デザインインフォメーション

2017.03.17

世界のアートに出会える国内最大級の見本市
「アートフェア東京2017」が盛大に開催!

毎年春に行われている国内最大級のアート見本市「アートフェア東京」。12回目となる今年は「Art is Alive-アートが近づく、アートに近づく」をテーマに、東京・有楽町国際フォーラムで3月17日(金)から3月19日(日)まで開催中だ。古美術から現代アートまで、幅広いジャンルのアート作品に間近に出会うことができる。

 

国内外から150のギャラリーが出展。時代やジャンルを越えて作品が展示即売される国内最大級のアート見本市。

国内外から150のギャラリーが出展。時代やジャンルを越えて作品が展示即売される国内最大級のアート見本市。

 

オープニングセレモニーには内閣総理大臣夫人・安倍昭恵さんらが列席。列席者全員による恒例の鏡開き(右)。

オープニングセレモニーには内閣総理大臣夫人・安倍昭恵さんらが列席。列席者全員による恒例の鏡開き(右)。

 

国立新美術館で大規模個展を開催中でもある草間彌生。「南瓜」の作品はSAKURADO FINE ARTSからの出品。

国立新美術館で大規模個展を開催中でもある草間彌生。「南瓜」の作品はSAKURADO FINE ARTSからの出品。

 

ニューヨークを拠点に活躍するストリート・アーティスト、ロン・イングリッシュ氏の作品は、香港の「JPS アートギャラリー」で展示。アメリカの人気アニメ「スポンジボブ」がモチーフとなったひまわりの中のベンチで記念撮影をすることもできる。

ニューヨークを拠点に活躍するストリート・アーティスト、ロン・イングリッシュ氏の作品は、香港の「JPS アートギャラリー」で展示。アメリカの人気アニメ「スポンジボブ」がモチーフとなったひまわりの中のベンチで記念撮影をすることもできる。

 

(左)ニワタカユキや野原邦彦の作品を出品したgallery UG。(右)スイス人のペ・ランの作品は、カラフルなテープがローラーでグルグルと回って表情を変える。名古屋のSTANDING PINEの出品。

(左)ニワタカユキや野原邦彦の作品を出品したgallery UG。(右)スイス人のペ・ランの作品は、カラフルなテープがローラーでグルグルと回って表情を変える。名古屋のSTANDING PINEの出品。

 

入場無料のロビーギャラリーで若手作家のアートに出会う

「Hopin’ Pocketful ポケットの希望」

 

12回目となる「アートフェア東京2017」には、海外からの15軒を含む150軒が出展。これまでにない企画として注目されているのが、ロビーギャラリーのブースで若手作家の作品を展示販売する「Hopin’ Pocketful ポケットの希望」だ。

 

コアなアートファンやコレクターだけでなく、これまでアート作品にあまり触れたことがない人にも気軽に立ち寄ってもらえるよう、無料エリア内にブースを設置。30のギャラリーが参加し、絵画や写真など平面の作品と比較的コンパクトな立体作品をあわせて75点が展示されている。

 

「ポケット」は希望や夢を連想させながら、ポケットマネーという手ごろな感覚で、将来性が期待できる作品で、日常への希望やアートある暮らしの提案だ。

 

キュレーションを担当した小澤慶介さんにお話をうかがった。

 

「アートフェア東京は、絵画、写真、立体、工芸などさまざまなジャンルの作品を、現代、近代、古美術と年代にもとらわれず幅広く展示、販売する見本市。アートにあまり馴染みのない方にも、アートフェア東京らしい多様性を楽しんでいただきたいと思って作品を選びました」

 

扱う作家は、20代から30代の若手。「意味」を探ってしまうような抽象的な作品ではなく、ダイレクトに「わかる」具象の作品が集められていて、アート初心者でも素直に楽しめるラインナップとなっている。

 

