HAPPY GARDEN DIARY

2016.08.10

夏の玄関ポーチを彩る
グリーンデコレーション

いよいよ猛暑到来。そんななか、ひとときの癒しを与えてくれるのが花や植物です。そこで今月はマンションに多い北向きの玄関でも元気に育つ花や植物を選び、スタイルの違う3つの寄せ植えを紹介。玄関をグリーンで飾って、暑い夏の日々を爽やかに乗り切りましょう。

 

緑の空中花壇で

ウェルカム!

 

まずは、空間を立体的に演出するハンギングバスケットの寄せ植えを紹介します。

吊りかごを用いて植物を植え込むハンギングバスケットは、

ヨーロッパの街角や軒先でよく見られる花飾り。

狭い場所に飾れるだけでなく、風通りが良いので暑い季節も蒸れにくく、

風を受けて葉や花が揺れる姿も涼しげです。

 

出来上がりを見ると難しく思えますが、専用のバスケットを利用すれば簡単。

それがコチラ。

プラスチック製の鉢に大きな切り込みがあり、その間に土止めの粘着テープつきスポンジ(付属品)を

張りつけて使います。

 

左はスポンジを張りつけた状態。スポンジは粘着力が非常に強いので、素手での作業を。 スポンジ接着後は、残った粘着部分に植物がつかないよう、土をすりつけておく。

左はスポンジを張りつけた状態。スポンジは粘着力が非常に強いので、素手での作業を。スポンジ接着後は、残った粘着部分に植物がつかないよう、土をすりつけておく。

 

さて、ここで用意した植物を紹介します。

今回は、夏でも比較的涼しい北向きの玄関を意識し、

日陰に強く、かつ彩りを与えてくれる植物を選びました。

まずは多めのグリーンにかわいらしい花をアクセントにするイメージで、

ピンクと白のインパチェンスを。

 

インパチェンスは太陽があまり当たらない場所でも元気に育つため、北向きの玄関花に最適。

横に広がながら次々と新しい花を咲かせて周りを明るくしてくれます。

 

インパチェンスの中でも清楚なピンクと白をチョイス。 グリーンとの相性も抜群。

インパチェンスの中でも清楚なピンクと白をチョイス。
グリーンとの相性も抜群。

 

そしてグリーンは、日陰に強い植物の中でも特に、葉の形や色の違うものをセレクト。

さらにハンギングバスケットに欠かせない、ツル系の“垂れ下がる”植物は3種類を用意しました。

 

(左写真)左から、シロタエギク、洋種コバンノキ、ワサビ(コリウス)、ヒューケラ (右写真)左から、トラディスカンティア、シュガーバイン、アイビー

(左写真)左から、シロタエギク、洋種コバンノキ、ワサビ(コリウス)、ヒューケラ
(右写真)左から、トラディスカンティア、シュガーバイン、アイビー

 

 

バスケットの準備と植物がそろったら、全体のレイアウトを考えます。

垂れ下がる植物や横に広がって育つ植物、また成長の度合いを考慮することもポイント。

いきなり植え込むのではなく、一度ポット苗の状態で並べかえしながらバランスをみて決めると、

イメージに近い仕上がりになります。

 

ここからは実際に植えつけ。今回は高さを3分割し、

下段にアイビー、トラディスカンティア、シュガーバインという垂れる植物、

中段に白いインパチェンス、洋種コバンノキ、ワサビ、

上段にピンクのインパチェンス、シロタエギク、ヒューケラを植えていきます。

 

まずは土を全体の1/3ほど入れます。

ハンギングバスケットは乾燥しやすいので、鉢底石は敷かずともOK。

垂れる植物もあるため、台となるものの上にバスケットを乗せて植えていくのがおすすめです。

 

(左)大鉢を裏返して台にした例。このように台の上に乗せると植えつけがラク。 (右)まずは1/3ほど土を入れて、ここから植えつけをスタート。

(左)大鉢を裏返して台にした例。このように台の上に乗せると植えつけがラク。
(右)まずは1/3ほど土を入れて、ここから植えつけをスタート。

 

下段センターに配置するのは、アイビー。苗をボットから出し、土を軽く落としてからスポンジのスリットに根を通すようにセットします。

 

根の周りの土を軽く落としてから、スポンジのスリットに通すように苗をセット。

根の周りの土を軽く落としてから、スポンジのスリットに通すように苗をセット。

 

これを基点として、下段両脇の苗を同様にスリットに通し、

同じ段の植物がセットできたら上から土を被せて苗をしっかりと固定。

次に中段の植物も同じ要領で植えていきます。

土の間に空洞があると植物が枯れてしまうので、一段ずつ土を入れたら

バスケットをトントンと上下させて土をなじませると同時に、

割りばしなどを使って隙き間がないか確認しながら土を入れていきます。

 

