リスボンから車を走らせること、およそ1時間半。松林の木々に囲まれた道路を抜け、見渡す限り稲田に囲まれた道の先に静かに現れた場所は、友人の提案なしでは知ることのなかった秘密の楽園コンポルタ。かつてはポルトガルの上流階級だけが知る「秘密の避暑地」だった場所は今、世界中のセンスあるトラベラーたちの視線を静かに集めています。

イビサでもサントリーニでもない喧騒から一歩引いた場所で、上質な時間だけを選び取る。そんな静かな旅がしたい大人にこそ、ぜひ訪れてほしい場所です。

なぜ、コンポルタなのか

答えはシンプル、食事が美味しい、気候がいい。そして、まだ開発途中のリゾートのため予約も取りやすいのもポイントです。

年間を通じて穏やかな地中海性気候に恵まれ、大西洋からの風が肌に心地よく感じられます。南仏やマヨルカのように過剰に開発されつくす前の、素のままの美しさが残っています。パリやミラノのラグジュアリーブランドがこの地に静かに拠点を構え始めているのは、偶然ではありません。「まだ知られていない」という贅沢を味わえる時間は、きっとそう長くは続かないでしょう。

解放的なポルトガルワインに酔う

ポルトガルは250種を超える土着品種があるワインの宝庫。そのなかから、コンポルタの地で味わいたいワインがこちらです。

Dão地方を代表する白ぶどうエンクルザード

Encruzado(エンクルザード)

Dão地方を代表する白ぶどう。柑橘とミネラル感がありながらしっかりした厚みも兼ね備え、樽熟成にも耐える上質な白。

Vinho Verde(ヴィーニョ・ヴェルデ)
 暑い日のランチに飲みたい、フレッシュな白。軽やかで酸があり、魚介料理との相性も抜群です。コンポルタの開放的な雰囲気にピッタリです。

Trincadeira(トリンカデイラ)/Touriga Nacional(トウリガ・ナショナル)
 赤ならポルトガルらしい品種を。特にTouriga Nacionalはポートワインにも使われる代表的な品種で、しっかりした果実味があります。暑いコンポルタでは、少し冷やして飲むのもおすすめ。

Setúbal(セトゥーバル)
 コンポルタ周辺で探したいのが、セトゥーバル半島のワイン。海沿いの食事と一緒に、その土地のワインを選ぶという楽しみ方ができます。

ポルトガルで見つけた幻のぶどう「ラムスコ」

海岸の砂地に植えられる非常に希少なワイン

こちらはポルトガルの希少品種Ramisco(ラムスコ)を、あえて白仕立てにした実験的なワインです。19世紀にヨーロッパを襲ったフィロキセラ禍を逃れた、貴重な樹から生まれます。本来は骨太な赤になる品種を、白として味わう贅沢。出会えたなら、それだけで旅の話のネタになる一本です。

華麗なるルブタンワールドを堪能する五つ星ステイ:Vermelho Melidesヴェルメーリョメリデス

クリスチャン ルブタンのデザインしたホテル「Vermelho(ヴェルメーリョ)

コンポルタから車で20分、隣村メリデスに佇むホテル「Vermelho(ヴェルメーリョ)」。手掛けたのは、世界中の女性の憧れのクリスチャン・ルブタンです。かつて漁師小屋だった建物を、自らのコレクションと職人技で再構築した、わずか13室のブティックホテルです。

ポルトガル語で「赤」を意味する名の通り、随所にルブタンのシグネチャーレッドが息づいています。手描きのアズレージョタイル、フランス人ランドスケープデザイナーであるルイ・ベネックが手掛けた庭園、地熱を利用したナチュラルプール……。どこも居心地がよくホテルというより、「センスのいい友人の別荘に招かれた」感覚に近いかもしれません。

館内のレストラン「Xtian」では、地元アレンテージョの食材を使った郷土料理を、洗練された器でいただけます。派手さはありませんが、細部に宿る美意識が、滞在の質を静かに底上げしてくれます。

HP:https://www.vermelhohotel.com/

コンポルタの食:土地の記憶を纏う3つのテーブル

旅の大きな楽しみである食事。コンポルタでは、海と大地の恵みを生かした料理を、肩肘を張らずに味わえるレストランが並びます。

Sal(サル)

