手土産に込められているのは、贈る相手に喜んで欲しいという優しい気持ち。それが、贈り手が住む街の逸品であれば、手土産としていっそう特別なものになるはず。
ここでは、大切なあの人の笑顔が浮かぶような、ささやかで愛らしい手土産をご紹介します。
丁寧な手仕事が宿る、小さな郷土菓子
大倉山のシンボルは、丘の上に佇むギリシャ風建築の大倉山記念館。その駅前に広がるエルム通り商店街は、ギリシャ・アテネの通りをモデルに造られているそうです。そんな美しい街角の一角に、ひっそりと店を構えるのが、カヌレと焼き菓子の専門店『galbe(ガルブ)』です。
そもそもカヌレは、ボルドーの修道院から生まれた郷土菓子でした。一時は歴史の波に埋もれそうになりましたが、1990年代に現地のパティシエたちがレシピを再構築したことから、世界中へと広まったのです。現在では、日本でもすっかり定番のお菓子として親しまれています。

ラムとバニラが香るプレーン、ピスタチオ、キャラメル、フランボワーズ、抹茶の5種類を詰め合わせに。
日持ち:当日中。保存の場合は冷凍で1週間
『galbe』のカヌレは、そのフランス・ボルドーのレシピがベース。伝統的な銅製の型に蜜ろうを塗り、じっくりと火を入れる。そうして焼いたカヌレは、外側はカリッと香ばしく、中はもちもち、しっとり。時間が経ってもその豊かな食感が失われないのは、実直な手仕事の証です。
ひとつひとつが少し小ぶりなのも特徴で、それは多彩なフレーバーをいろいろと食べ比べられるうれしいサイズ。プレーンやキャラメルといった5つの定番に加え、季節を映した限定カヌレも登場するので、何度でも通いたくなりそうです。

「カヌレは同じレシピでも、作る人によって変わってしまうと言われるほど難しいお菓子です。だからこそ、より美味しくなるように、丁寧にお作りしています。また、フレーバーを生地に加えるので、そのバランスに合わせて生地自体も少しずつ変えているんですよ」と話すのは、日々オーブンと向き合うパティシエの丸山桜空(さら)さん。

幼い頃、母親と並んでお菓子を作った思い出が彼女の原点。その時の楽しいという思いを胸にレストランのパティシエとなり、やがて「大好きな焼き菓子を、自分の手で焼いていきたい」という情熱から、ガルブの扉を叩いたと言います。
そう訊くと、小さなカヌレの佇まいに、丸山さんのキュートで穏やかな人柄がそっと滲み出ているように思えてきます。

「日々の暮らしの中に、ささやかな幸せを届ける場所でありたい」
そんな温かい想いから、2021年に誕生したこちら。現在は新横浜にも店舗を構え、港町・横浜をイメージした洗練されたギフトボックスなど、大切な人へ贈りたくなる手土産としても愛されています。
「大倉山は、人が優しくて、どこかのんびりしているところが本当に素敵なんです」と丸山さんはいいます。
街の穏やかな空気に育まれ、作り手の「楽しい」という真っ直ぐな気持ちが吹き込まれた、小さなお菓子。箱を開けた瞬間、色とりどりのカヌレがまるでお行儀よく並ぶブローチのように顔を出します。
晴れた日の午後、街の優しい空気ごと大切なあの人へ届けたい。そんな思いに後押しされる、大倉山らしいおもたせなのです。

カヌレと焼き菓子専門店 galbe(ガルブ)
住所:神奈川県横浜市港北区大倉山2-2-1 エルム392 2-B
電話:045-718-6551
営業時間:10:00~19:00
定休日: 月曜(祝日を除く)
※掲載価格は税込み価格です(2026年5月現在)
取材・文 岡本ジュン 写真・豊田朋子













