストーリーに触れる前に、モロッコとマラケシュについて豆知識を少し…。モロッコの中でも人気観光地として知られる古都マラケシュは、「マグレブ」(「日の没する大地」の意味)と呼ばれる3カ国(モロッコ・アルジェリア・チュニジア)のひとつとして存在しており、まさに「日の出づる国、日本」とは真逆のインスピレーションです。
また、先住民はベルベル人とされ、この言葉は小説家で飛行士として知られた本名、アントワーヌ・マリー・ジャン=バティスト・ロジェ・ド・サン=テグジュペリ(通称、サン=テグジュペリ)の綴った世界的ロングセラー小説、世界中で翻訳された「星の王子様」に書かれていることから‘ベルベル人’という名は地球規模で有名になりました。モロッコの中央部にはアトラス山脈が続き、サハラ砂漠もあり、すべては「星の王子様」に登場する舞台として知られています。



到着したその時から異次元の空気感、
モロッコの粋を集めたホテル滞在に酔いしれる
さて、「ラ・マムーニア」は、そのマラケシュで最高級クラスのホテルとして君臨しています。リニューアルも前記のように贅沢に行われたのですが、料理にも新風が吹きました。2025年9月1日からはイタリア料理の名シェフ、シモーネ・ザノーニ氏が就任することがわかり、多くのファンが駆けつけているといいます。彼は南イタリアの料理を得意とし、これまではロンドンのシェフ、ゴードン・ラムゼイのレストランや、パリの有名なフォーシーズンズ・ジョルジュサンク・ホテルのレストランのひとつであるル・ジョルジュなど、ミシュランの星を獲得したレストランで働き、キャリアを築いてきた凄腕の人気シェフなのです。
客室は全209室、すべてが上質でスタイリッシュな客室ですが、そのうちの71室がスイート仕様。中でも7室のシグニチャー・スイートのほか、美しい庭園の中に佇む3室のリアド(モロッコ風邸宅)も含まれています。全てのリアドは、3ベッドルーム、モロッコスタイルの広いリビングルーム、オゾン処理されている温水プール付きのプライベートテラスを備えるなど豪華そのものです。
最高級ホテルであることから、顧客リストには、世界の王室関係、政治家、ジェットセッター、セレブリティなど錚々たるゲストが滞在しています。こんな話を聞かされました。英国のウインストン・チャーチル首相は、このホテルを称して「この世の中で最も美しい場所」と残したと言います。ホテル関係者は、「未来に向かって新しい世界を表現しながらも、伝統的なモロッコスタイルとモロッコ流のもてなしでかつての‘グランドホテル’の栄光を保っています」と。ここまで贅沢を知れば、スイートのバスルームの床が大理石でゼリージュタイル(モザイクタイルの一種)のアクセントがついていようと、マシュラビヤ窓(強い日差しや砂塵などを遮蔽するために建物の外壁に取り付けられた緻密な木彫り格子窓)が贅沢に美しかろうと、また随所に漆喰細工が施されようと驚きません。それにスパが2,500㎡あると聞かされても、レストランが8か所あると知っても、さすがだと思うのです。それが贅の粋を尽くしたホテル「ラ・マムーニア」の現在の姿であり、アラビアン・ドリームなのです。
いざマラケシュを訪れたなら、是非ホテルから一歩外に出て、世界遺産に登録されている「ジャマ・エル・フナ広場」のマーケットを訪ねてみてください。中世の面影を残す旧市街全体は世界遺産マラケシュの一部でもあり、2009年には単独で『ジャマ・エル・フナ広場の文化空間』が世界無形遺産に登録されたエキゾチックな異空間です。





取材・文/せきねきょうこ
Photo: ラ・マムーニア
せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト
スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。
Instagram: @ksekine_official
DATA
ラ・マムーニア
Avenue Bab Jdid, 40040 Marrakech-Medina, Maroc