「テーマとして選んだのは、動物や植物などの“生き物”です。猫や犬、花など親しみを持ってもらいやすいモチーフが多いですし、人が住まう空間のなかで“気配”を感じていただけるのではないかと思います」

 

手に届きやすい価格帯の作品が揃う「Hopin’ Pocketful ポケットの希望」。モリモト協賛でアートのある暮らしを提案。

手に届きやすい価格帯の作品が揃う「Hopin’ Pocketful ポケットの希望」。モリモト協賛でアートのある暮らしを提案。

 

(左)飯沼英樹の「Tiger」。(右)「DOG」などは近藤亜樹の作品。ブースのテーマは動物や植物などの“生き物”。

(左)飯沼英樹の「Tiger」。(右)「DOG」などは近藤亜樹の作品。ブースのテーマは動物や植物などの“生き物”。

 

(左)キュレーションを担当した小澤慶介氏。(右)昆虫がテーマのMrs.Yukiの「untitled」の作品。

(左)キュレーションを担当した小澤慶介氏。(右)昆虫がテーマのMrs.Yukiの「untitled」の作品。

 

出展作家のひとり、西ノ宮佳代さんは、独自のモザイク技法で立体作品を創作している。出展作は、100体を目指して2008年より制作中の連作「猫だるま」シリーズの1体で、セメントで固めたスタイルフォームに石や貝殻、サンゴ、ガラスや陶器の破片などを貼り付けてコロンとした猫に仕上げている。

 

「見ただけではわからないしかけもあるんです。中に鈴が入っていて、動かすとチリチリと鳴る。アートを所有する楽しみのひとつとして、ときどき作品を持ち上げて愛でていただけたら嬉しいですね」と西ノ宮さん。自ら作品を抱き上げ、やさしい鈴の音を聴かせてくれた。

 

もちろん、<<猫だるま>>をはじめ展示されている作品はすべて購入可能。価格は5万円から30万円とポケットマネーでも手が届く。アート作品を購入したことがない方にも、この機会にアートを所有する楽しみを味わっていただけるのではないだろうか。

 

独自のモザイク技法の立体作品「猫だるま」シリーズの1体。西ノ宮佳代さんの作品。

独自のモザイク技法の立体作品「猫だるま」シリーズの1体。西ノ宮佳代さんの作品。

 

(左)作品を手にする西ノ宮佳代さん。「猫だるま」シリーズは美術教科書にも掲載された。(右)ブースには30のギャラリーが参加。絵画などの平面作品やコンパクトな立体作品をあわせて75点を展示。

(左)作品を手にする西ノ宮佳代さん。「猫だるま」シリーズは美術教科書にも掲載された。(右)ブースには30のギャラリーが参加。絵画などの平面作品やコンパクトな立体作品をあわせて75点を展示。

 

美術館収蔵品クラスの名品を

ごく間近に鑑賞できる絶好のチャンス!

 

メイン会場の「ギャラリーエリア」には、今年も国内外の勢いのあるギャラリーがずらり。センターの大通りの北側「North Wing」には古美術・近現代・工芸を扱うギャラリーが、南側「South Wing」には現代アートを中心としたギャラリーが、ブースを並べている。

 

一般社団法人アート東京の理事で、アートフェア東京2017でシニア・アドバイザーを務める「東京画廊+BTAP」の山本豊津(ほづ)さんに見どころを訊ねた。

 

「今年は、近代と古美術がとくにすばらしいですね。なかでも日動画廊と丸栄堂は必見です。美術館に収蔵されていてもおかしくないような名作が、ほんとうに間近に見られます」

 

日動画廊は、近代日本を代表する洋画家、岸田劉生の作品を展示。「麗子像」の1作「毛糸肩掛けして人形を持つ肖像」と2点の自画像、計3点の油彩と数点の水彩を、筆づかいまで感じられるほど至近な距離で鑑賞できる。

 

