世界最強の観光立国として誰もが知るスイスは、国中どこを見ても息をのむような美しい景色が広がり、安全性や清潔度、社会への信頼感、旅行するための利便性も含め、初めて訪れる旅行者にさえも分かり易く、それほど迷うことなく動ける国であることに、かつて暮らしていた私もことごとく敬意を表するしかありません。ライフスタイルひとつを見ても、たとえ小さな寒村でも郵便バスが走り、どんな場所にも迷わないよう国中に看板が立ち、駅でもレストランでも街中でも清潔なトイレが揃っているのです。国民性とばかりは言い切れない、国も国民も自国に愛情と誇りをもって努力を惜しまない現れでしょう。

観光だけに特化してみても、何よりもホテルのカテゴリーが多いことにも驚かされます。これは訪れるすべてのタイプの人々に合うホテルが見つかりやすく、ウルトラ・ラグジュアリーから学生たちの合宿ホテルまでジャンルがきちんと別れ、探すにも困ることがありません。

今回は新シリーズ第一回目に相応しく、観光立国スイスが誇る総合型ラグジュアリーリゾートのひとつであるホテルをご紹介しましょう。歴史や伝統を纏う素晴らしい環境のホテルでありながら、未来志向の斬新さもあり、気取らずに滞在ができる「Bürgenstock Hotel & Alpine Spa(ビュルゲンシュトック ホテル&アルパイン スパ)」です。

ルツェルン湖のピアから赤いフニキュラーで急斜面を登りホテルへ直行。「Bürgenstock Resort Lake Lucerne」のメインとなるコンテンポラリー棟内に駅がある。
アルプスを遠望しながら清々しい情景のアルパインゴルフ場。

世界のホテル史の観点から言えば、ホテルという概念の宿泊施設が生まれたのは中世ヨーロッパと言われています。その話は十字軍まで遡りますが、現代の形となったラグジュアリーな‘ホテルの生みの親’と称されているのが、スイス出身のセザール・リッツであり、彼は後に世界の‘ホテル王’と呼ばれた人物です。この「Bürgenstock Hotel & Alpine Spa」には、まさにそのホテル王セザール・リッツのストーリーも隠され、当時の懐かしい料理を味わうレストランも造られています。

このビュルゲンシュトック リゾートに辿りつくには、スイス中央部にある歴史的な中世都市‘ルツェルン’を起点とします。ルツェルン駅で列車を降り、すぐ目の前に広がるルツェルン湖畔のピア(桟橋)からビュルゲンベルグ山の頂に向かう洒落た専用ボートに乗り約20分、ケールシッテンのピアで下船します。そこから山頂に佇むビュルゲンシュトックへは、目の前の急斜面を真っ赤な専用フニキュラーに乗り登って行きます。伝説的なビュルゲンシュトックのフニキュラーは500mの高低差を一気に登るため、湖を見下ろす景色の美しさにも誰もが興奮状態です。いざ頂上に到着しフニキュラーを降りると、そこはもう別世界…!眼下に広がる湖の美しさにため息をつき、視線を上げればスイスアルプスのエキサイティングな眺望が楽しめます。同時に、山腹にはスタイリッシュでラグジュアリーなリゾートが豪華な設備で点々と現れ、五感の刺激は最高潮に達します。

リゾートのグランドオープンは2018年9月28日でした。広大な敷地にある「Bürgenstock Hotel & Alpine Spa」は、5ツ星スーペリアのホテル「ザ・コンテンポラリー」棟と、5ツ星ホテル「ザ・ヘリテージ」棟、4ツ星スーペリアのホテル「ヴァルトホテル ヘルス&ウェルビーイングby Bürgenstock」、さらにレジデンスである「レジデンス スイーツ」、そして9ホールのゴルフ場、共有の室内プール2か所、屋外プール1か所を含む10000㎡に及ぶ「アルパイン・スパ」、数々のショッピングエリアなどが集まった総合型リゾートのすべての施設が完成した時には世界のトラベラーやマスコミを驚かせました。

数あるリゾート施設の中で、核となるのが最高級ホテル「ビュルゲンシュトック ホテル」です。もともと1873年6月開業の「グラン ホテル」でありました。当時はオードリー・ヘプバーンやソフィア・ローレン、チャーリー・チャップリンなど、多くのセレブリティが訪れたホテルとして知られています。またリゾートの敷地には、かつてオードリーがハリウッドを拠点に世界的に人気絶頂の頃、密やかに結婚式を挙げた小さな教会が美しく残されています。

コンテンポラリー棟内の一つ、最高級クラス「レイク・ビュー・ロイヤル・スイート」(608㎡+241㎡のルーフトップテラス)。広々としたリビングエリアからは景色との一体感も素晴らしい。
ホテル内のレストランの一つ、ペルシャ料理「Parisa – Persian Cuisine」では本格的で伝統的な料理に舌鼓。
「ブラッスリー リッツコフィエ」の内観。ヘリテージエリアに位置し、格調高いブラッスリースタイルでフランス料理を提供。リッツ&エスコフィエへのオマージュも。

私が滞在したのは「ビュルゲンシュトック ホテル」でした。最高級クラスとはいえ、気取ることもなく温かいサービスで迎え入れてくれ、数日間は夢のような滞在でした。客室数は全102室、それぞれの部屋のスペースが広く、家具や調度品はカスタムメイド、上質なアメニティは言うまでもありません。さらに隣りあう5ツ星ホテルのヘリテージ棟「パラス ホテル」には、ブラッスリー「RitzCoffier」(リッツコフィエ)という本来のフランス料理を提供するレストランがあり、スイス出身のホテル王セザール・リッツと、相棒の仏人オーギュスト・エスコフィエという世界的な伝説の料理人が‘ラグジュアリーホテル史’を創造していた頃のクラシックな料理と共に、現在はコンテンポラリー料理も提供。プライベート・イベントなど貸し切りでの利用となりました。まさに観光国スイスが誇る歴史と未来の総合複合型リゾートの誕生は、優雅な休暇を過ごせるスイスの新しい旅先です。一生に一度でいい、是非、体験してほしい別世界です。

レストラン「スパイス・キッチン&テラス」の窓からはルツェルン湖のパノラマが最高の眺望。日本、中国、インド、タイの本格的な味を提供、それぞれの国のシェフが腕を振るう。「ゴー・エ・ミヨ」(フランス発の本格的レストランガイド)では20ポイント満点のうち16ポイント獲得。
アルパイン・スパの一角に造られたエキサイティングな屋外のインフィニティープール。
俯瞰で見たアルパイン・スパの屋外施設。
レストラン「スパイス・キッチン」の料理は世界各国の料理を新たな感性で昇華。それぞれの国のシェフがスパイスの利いた美味しくて美しい自慢料理を披露。
ビュルゲンシュトックホテルの「ザ・コンテンポラリー」棟前景、夜を迎える前の夕暮れ時は特にロマンチックな情景が湖と共に映し出される。

取材・文/せきねきょうこ

Photo: Bürgenstock Resort Lake Lucerne

せきねきょうこ/ホテルジャーナリスト

スイス山岳地での観光局勤務、その後の仏語通訳を経て1994年から現職。世界のホテルや旅館の「環境問題、癒し、もてなし」を主題に現場取材を貫く。スクープも多々、雑誌、新聞、ウェブを中心に連載多数。ホテルのアドバイザー、コンサルタントも。著書多数。

http://www.kyokosekine.com

Instagram: @ksekine_official

DATA

Bürgenstock Resort Lake Lucerne

CH-6363 Obbürgen Switzerland

📞 +41 41 612 60 00

https://burgenstockresort.com/en/about

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