デザインインフォメーション

2017.04.17

バラをテーマに世界の花舞台に挑戦
「フラワーアートアワード2017」開催!

毎年春の恒例となっているフラワーアート展が、3月30日に開業10周年を迎えた東京ミッドタウンで開催された。フランスで行われるドゥエ・ラ・フォンテーヌ「アート・フローラル国際コンクール」の日本代表選考会を兼ねた「フラワーアートアワード2017」を中心に、ミッドタウンを華やかに飾った作品をご紹介しよう。

 

 

グランプリ『Blooming』/サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター 10周年を迎えた東京ミッドタウンの、時を積み重ねてますます咲き誇るイメージを、合板を重ねたらせん階段と上部に比重を置いたバラのアレンジメントで表現。躍動感、高揚感が感じられた。

グランプリ『Blooming』/サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター
10周年を迎えた東京ミッドタウンの、時を積み重ねてますます咲き誇るイメージを、合板を重ねたらせん階段と上部に比重を置いたバラのアレンジメントで表現。躍動感、高揚感が感じられた。

 

 

(左)最優秀作品賞は、フランス「アート・フローラル国際コンクール」日本代表として出場。 (右)『Blooming』/サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター(右から山口貴史さん、西村和明さん、福﨑ちづるさん、廣瀬美記さん)

(左)最優秀作品賞は、フランス「アート・フローラル国際コンクール」日本代表として出場。
(右)『Blooming』/サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター(右から山口貴史さん、西村和明さん、福﨑ちづるさん、廣瀬美記さん)

 

 

スケールの大きなバラの作品が

東京ミッドタウンのパブリックスペースを彩った

 

東京ミッドタウンの春を華やかに演出するフラワーアートアワード。同所での開催は8年目を迎え、毎年楽しみに足を運ぶファンも増えている。今年は4月12日から16日まで5日にわたって、メインショッピングエリアである「ガレリア」のパブリックスペースが華やかに彩られた。

 

フラワーアートアワード最大の特徴は花材をバラの生花に限定していること。床面積2.7平方メートル、高さ290cm以内という大きな作品が16点出展された。

 

空間を贅沢に使い、バラを活き活きと見せる。今年、出展者に与えられたテーマは「バラと東京ミッドタウン」。デザインの完成度の高さはもちろんのこと、商業施設という温度も湿度も生花にとって過酷な環境下で、5日間変わらずに美しさを保つテクニックなども重視される。

 

 

準グランプリ『誕生』/サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター 福岡(佐藤美砂、梅津祐美、鶴賀亜希、新保歩美) 太めに割いた竹を土台に、赤、白、ピンクのバラを生けた。打ち寄せる波のような力強さと、角度によってまったく異なる表情を見せる造形のおもしろさが際立った作品。

準グランプリ『誕生』/サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター 福岡(佐藤美砂、梅津祐美、鶴賀亜希、新保歩美)
太めに割いた竹を土台に、赤、白、ピンクのバラを生けた。打ち寄せる波のような力強さと、角度によってまったく異なる表情を見せる造形のおもしろさが際立った作品。

 

 

最優秀作品賞(グランプリ)/エールフランス賞/フランス大使館賞を受賞したのは、サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター(西村和明さん、廣瀬美記さん、福崎(正しくは、つくりの上が「立」)ちづるさん、山口貴史さん)の『Blooming』だ。薄い合板をらせん状に組み、高みへ駆け上っていくような躍動感あふれる作品に仕上げた。

 

表彰式の檀上で、西村さんは「“嬉しい”ということばしか出て来ません。今回出展されたみなさんの想いも持って、フランス大会に向けてがんばっていきたいと思います」と挨拶。

 

作品の制作にあたっては、テーマでもあり、アートや文化を世界に発信している“東京ミッドタウン”を強く意識した。キーワードを出し合い、イメージをふくらませながら共有していった。

 

「わたしたちは、フラワーショップで日々、生花と向き合っているアーティストの選抜チームです。頻繁に顔を合わせることもできず難しい部分もありましたが、LINEで意見交換をしながらブラッシュアップして作品づくりをしていきました。グランプリを受賞できて、ほんとうに嬉しいです」(廣瀬さん)

 

「東京ミッドタウンという場所に根づいた木が成長し、上へ上へと駆け上がった先で咲き誇って世界に向けて広がっていく。そんなイメージを表現できたと思います」(福崎さん)

 