丸栄堂の展示は、日本画家、高山辰雄の没後10年を記念した「日月星辰」だ。「牡丹 洛陽の朝」など日本画の大作のほか、版画、彫刻、制作中の姿を移した写真まで、高山辰雄の真髄をじっくり味わうことができる贅沢な構成になっている。

 

いずれの展示も、まさに眼福。

 

日動画廊は、近代日本を代表する洋画家、岸田劉生の作品を展示。「麗子像」の1作「毛糸肩掛けして人形を持つ肖像」を間近に観賞できる。

日動画廊は、近代日本を代表する洋画家、岸田劉生の作品を展示。「麗子像」の1作「毛糸肩掛けして人形を持つ肖像」を間近に観賞できる。

 

丸栄堂の展示は、日本画家、高山辰雄の没後10年を記念した「日月星辰」。「牡丹 洛陽の朝」など日本画の大作が並ぶ。

丸栄堂の展示は、日本画家、高山辰雄の没後10年を記念した「日月星辰」。「牡丹 洛陽の朝」など日本画の大作が並ぶ。

 

「アートフェア東京は展覧会ではなく見本市。展示されている作品のほとんどが、販売されていますから、美術館のように“鑑賞する”だけではなくて“買う”ことを意識して見ていただきたいですね。才能に溢れる若手作家の作品を見くらべ、お気に入りの一作を見つけて、ご自身の暮らしのなかで楽しんでほしいと思います」(山本さん)

 

年々来場者数が増え、昨年は5万6300人と過去最高の来場者数を記録したアートフェア東京。アートの売上も昨年は11億3000万円で、今年も増加が見込まれる。海外からの注目度も高く、会場内には英語、中国語、フランス語など各国のことばが飛び交っている。

 

アートフェア東京に足を運び、アートシーンの活況を肌で感じていただきたい。

 

(取材・文/久保加緒里、写真/川野結李歌)

 

アートフェア東京初出展の老舗日本画商「靖雅堂 夏目美術店」。日本が世界に誇る特撮ヒーロー「ウルトラマン」を題材に、日本画家の村上裕二氏が筆を執った人気シリーズの新作に注目が集まる。

アートフェア東京初出展の老舗日本画商「靖雅堂 夏目美術店」。日本が世界に誇る特撮ヒーロー「ウルトラマン」を題材に、日本画家の村上裕二氏が筆を執った人気シリーズの新作に注目が集まる。

 

(左)現代青磁を代表する人気作家、川瀬 忍氏の作品が揃う。3月27日~4月1日に東京・日本橋の「ギャラリーこちゅうきょ」で開催される個展の先行展示。(右)有元利夫の作品を出展した栄善堂画廊。

(左)現代青磁を代表する人気作家、川瀬 忍氏の作品が揃う。3月27日~4月1日に東京・日本橋の「ギャラリーこちゅうきょ」で開催される個展の先行展示。(右)有元利夫の作品を出展した栄善堂画廊。

 

村越画廊はプレゼンテーションの妙が楽しめる展示。平等院鳳凰堂の一部を描いた桝本佳子氏の皿は、鳳凰堂の立体作品のなかにディスプレイされていた。

村越画廊はプレゼンテーションの妙が楽しめる展示。平等院鳳凰堂の一部を描いた桝本佳子氏の皿は、鳳凰堂の立体作品のなかにディスプレイされていた。

 

アートフェア東京2017

一般会期:3月17日(金)~3月19日(日) 3月16日(木)はオープニングプレビュー

会場:東京国際フォーラム 地下2階 展示ホールEおよびロビーギャラリー

時間:3月17日(金)11:00~13:00[特別先行入場] 13:00~20:00

3月18日(土)11:00~20:00 3月19日(日)10:30~17:00

料金:1-DAYパスポート(当日)2800円(税込)

※1-DAY パスポートで一般会期中の1日に限り自由に入退場ができます

住所:東京都千代田区丸の内3-5-1

電話:03-5797-7912(一般社団法人アート東京)

http://artfairtokyo.com/

 

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