デザインインフォメーション

2017.05.01

『ディズニー・アート展』で知る
ディズニーが起こしたアニメーション革命

《アナと雪の女王》より 2013年 © Disney Enterprises, Inc.

ディズニー作品に焦点を当てた企画展『ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》』が東京・お台場の日本科学未来館で開催されている。原画やスケッチ、コンセプト・アートなど約500点が日本に上陸。ディズニーのキャラクターをより魅力的に見せる革新的な技術や芸術的表現を体感でき、家族そろって楽しめる展覧会だ。

 

 

《蒸気船ウィリー》より 1928年 © Disney Enterprises, Inc

《蒸気船ウィリー》より 1928年 © Disney Enterprises, Inc

 

 

ミッキーの丸耳の入口を入ると、初期から最新作までディズニーの原画やスケッチが多数展示されている。

ミッキーの丸耳の入口を入ると、初期から最新作までディズニーの原画やスケッチが多数展示されている。

 

 

《蒸気船ウィリー》の巻き起こしたセンセーション

初期から変わらないディズニーの真髄

 

最初の展示室に入ると、見上げるような大きなスクリーンが天井からいくつかさがっている。そこに投影されているのは、ミッキーマウスやバンビ、白雪姫などお馴染みのディズニーのキャラクターの鉛筆画。ゲストがスクリーンの前に立つと、おもむろにキャラクターが動き出す、チームラボとのコラボレーション作品だ。

 

派手さはないが、このワクワク感こそディズニーなのだと実感する。

 

小さなこどもからお年寄りまで誰もが知っているディズニー。日本での人気も絶大で、東京ディズニーランドは開業から34年を経ても東京ディズニーリゾートとして発展し続けているし、最新のアニメーション映画《モアナと伝説の海》も大ヒット上映中だ。

 

ディズニーはなぜ、老若男女を問わず、こんなにも広く愛されているだろうか。『ディズニー・アート展』では、約90年に及ぶウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの歴史を振り返りながら、ディズニー作品の魅力の源を解説していく。

 

 

《ミッキーのハワイ旅行》より 1937年 © Disney Enterprises, Inc

《ミッキーのハワイ旅行》より 1937年 © Disney Enterprises, Inc

 

 

(左)ミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニー。(右)初期のミッキーマウスの原画も展示。

(左)ミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニー。(右)初期のミッキーマウスの原画も展示。

 

 

多くの傑作アニメーションを生み出したウォルト・ディズニー・スタジオ(バーバンク)の設立当時の様子。

多くの傑作アニメーションを生み出したウォルト・ディズニー・スタジオ(バーバンク)の設立当時の様子。

 

 

いまでこそアニメーション作品に「珍しさ」や「目新しさ」を感じる機会は減っているが、「イラストが滑らかに動いて見える」というだけで驚き、ワクワクした時代があった。活き活きと動くアニメーションは、まさに「魔法」だったのである。

 

ディズニーがその魔法ではじめて人々の心をとらえたのは、1928年(昭和3年)のこと。ミッキーマウスが口笛を吹きながら蒸気船を操縦する短編作品《蒸気船ウィリー》で、ディズニー作品とアニメーションの礎を築いた。

 

ディズニーファンにとっては「ミッキーマウスのデビュー作」として認識されている《蒸気船ウィリー》は、世界初のトーキー(映像と音声を完全にシンクロさせた映画)・アニメーションでもある。デビュー作に世界初の先進技術を用いるなんて、なんともセンセーショナルな話ではないか。

 

さらに驚くのは、なんとミッキーの真のデビュー作は別に存在するということだ。今回の展覧会では、《蒸気船ウィリー》のアニメと原画に加えて、発表が後回しになった真のデビュー作《プレーン・クレイジー》の原画も展示されている。

 

ディズニーの個性的なキャラクターには、最初からきちんと設定があった。

 

笑ったとき、怒ったとき、悲しいとき、どんな表情をしてどんな仕草をするのかを描き起こしたキャラクターシートを見ても、ミッキーマウスのデビューのさせ方を見ても、キャラクターを大切にしながらしっかりプロデュースしていることがわかる。ディズニーの躍進は、偶然ではない。成功するべくして成功してきたのだ。

 

 

(左)《白雪姫》より1937年。(右) 《ピノキオ》より1940年 © Disney Enterprises, Inc.

(左)《白雪姫》より1937年。(右) 《ピノキオ》より1940年 © Disney Enterprises, Inc.

