この連載では、暮らしの中で知っておくとちょっと得する知識や、今さら周囲の人には聞きづらい疑問などについて、毎回その道のプロから教わります。 今回は、ワインディレクター・ソムリエ の田邉 公一さんに、これからのシーズンが待ち遠しくなるワイン選びや楽しみ方のコツを教えていただきました
新酒として毎年人気のボジョレー・ヌーヴォー解禁に始まり、年末に向けてホームパーティーの機会も増え、クリスマスや年末年始へと続いていくこの時期は、ワインを楽しむ機会も増えてくる季節。
多くの機会に恵まれるこの時期だからこそ、少し踏み込んだワインの知識があることで、もっと美味しく楽しむことができます。
そこで今日は、ワインを楽しむためのポイントと、各シチュエーションに合わせたワインの選び方についてお伝えしたいと思います。
ボジョレー・ヌーヴォーをもっと美味しく楽しむ3つのポイント
毎年11月の第3木曜日は、待ちに待ったボジョレー・ヌーヴォー解禁日。解禁とともに友人や恋人、多くの仲間たちと新酒で乾杯するひと時は格別な時間です。
この時期だからこそ味わえるヌーヴォーを、もっと美味しく楽しむポイントを
お話ししたいと思います。
赤ワインでも冷やす
赤ワインは通常「常温」で楽しむと言われますが、室温だと多くの場合やや温度が高すぎるため少し下げることをおすすめしています。
さらにそれがボジョレー・ヌーヴォーとなると、かなり冷やしめにしなければ、その良さが発揮されません。ヌーヴォーは色調こそ赤ワインですが、実際は非常にフレッシュでフルーティな香りと味わいが特徴で、渋みはとても穏やかで、爽やかな酸味が特徴です。その特徴を活かすためには、12〜13度くらいまで温度を下げて飲むことを推奨します。
グラスはやや小ぶりで
赤ワインは基本的に大きめのグラスが良いと考えられていますが、ボジョレー・ヌーヴォーは決して大きなグラスで飲む必要はありません。小ぶりのグラスに注ぐことで、フレッシュでフルーティなその香りと味わいを活かすことができ、温度の過度な上昇も防ぐことができます。
フードとのペアリングを意識する
ヌーヴォーは乾杯で飲むイメージが強いですが、ワインである以上、相性の良い料理が存在します。特に、ボジョレーの生産地の近郊に位置する街リヨンで有名な郷土料理「シャルキュトリ」との相性は抜群です。こちらはハムやソーセージ、サラミやパテ、リエットを添えた加工肉の料理の盛り合わせで、地元のブドウ品種ガメイから造られた赤ワインと相性抜群です。
◎おすすめワイン
・ボジョレー・ヌーヴォー ジョゼフ・ドルーアン 2025
伝統あるブルゴーニュの有力な生産者で、ブルゴーニュ地方の銘醸ワインを手がける中、ヌーヴォーに関しても毎年クオリティの高いワインを生み出しています。スーパーでも買えるのも嬉しい。
・ボジョレー・ヌーヴォー ロリジーヌ
マイアム ワイン「プティ・ボジョレー2025」
私がワインディレクターを務めているMAIAM WINES(マイアム ワイン)のボジョレー・ヌーヴォー「Petit Beaujolais(プティ・ボジョレー)」は、スタイリッシュな100mlのボトルを2本セットでご用意。グラスワイン2杯分なので、乾杯で一杯ずつ楽しみたい方や、ギフトとしてもおすすめです。


ホームパーティーやワイン会でのワインの選び方
年の瀬が近づくと、ホームパーティーやクリスマス、忘年会など、ワインを囲んで食事をする機会が増えてきます。
それに備えて、ワインを選ぶ際の3つのポイントとおすすめワインをご紹介します。
1.日頃からSNSをチェックする
XやInstagramなどで積極的にワインに関する発信をしている人を見つけて、日頃から気になる投稿をチェックしておくのもおすすめです。
ワインに関する知見を広げながら、ワインを選ぶ力を養うことができます。
2.その日のメニューを意識する
ホームパーティーやワイン会で大切なのは飲み物だけではありません。その日のお料理が何よりも楽しみという方も多いでしょう。
ワインは料理と一緒にいただいてこそ生きるもの。料理との相性を意識して選ぶのはとても重要です。
例えばシンプルにイタリアンならイタリアワイン、フレンチならフランスワインというように、その日のお料理のジャンルとワインの産地を意識してみましょう。少し踏み込んで、シーフードには海の近くのワイン産地のものを選ぶようにするなど、土地を意識すると、さらに相性は高まります。
3.語れるワインにする
何かしらそのワインに対する思い入れがあれば、参加者の方々にエピソードを語ることができます。エピソードというのはそのまま味わいにもつながりますので、同席する人にそれらを少しでも伝えることで、ワインの価値と美味しさがアップして、もっと特別な時間を過ごすことができます。