ビーチクラブとレストランを兼ね揃えた地元でも人気のレストランSAL

砂浜に建つ、地元では知らぬ者のいない老舗シーフードレストランです。裸足のまま席につき、新鮮な魚介とタコのサラダ、軽やかな衣のフリットを頬張る。気取らない空気の中で漂う抜群のセンス、料理にも確かな旨さがあります。

HP:https://www.restaurantesal.pt/en/

 Inari Comporta(イナリ・コンポルタ)

解放的な店内と、テラスの外には美しい田園風景が広がる

コンデナスト・トラベラー誌でも紹介された、Quinta da Comporta(クインタ・ダ・コンポルタ)内のガストロノミーレストランです。稲田と大西洋を望むロケーションに、地中海と和の感性を掛け合わせた料理が並びます。シェフ、ヴィトール・ソブラルによる地元食材への深いリスペクトが感じられる一皿一皿は、旅慣れた大人の舌を飽きさせません。夕暮れ時、テラス席でグラスを傾ける時間は、この旅のハイライトのひとつになるでしょう。

HP:https://www.quintadacomporta.com/inari-restaurant

Cavalariça(カヴァラリーア)

クリエイティブなメニューが揃うミシュラン星付きレストラン。

かつての厩舎(きゅうしゃ)をリノベーションした、コンポルタらしい「気取らない贅沢」が堪能できるレストランです。2017年の開業以来、ミシュランガイドにも紹介される実力店へと成長しました。炭火で焼き上げる肉や魚、地元農家から仕入れる野菜を使った料理はシンプルながら奥深い味わいです。地元産の白ワイン「ヴィーニョ・ヴェルデ」や、アレンテージョ産のオレンジワインとの相性も抜群。

HP:https://www.cavalarica.com/

コンポルタのビーチクラブで何もしない贅沢を

コンポルタ滞在の真髄は、実のところビーチクラブにあります。朝は宿泊先でゆっくりと目覚め、昼から夕方はビーチクラブで食事とお酒、そして夕陽。これが、この地を最高に楽しむ一日の過ごし方です。

JNcQUOI Beach Club (ジンクイ ビーチクラブ)

リスボンの人気店「JNcQUOI」が手掛けるビーチクラブ

リスボンの人気店「JNcQUOI」が手掛けるビーチクラブです。建築家ヴィンセント・ヴァン・デュイセンによる設計で、白砂の丘と松林、大西洋に挟まれたロケーションに佇んでいます。新鮮な魚介を使ったポルトガル風パエリアなど、地中海料理をアップデートしたようなメニューが特徴です。デイベッドに身を沈め、シーフードとロゼワインで午後を過ごせば、時間の感覚は自然と緩んでいきます。夜はDJの音楽とともに、ディナータイムへとシームレスに移行するのもこの店の魅力です。

HP:https://www.jncquoibeachclub.com/en/

Sublime Comporta Beach Club (サブリーム コンポルタ ビーチクラブ)

ラグジュアリーリゾート「Sublime Comporta」が展開するビーチクラブ

ラグジュアリーリゾート「Sublime Comporta」が展開するビーチクラブです。プライア・ド・カルヴァリャルの手つかずの砂浜に面し、木製の遊歩道を渡った先に広がっています。地元食材を使ったメニューと、自然と調和したデザインは、まさに「本物のラグジュアリー」を知る大人のためのもの。サンセットタイムのディナーは、一日の締めくくりにふさわしいひとときです。

HP:https://sublimecomportabeachclub.com

旅の本質に触れる

コンポルタには、派手なナイトクラブもインスタ映えを狙った過剰な演出もありません。あるのは、上質な素材と、余白のある時間、そして「まだ知られていない」という贅沢だけです。

フル稼働してきた頭のスイッチを、一旦オフにする。潮風の匂いと、ワインだけに意識を向け、思考をリセットしていく。次の休暇の行き先に迷ったら、まだ静かなこの楽園へ。混雑が訪れる前に。

マリーニ あゆみ

Ayumi Marini

福岡県出身。イタリアソムリエ協会認定ソムリエ・元客室乗務員。モデル、IT企業、留学など経験後、結婚を機にイタリアへ移る。ワインの宝庫ピエモンテとトスカーナでワインを学びプライベートワイナリー訪問のコーディネートを行う 。現在はアメリカ在住。旅とワインのブログではおすすめワイナリーや旅の様子を発信中。https://asmwine.com/

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