 

 

《眠れる森の美女》や《リトル・マーメイド》の原画も展示。

《眠れる森の美女》や《リトル・マーメイド》の原画も展示。

 

 

(左)ディズニーの世界を表現した独特な会場構成。(右)キャラクターのフィギュアも登場。

(左)ディズニーの世界を表現した独特な会場構成。(右)キャラクターのフィギュアも登場。

 

 

革新的な映像技術によって生み出された

ディズニーの「夢の世界」

 

会場には、1928年から現在まで約90年にわたって紡がれてきたディズニー作品のスケッチや原画、コンセプト・アートなど約500点もの貴重なオリジナル資料が並ぶ。

 

ひとつひとつはアニメーション作品を完成させる過程の「パーツ」であったとしても、精緻な技術、美しさ、完成度の高さは、まさにアートだ。しかも、そのほとんどが日本初公開の品である。

 

ディズニーは「夢の世界」だと言われることがある。夢を描く発想力がすばらしいのはもちろんだが、夢を夢で終わらせず実現させるために、新しい技術の開発にも情熱を傾け続けてきた。

 

たとえば《白雪姫》では世界で初の長編カラーアニメーション映画として、背景ひとつ、小さな動きひとつにも妥協せず、アニメーションを芸術の域にまで高めた。

 

《ピノキオ》では、革新的な撮影技術「マルチプレーン・カメラ」を開発し、異なる距離に複数のセル画を置きそれぞれを異なるスピードで動かすことで、2次元の作品に3次元的な自然な奥行感を加えた。

 

音楽との融合(《ファンタジア》)、表情やしぐさによる心情の表現(《ダンボ》)、活き活きとした自然の描写(《バンビ》)、ゼロックスによるマシントレース(《101匹わんちゃん》)、3DCGによる自由なカメラワーク(《美女と野獣》)など、ディズニーはつねに挑戦を続け、新たな表現を模索していった。

 

 

《リトル・マーメイド》より 1989年 © Disney Enterprises, Inc.

《リトル・マーメイド》より 1989年 © Disney Enterprises, Inc.

 

 

(左)現在のバーバンク・スタジオの写真。(右)歴代に登場したキャラクターの流れに沿った年表。

(左)現在のバーバンク・スタジオの写真。(右)歴代に登場したキャラクターの流れに沿った年表。

 

 

視覚の魔法や音の魔法など、挑戦し続けるアニメーション技術も紹介。

視覚の魔法や音の魔法など、挑戦し続けるアニメーション技術も紹介。

 

 

今回の展覧会では、それらの技術革新をわかりやすくていねいに紹介。ディズニー作品が、作品性・芸術性の面でも技術的な面でもアニメーション映画を牽引し、発展させてきたことがつぶさにわかる構成となっている。

 

独自の世界観を繰り広げながら、国境を越え、世代を越えて伝わる普遍性を併せ持っているディズニーのアニメーション。『ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》』がなぜこの日本科学未来館という場所で開催されるのか不思議だったが、新しい技術でアニメーションの未来をつくってきたことが展示を通じてはっきりとわかった。

 

小さなお子さんたちはアニメーションの原画やセル画に目を輝かせるだろうし、大人たちはディズニーの歴史や培ってきた技術に感嘆するだろう。展覧会を見たあと、あらためてディズニーのアニメーション作品の数々をゆっくりと鑑賞したくなった。

 

『ディズニー・アート展 《いのちを吹き込む魔法》』は、9月24日(日)に日本科学未来館で閉幕したあと、大阪、新潟、宮城を巡回する予定だ。ぜひ、古典的名作から最新作までの流れを追いながら、ディズニーのDNAを体感していただきたい。

 

(取材・文/久保加緒里、撮影・川野結李歌)

 

 

最新作《モアナと伝説の海》(現在公開中)の展示風景。

最新作《モアナと伝説の海》(現在公開中)の展示風景。

 

 

《モアナと伝説の海》より 2016年 © Disney Enterprises, Inc.

《モアナと伝説の海》より 2016年 © Disney Enterprises, Inc.

 

 

ウォルト・ディズニーの残した名言で終わる展示会場。

ウォルト・ディズニーの残した名言で終わる展示会場。 

多くのディズニーのキャラクターが揃うミュージアム・ショップ。

多くのディズニーのキャラクターが揃うミュージアム・ショップ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ディズニー・アート展《いのちを吹き込む魔法》

会期:4月8日(土)〜9月24日(日)
会場:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン
住所:東京都江東区青海2−3−6
時間:10:00〜17:00(入場券の購入および入場は閉館30分前まで)
休館日:火曜日(ただし5/2、7/25、8/1、8/8、8/15、8/22、8/29は開館)
入場料:大人(19歳以上)1800円、中人(小学生〜18歳以下)1200円 、小人(3歳〜小学生未満)600円、2歳以下無料
お問い合わせ:03-5770-8800(ハローダイヤル)
http://da2017.jp

 

All Disney artwork © Disney Enterprises, Inc.

 

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