忙しい仕事の合間に気分転換したいとき、もしくはのんびり過ごす週末のくつろいだひとときなど、美味しいおやつがあると仕事が捗り、より楽しく充実したものになる。もちろん手土産にしてもいい潤滑油になってくれることも。季節の素材を使ったものをいただくのは、ちょっと嬉しくて気持ちが豊かになるものだ。

今月から日々の暮らしの中でいい句読点になってくれる季節のおやつをご紹介していくことになった。お取り寄せやお店で買ってくるもの、ホームメイドで楽しむレシピなど、さまざまな角度からおやつをご紹介していくので、どうぞよろしくお願いいたします。

松之助 NYのビッグアップルパイで感じる秋の訪れ

季節は秋、味覚の秋、実りの秋というだけに、栗、いちじく、ぶどう、洋梨、柿、カボチャ、さつまいもなどよりどりみどりで何にしようか迷ってしまうが、記念すべき第一回目は大好きなりんごのおやつを紹介したい。

蜜入りやシャキシャキした食感が美味しい品種など、最近はどれにしようか迷ってしまうほどよりどりみどりだが、焼き菓子に欠かせないのは昔ながらの紅玉だ。その名前の通り、真っ赤でツヤツヤでコロンと丸い素朴な風貌。そのまま食べると酸っぱくて、食感もそんなに良くない。ところが火を入れるとまったく別物に。キュンとした酸っぱさは火を入れると濃厚な甘酸っぱさになり、とろりと柔らかな食感がなんとも美味しい。そう、紅玉はそのまま食べるより、火を通すことでその甘酸っぱさが引き立つ品種なのだ。
そんな紅玉の美味しさを存分に楽しめるのがアップルパイだ。代官山のヒルサイドテラスにある「松之助 NY」は、手作りにこだわったアメリカンスタイルのパイが美味しい店。サワークリームアップルパイを始め、数種類のアップルパイが通年を通して楽しめるのだが、お目当ては毎年10月〜3月の「紅玉」が美味しい季節だけに登場する「ビッグアップルパイ」。

サクッと焼き上げた香ばしいパイ生地に、持ち味を最大限活かして自然な甘さに仕上げた紅玉がこれでもかとぎっしり詰まっている。そのままでも十分美味しいが、お店で食べるのを真似して、オーブンで温めてからバニラアイスを添えた「ア・ラ・モード」スタイルにするとたまらない美味しさ。熱々のアップルパイにバニラアイスのひんやり感がベストマッチ。ほんのり香るシナモンも秋の気分を盛り上げてくれる。毎年、このビッグアップルパイを食べると秋が来たんだなあと実感するのだ。人気の品だけに週末などは売り切れてしまうこともあるので、早めの時間帯に行くか、予約しておくことをおすすめする。

ビッグアップルパイ ¥870 (テイクアウト)をオーブンで温めてバニラアイスを添えて・・・。

【店舗情報】松之助 NY 代官山店

  • 住所:東京都渋谷区猿楽町29-9 ヒルサイドテラス D-11
  • 電話:03-5728-3868
  • 営業時間:9時〜18時
  • 定休日:月曜日

焼き林檎のベイクドスライスアップルのレシピ

紅玉はアップルパイの他にも焼きりんごやタルトタタン、コンポートなど火を通したバリエーションはいろいろあるが、我が家でよく作るのが焼き林檎を簡単にしたベイクドスライスアップルだ。丸のままのりんごを焼くのには1時間ほど時間がかかるが、スライスしてしまえばぐんと時短でできるし、スライスしてちょっと焦げたところも美味しい、いいとこ取りのメニューなのだ。皮のままの紅玉をふたつ割りにしてからヘタと芯をスプーンでくり抜き、5ミリ程度にスライスしたものを耐熱容器に詰めてバターを乗せて砂糖とシナモンを振り、あればブランデーやラムなどの洋酒をかけて180℃のオーブンで20分ほど焼くだけ。りんごの色止めを兼ねてレモン汁を搾っておけば味が引き締まる。

焼き上がったりんごはトロトロでそのまま熱々でも冷めても美味しい。カリッと焼いたトーストに乗せても即席のアップルパイのような趣になっておやつにはもちろん、朝食にしても喜ばれること間違いなし。甘さを控えた生クリームやはもちろんバニラアイスを添えても。これなら思い立って作ってもすぐに楽しめるので覚えておくと重宝する。素朴な紅玉の登場が私にとって秋の始まりを感じさせてくれるのだ。

りんご柄の絵皿はアラビア社のFructus(フルクトゥス)のヴィンテージのお皿。1960年代に作られたもので実家から譲られて以来愛用している。

ベイクドスライスアップル(レシピ)

■ 材料(2〜3人分)

  • りんご(紅玉):2個
  • バター:20g
  • 砂糖(グラニュー糖やきび砂糖):大さじ3〜4
  • レモン汁:小さじ2
  • 洋酒(ブランデーやラム酒):大さじ1.5
  • シナモン:少々

■ 作り方

① りんごは皮のまま縦半分に切り、ヘタを取り、芯と種をスプーンで取り除き、横に5mm幅にスライスし、レモン汁をかける。

② 耐熱容器にりんごを少しずらしながら詰め、小さく切ったバター、砂糖とシナモンをちらし、洋酒をかける。

③ 180℃に予熱したオーブンで20〜25分焼く。途中で焦げそうになったらアルミホイルをかけるとよい。

④ 冷めたらホイップした生クリームやバニラアイスを添えると美味しい。

(文/ariko  撮影/ Tomoki Uesaka )

ariko(ありこ) / 料理家・フードライター

ファッション誌のエディター・ライターを経て料理家に転身。Instagram(@ariko418)に投稿する料理写真や、食いしん坊ならではの記録が人気を集め、現在フォロワーは24万人を超える。『arikoの食卓』(ワニブックス)シリーズをはじめ、レシピ本、書籍を15冊以上出版。2024年には「キューピー3分クッキング」に出演するなど料理家としての活動の場を広げる。またオンライン料理教室「ariko kitchen」を主宰し、1万人を超えるフォロワーに料理の楽しさを届けている。

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