最下段の茎や葉は、スリットの内側で土に埋まってしまってしまわないよう、外にきちんと出るようにする。

最下段の茎や葉は、スリットの内側で土に埋まってしまってしまわないよう、外にきちんと出るようにする。

 

そして最後に上段。上段に植える植物は、下・中段と同様に側面から植えても、通常の鉢植えと同様、上から植えてもOK 。今回は上から植えています。

 

上段の真ん中にピンクのインパチェンスをセットした後、 シロタエギクとヒューケラを両脇に植える。

上段の真ん中にピンクのインパチェンスをセットした後、
シロタエギクとヒューケラを両脇に植える。

 

すべての植物を植え終わったら、上の土を覆い隠すように、

たっぷりと水を含ませた水苔を一面に敷き詰めます。

ハンギングバスケットは、上下から水が蒸発して乾燥しやすいだけでなく、

日陰に置くといっても季節は夏ですから、こうした乾燥対策が必須です。

 

さらにたっぷりと水やりをした後は、苗を落ち着かせるため、

強い風や直射日光が当たらない場所に置いて養生させます。

ハンギングの場合、スリットに通したり、サイドから植えたりなど、

通常の寄せ植えより、根や茎に負担がかかりやすいので

いきなり吊り下げるのではなく、少しの間(3〜4日ほど)“安静にする”ことで

その後、より長く楽しめるのです。

 

立体的なグリーンの演出は、猛暑の中でも、一服の清涼剤となるに違いありません。

 

掛け置き両用タイプの

ウェルカムリース

 

14

 

同じく玄関を彩るウェルカムグリーンとして、次に紹介するのはグリーンリース。

こちらのリースでは観葉植物をメインに使用しました。

 

観葉植物というと室内で楽しむイメージですが、

夏は温度が高いので、今回テーマとした北向きの玄関など直射日光を避けた

日陰であれば、外空間でも楽しむことができます。

 

今回はアイアンワイヤーで造られたリース型の専用プランターを利用します。

 

リース用の専用プランター。メッシュライナーがあらかじめ敷いてあるので これを鉢に見立てて、そのまま植えられる。ただし吊り下げる場合は重くなるので 軽量土を使う、掛けずにスタンドで楽しむなどの配慮が必要。

リース用の専用プランター。メッシュライナーがあらかじめ敷いてあるので
これを鉢に見立てて、そのまま植えられる。ただし吊り下げる場合は重くなるので軽量土を使う、掛けずにスタンドで楽しむなどの配慮が必要。

 

使用した植物は、ヒポエステス、ベゴニア、シロタエギク、アイビー、オリズルラン。

ヒポエステス、ベゴニア、オリズルランで3つのグループを作って、ブロックごとにレイアウト、

シロタエギクとアイビーを間に埋め込むようにしてアクセントにしています。

アイビーの長い茎は、最後にぐるぐると全体に巻き付けると(安定しない場合はワイヤーで固定)

リズミカルな雰囲気になります。

 

このリースも土が乾きやすいので、植え終わったら、水苔を土の表面や株の間に敷き詰めます。

水やりする時は下におろし、葉の間の土の奥までしっかり水が染み込むように、

たっぷりと水を与えてください。

 

リースは吊り下げても、また写真のようにスタンドに置いてもOK。

置き場所にあわせて飾りかたが変えられるのも魅力です。

 

鳥かごの中に現れた

ミニチュア亜熱帯

 

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乾燥を好む多肉植物は、ハンギングバスケットにも最適。

今回は、白いアイアン製の鳥かごに色とりどりの多肉植物を寄せ植えしました。

 

底いっぱいに水を たっぷり含ませた水苔を敷き詰め土手を作った後、

中に粒状の多肉専用土をいれて、好みの多肉植物を植えていきます。

 

17_18

 

多肉植物はぽろぽろと葉が落ちやすく、また鳥かごは手が入れにくく作業しづらいため、

ピンセットなどを使うと便利です。

 

鳥かごから飛び出したカラフルな多肉植物は、ドームの中の小さな亜熱帯植物園のよう。

カゴの上に適度な空間をつくることで、開放感も演出でき、夏の玄関をリゾート風に彩ってくれます。

 

 

ガーデニングデザイン:

有川宗子(ありかわ もとこ)

東京都出身。JGS公認ガーデンコーディネーター、ガーデニング歴20年。

株式会社3Films ガーデニング部所属。個人の庭やベランダ、幼稚園の園庭花壇の植栽などを手掛けている。http://3films.com/garden/

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