「サンジョルディフラワーズ ザ・デコレーターのチームとしては、5年前にもグランプリを受賞し、フランス大会に出場しました。そのときは5位だったので、今回は優勝できるように、もう一度4人で力を合わせて作品づくりに臨みます」(山口さん)

 

審査員が「今年は過去最高の作品が揃った」、「レベルが1ランクあがった印象を受ける」と称賛するほど力作が揃ったフラワーアートアワード2017。準グランプリ/東京ミッドタウン賞はサンジョルディフラワーズ ザ・デコレーター 福岡の『誕生』、3位の優秀作品賞/ローラン・ペリエ賞はGram.の『未来へ ~華やぐ回廊から~』が獲得した。

 

 

(左)優秀作品賞『未来へ~華やぐ回廊から~』/Gram. (原 健吾、村瀬将之、久保田広樹、杉山雄右) 大きさの異なる真円をくり抜いたボードを並べ、さらに最奥に鏡を設置することで、実際以上の奥行感を演出。オレンジとイエローをメインとしたバラの回廊がどこまでも続いていくような、時間と空間の妙が感じられた。 (右) 優秀作品賞『バラ アフレル』/ma couleur fleur(外所 亨、久米春歌、久米菜摘、久米貴久) フロア部分に黒の小石を敷き詰め、ゴールドの逆円錐形の器から溢れんばかりに彩り豊かなバラを生けた。湧き出すような生命力が感じられる作品。黒で引きしまったフロア部分と、ゴールドの花器&カラフルなバラのコントラストも美しい。

(左)優秀作品賞『未来へ~華やぐ回廊から~』/Gram. (原 健吾、村瀬将之、久保田広樹、杉山雄右)
大きさの異なる真円をくり抜いたボードを並べ、さらに最奥に鏡を設置することで、実際以上の奥行感を演出。オレンジとイエローをメインとしたバラの回廊がどこまでも続いていくような、時間と空間の妙が感じられた。
(右)優秀作品賞『バラ アフレル』/ma couleur fleur(外所 亨、久米春歌、久米菜摘、久米貴久)
フロア部分に黒の小石を敷き詰め、ゴールドの逆円錐形の器から溢れんばかりに彩り豊かなバラを生けた。湧き出すような生命力が感じられる作品。黒で引きしまったフロア部分と、ゴールドの花器&カラフルなバラのコントラストも美しい。

 

 

(左)優良賞『この時を この場所で』/のりえ 真紅と濃ピンクのバラが映える。生花と花弁の組み合わせが華やかに時の流れを感じさせ、青竹と松という日本的な要素は、日本の文化やアート、デザインを発信しながら10周年を迎えた東京ミッドタウンへの祝賀にも通じる印象。 (右)優良賞『The Confluence』/YUICHI YOSHIMOTO 宙に浮いた流木にからまりながら、上へ伸びていくような息吹が感じられる作品。淡めの色合いのバラと、ヒラヒラと舞うようにアレンジされた花びらが可憐な雰囲気を醸し出していた。

(左)優良賞『この時を この場所で』/のりえ
真紅と濃ピンクのバラが映える。生花と花弁の組み合わせが華やかに時の流れを感じさせ、青竹と松という日本的な要素は、日本の文化やアート、デザインを発信しながら10周年を迎えた東京ミッドタウンへの祝賀にも通じる印象。
(右)優良賞『The Confluence』/YUICHI YOSHIMOTO
宙に浮いた流木にからまりながら、上へ伸びていくような息吹が感じられる作品。淡めの色合いのバラと、ヒラヒラと舞うようにアレンジされた花びらが可憐な雰囲気を醸し出していた。

 

 

(左)優良賞『SCENTED FUSION OF PINKS』/ROSE×3(柳井規子、青山真紀、柴田尚子) 天から降り注ぐバラのシャワーのようにも見えるデザイン。ピンク系統でまとめたバラの生花、優美な流れを感じさせるグリーンの組み合わせが、爽やかで軽やかな佇まい。 (右)新人賞『発奮』/Sanglier(森藤駿介、正木海舟、鈴木達也、浅賀舜皓)

(左)優良賞『SCENTED FUSION OF PINKS』/ROSE×3(柳井規子、青山真紀、柴田尚子)
天から降り注ぐバラのシャワーのようにも見えるデザイン。ピンク系統でまとめたバラの生花、優美な流れを感じさせるグリーンの組み合わせが、爽やかで軽やかな佇まい。
(右)新人賞『発奮』/Sanglier(森藤駿介、正木海舟、鈴木達也、浅賀舜皓)