◎おすすめワイン
・キリヤーニ アカキーズ ロゼ スパークリング
ギリシャを代表するワイナリーの一つであるキリヤーニが手がける固有品種から造られたロゼスパークリングワイン。赤い果実とフローラルなアロマが魅力。

・ソアリェイロ グラニット アルバリーニョ
ポルトガルの中でも白ワインの産地として有名なヴィーニョヴェルデ。こちらは同エリアを代表するワイナリーの一つであるソアリェイロが手がける爽やかさと奥行きのある味わいが楽しめる秀逸な白ワイン。

・フアンヒル シルバー ラベル
スペインの注目の産地フミーリャ。こちらは黒ブドウ品種モナストレルの発祥の地としても有名です。こちらは日本でも非常に人気のある生産者で、モナストレルの豊かで複雑性のあるアロマと果実の凝縮した風味を味わえる1本。

手土産にふさわしいワインの選び方
手土産にワインを持参するのはなかなか難しく、相手の方がワインに詳しい場合はさらに気を使います。ここでは、ワインの選び方の3つポイントとおすすめの銘柄をご紹介します。
1.相手のことを理解し、共通点のあるワインを選ぶ
まずは相手のことをしっかりと理解することが何より大切です。旅行好きであれば、相手の方が好きな国や最近訪問した国をリサーチし、音楽が好きならそれにちなんだラベルなど、趣向に合わせて選ぶのがおすすめです。
2.柔軟に予算を決める
有名で高価なワインは喜ばれる可能性が高いとは思いますが、その価値がきちんと伝わる場合とそうでない場合があります。
相手の方の知識や経験値に合わせて、値段の高い安いのみでなく、本当に美味しいと思ってもらえるものを熟考し、その上で予算を決めるのがおすすめです。
3.料理との相性を考える
相手の方の好みの料理がわかるのであれば、その料理のジャンルに合ったワインを選ぶのも一つです。例えばパスタやピザがお好きならイタリアワイン、ハンバーガーが好きならアメリカのワイン、和食が好きなら日本のワインを、というように「料理と合わせて楽しむ」ことを前提に選び、渡す際にそれを伝えるようにすると良いでしょう。

◎おすすめのワイン
・安心院ワイン スパークリング
日本を代表するスパークリングワインの一つと言っても過言ではないのがこの安心院スパークリング。大分県の恵まれたテロワールから生まれるワインは、シーフードとの相性が抜群です。

・グレネリー エステート リザーヴ シャルドネ
近年、ますます人気が高まっている南アフリカのワイン。こちらのワインはボルドーの有名シャトーの元オーナーが南アフリカで設立したワイナリーで生産される豊潤な味わいの白ワイン。豊潤でまろやかな味わいが魅力です。

・シャトー・モンテュス ルージュ
南西フランス最高峰の生産者として、世界中にファンをもつドメーヌ・アラン・ブリュモン。アラン・ブリュモンのワインの中でも、フラッグシップ的なワインとして人気なのがこのシャトー・モンテュス ルージュで、凝縮した果実の味わいを楽しめます。

最後に
ワインの本当の魅力は、「知識」以上に「つながり」を生む力にあると感じています。人と人との出会い、料理との調和、旅の思い出、ワインはそれらをつなぐ架け橋となってくれる存在です。
今回お話ししたことをぜひ参考にしていただき、ワインをもっと楽しんでみてください。

ワインディレクター・ソムリエ
田邉 公一
株式会社WS代表取締役・ワインディレクター
ソムリエ歴23年、講師歴16年を超える。レストランやワインショップ、スクールを中心に、都内外の複数の企業のワイン、日本酒をはじめとする飲料の監修やセミナー講師を務める。また、国内外のさまざまなワイナリーや酒蔵を巡りながら、SNSや各種メディア、イベント等での情報発信も積極的に行っている。
ワインスクール「レコール・デュ・ヴァン」講師。第6回 キュヴェ・ルイーズ ポメリーソムリエコンテスト 優勝。
著書「ワインを楽しむ〜人気ソムリエが教えるワインセレクト法〜」
2025年10月に新刊 「THE STUDY OF WINE」 を出版
映画「シグナチャー 〜日本を世界の銘醸地に〜」にソムリエ役として出演
オリジナル日本酒「几鏡 by Koichi Tanabe」を2024年よりリリース
Instagram:@koichi_wine
note: https://note.com/koichitanabe
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