デザインインフォメーション

2018.04.27

世界最大級の家具国際見本市
ミラノサローネ2018 速報

ミラノサローネ国際家具見本市が4月17日から22日までの6日間、イタリア・ミラノに隣接するRho(ロー)市の見本市会場で開催された。57回目となる今年は、約21万㎡ある会場内に188か国から2500社以上が出展。22日に発表された主催者側の報告によると、入場者はこれまでの最高となる昨年比26%アップの43万4509人を記録。低迷するヨーロッパ経済の景気回復への兆しと見てもいいかもしれない。

 

(上)本会場のRho-fiera Milano (ロー・フィエラミラノ)。ビジターは東口エントランス近くから中央通路に上る。
(下)昨年度より26%アップの入場者を記録。そうした賑わいを感じさせる2階の中央通路。

 

創業70年となるMinotti社(イタリア)の映像を駆使したリビング・ディスプレー。

 

Minotti社(イタリア)はパティオをイメージし、グリーンを取り込んだ大胆な演出はサローネならではといった感じ。

 

デザイン都市ミラノで開催される

家具とライフスタイルの世界規模の見本市

 

東京ビックサイトの3倍ほどある会場で繰り広げられるブースの混雑度は想像以上で、1日や2日で見て回れる規模のものでもなく、ミラノの集客力のパワーを改めて感じさせられた。

 

見本市と同時に市内で繰り広げられるミラノデザインウイークもおおいに賑わいを見せた。恒例化しつつある日本を代表する企業の展示も見どころの一つとして注目されるところだ。旭硝子(AGC)、SONY、Psnasonic、 Lexus などの中からいくつか紹介してみよう。

 

深澤直人氏デザインのLAND lounge Chair .PLANK社。回転成型のプラスチック製の椅子は、5色のコントラストがあるバリエーション。

 

今回のフェアを歩いた中で、最もシンプルにコンパクトにまとめた、ありそうでないようなディスプレー。PLANK社のCUP armchair。

 

KARTELL社のベニヤ素材(合板)をテーマにした日常家具の展示風景。

 

アルミ製の脚を使用したソファは、MUUTO社のOslo Sofa。テキスタイルはKvadrat(デンマーク)。

 

トルトーナ地区に8年ぶりに出展したSONYは”Hidden Senses”(隠された感覚)をテーマに、当たり前の日常と非日常な感覚を五感に訴え、近未来のインテリアやライフスタイルをそれぞれの体験コーナーを設置して提案していた。

 

創業100年となるPanasonicはブレラ地区の国立ブレラ絵画館のパティオ内に出展。空調、映像、音響、照明技術をフージョンしたインスタレーションを設置した。

 

解かりにくいがメーカー側の資料によると、空気を浄化するデバイス技術と、高圧の圧縮空気を用いて水を微細化する「シルキーファインミスト」を組み合わせて、「ミラノの街中で最も美しく澄んだ空間」の創出を目指すといったものだ。

 

フェラーリファンにはたまらないような椅子デザインの展示。Poltrona Frau 社。

 

近年注目されトレンドにもなっている、アコースティックテキスタイルの展示風景。Caimi Brevetti社の“SNOWSOUND”。

 

巨大なランプシェードの下で、モデルが使用方法などをデモンストレーションするCaimi Brevetti社のブース。家具フェアでは珍しいシーンだ。

 

サローネの期間中にミラノを訪れるのは100万人と推定されている。本来は家具を中心にしたトレードビジネスの場ではあろう。

 

しかし、家具デザイナーや建築家、あらゆる分野でのクリエーターたちの出会いの場所であり、新作家具が云々ということばかりではない。繰り広げられるイベントと街の賑わいある熱気と興奮を感じ取りながら、近未来のデザインを模索することに参加する意義を見いだせるような気がしてならない。

 

(写真・文:武藤聖一/フォトジャーナリスト、在ストックホルム)

 

ekoBirdyのデビュー作、プラスチックの廃棄物を再利用し、テラゾールックに仕上げた子ども用椅子、“Sea of Plastic“。小さなブースだがかなりのインパクトを感じた。

 

東京とミラノに拠点を置き世界的に活動するNendo の新作提案。ミラノデザインウイークで最も人気のあったブースの一つだが、長い行列のため入場を諦めてしまった人も多くみられた。

 

弘前市と喜多俊之氏がフュージョンして商品開発する“りんご”をテーマにした津軽塗のデザインプロジェクト「匠」の展示風景。ジャパンデザインウィーク全体の会場デザインは長谷川喜美氏によるもの。

 

SONYのHidden Senses(隠された感覚)は、五感に訴える体験展示コーナーの一つ。モデルのように決まっているが実は彼はビジターの一人。

 

国立ブレラ絵画館内の絵画館のパティオ内で開催された、Panasonicが提案する“Air Invention”のインスタレーション。

 

ミラノサローネ国際家具見本市

Salone del Mobile. Milano

会期:2018年4月17日(火)~4月22日(日)

会場:Rho-fiera Milano (イタリア・ミラノ)

http://www.milanosalone.com/index.html

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