 

 

バラを最大限に美しく見せるフラワーアレンジメントの競演

「フラワーアートアワード・ローズアレンジメントコンテスト」

 

フラワーアートアワード2017の特別部門としてバラの生花でガレリアを飾った「フラワーアートアワード・ローズアレンジメントコンテスト2017」。幅60×奥行60×高さ120cm以内というテーブルサイズで、バラをメインとした生花のアレンジメントの美しさを競うコンテストだ。

 

ガレリア3階の中央付近に展示されたフラワーアレンジメントは、「バラと想い出のヒロイン」をテーマに制作された想像性と独自性に溢れた13作品。日中は自然光が差し込む開放的な空間に、活き活きと華を添えていた。

 

最優秀作品賞(グランプリ)/ローラン・ペリエ賞/フランス大使館賞の栄光を手にしたのは、グリーンと白樺を巧みに採り入れた、ナチュラルで立体感のある『ジョゼフィーヌのバラ園』。山田明子(やまだめいこ)さんは、一昨年の優秀作品賞、昨年の準グランプリに続く受賞である。

 

 

(左)フラワーアートアワード・ローズアレンジメントコンテスト2017 グランプリ 最優秀作品賞『ジョゼフィーヌのバラ園』/山田明子 しっかりと手入れが施されていながら、自由で気品にあふれるバラ園の世界観を見事に表現しきっていた。ゆるやかに吹き抜ける風を感じたり、小鳥のさえずりが聴こえてきたりしそうなほど。 (右)審査員の曽我部 翔さんからデモンストレーションのフラワーアレンジメントが贈られて喜びの表情の山田明子(やまだめいこ)さん。

(左)フラワーアートアワード・ローズアレンジメントコンテスト2017 グランプリ 最優秀作品賞『ジョゼフィーヌのバラ園』/山田明子
しっかりと手入れが施されていながら、自由で気品にあふれるバラ園の世界観を見事に表現しきっていた。ゆるやかに吹き抜ける風を感じたり、小鳥のさえずりが聴こえてきたりしそうなほど。
(右)審査員の曽我部 翔さんからデモンストレーションのフラワーアレンジメントが贈られて喜びの表情の山田明子(やまだめいこ)さん。

 

 

授賞式では、「テーマからストーリーが感じられること、オリジナリティと第一印象を評価しました」というコメントとともに、審査員の曽我部 翔さんからデモンストレーションで作製したフラワーアレンジメントが贈られた。

 

小学校6年生でいけばなをはじめ、20歳からアレンジメントを続けてきた山田さんにとって、バラは大好きな花のひとつ。

 

「バラを愛するヒロインというテーマからイメージしたのは、真にバラを愛し、収集したフランスの皇女ジョゼフィーヌ。彼女が歩くバラの庭園を思い描いて作品にしました。グランプリに選んでいただけて、ほんとうに嬉しかったのですが、これに満足せず、来年は大きな作品でフラワーアートアワードに挑戦したいと思っています」。

 

生花の展示は終了したが、プリザーブドフラワーやアーティフィシャルフラワーなど生花以外の花を使ったディスプレイコンテスト「フラワーアートショーケースアワード」と「“花器”作家エキシビション」の作品は、6月1日まで柱ショーケースに展示されている。

 

デザイン&アートの街、東京ミッドタウンでアートな花の世界に触れてみてはいかが?

 

(文・久保加緒里、写真・川野結李歌)

 

 

(左)曽我部 翔さんのフラワーデモンストレーションが表彰式の会場を盛り上げる。 (右)フラワーアートアワード2017グランプリを受賞したサンジョルディフラワーズ ザ・デコレーターへの表彰。

(左)曽我部 翔さんのフラワーデモンストレーションが表彰式の会場を盛り上げる。
(右)フラワーアートアワード2017グランプリを受賞したサンジョルディフラワーズ ザ・デコレーターへの表彰。

 

 

バラの花だけを使って創り上げた美しいフラワーアートで飾られた東京ミッドタウンの会場風景。

バラの花だけを使って創り上げた美しいフラワーアートで飾られた東京ミッドタウンの会場風景。

 

 

フラワーアートアワード2017

会場:東京ミッドタウン・ガレリア

会期:2017年4月12日(火)~4月16日(日)

※「フラワーアートショーケースアワード」と「“花器”作家エキシビション」は、6月1日(木)まで柱ショーケースに展示

問い合わせ:フラワーアートアワード事務局

http://www.plains1.com

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